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オオヤサーン!!
本題の前に、この度この様な通知がありました。
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お陰様でこうして澤山のお力添えを戴けました。
これまでの皆様の全ての「スキ」に心から感謝致します。
さて、前回の續きと致します。
宇都宮驛から自轉車に乗ってひた走る事約1時間。
第一の目的地に到着致しました。
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切り立った崖に面して建立さる大谷寺でございます。
尚、大谷と書いて「おおや」と讀みます。今話題の日本人大リーガーの方とは讀み方が違いますのでご注意ください。
このお寺には珍しい磨崖仏、即ち崖などの壁面に彫られた仏様がお祀りされているお堂があり、まずはそこを見學致します。
炎天下の中、自轉車を漕いで參りましたので、その前に化粧室で新しい襯衣にお着替えをするのがエチケットです。
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大谷石の崖に埋め込まれる様にして建っているお堂。こちらのお堂はこの崖に出來た洞穴内に配されており日本屈指の洞穴寺院となっております。
この中には當寺のご本尊である千手観音像がございまして、この大谷洞穴内の岩陰に彫刻されております。
お堂の中は撮影禁止なのでこちらに画像を載せる事は出來ませんが、内部はいさゝか洞窟の様な雰囲氣を残しております。
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この洞穴には大昔に人が生活していた痕跡があり「大谷寺洞穴遺跡」と呼ばれております。
どうやらこの辺りの洞穴は古代人の横穴式住居として利用されていた様であり、洞穴内からは縄文人のほゞ完全な形の人骨も發掘されたのでございます。
その人骨や出土した土器等はお寺の宝物殿に展示されており、こちらも見學させて戴きました。
いづれも撮影禁止なのでご興味の湧いた方は「大谷寺」をご檢索されると宜しいかと存じます。
こちらの洞穴内に彫られている仏様の像はシルクロードは遠く中東のアフガニスタン辺りの仏像の影響を受けた作風との事であり、古代世界の交易の繋がりを感じさせます。
内部には千手観音像の他に数軆の仏様の像が岩壁に彫られており、その雰囲氣はまさしく古代遺跡と呼ぶに相應しいかもしれません。
なるほど…。
岩壁に建立された寺院。その内部は洞穴に繋がっており、古代人の生活していた場でもある…………。
これはゲーム作りに使えるネタであります。
しっかりと見學しておきましょう。
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先程の神秘的な場からはまるで對照的に日本情緒あふれるのどかな境内です。
ほのかなお線香の香りがどこか懐かしく時間の流れ方を変える様であります。
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そして境内にはこうした辨天池があり、池の眞ん中の島には辨天様をお祭りしたお堂が建っております。
大谷石の断崖の麓に池があり、不思議と神秘的な雰囲氣を醸し出しております。
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この辨天池には面白い傳説があるのです。
昔この辺りに毒を撒き散らしていた惡い蛇が居たのですが、そこへ弘法大師様が現れて惡蛇に説法を説いて遂に改心させます。
そしてその蛇は美しい白蛇に生まれ変わり、この地の水を守護する辨天様のご眷属になったとの事であります。
今でも辨天堂の傍に白蛇の石像があり、それに触れるとご利益があるとの触れ込みですが、安易な氣持ちでそう云うものに触れないのが私の流儀です。
神様仏様への願いは本當にそれを願う強い氣持ちが無ければ只の冷やかしになるからなのです。
當地を參詣に訪れたご挨拶と今日ここを訪れる事への感謝の氣持ちを傳えるに留めておきます。
しかし、この蛇の傳説は………使える…。こっそり持參したツクールメモ帖に要点と全軆の雰囲氣とを記録しておきます。
ゲーム作りのアイデアはこうして拡げていくのが私のやり方です。
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ここからは一寸した登山を始めます。
境内から山道が續いており、この御止山に登れるのです。
この山は江戸時代に日光の宮様が松茸狩りを愉しまれた山で一般の人達が立ち入る事を止められた事から「御止山」と呼ばれたそうです。
嗚呼、今秋は松茸を食べられるのかと思いつゝ、山道を進んで行きます。
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敬意を持って登りましょう。
山頂迄15分。頑張って登ります。
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厳しい日差しは悉く木陰に遮られ木々の間から涼しげな風が流れてきます。
この森の匂いが私は好きです。
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蝉の声がまるで降り注ぐシャワーの様であります。
夏のこの雰囲氣。今だけに許された心地良さ。嗚呼、日本の自然はとても素晴らしい。
我々はこの素晴らしきものを感謝を以ってありがたく戴くとともに守っていかなければならないのであります。
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一段一段、ゆっくりでも確實に進んで參ります。
いつかは私もこう云う道を歩けなくなる日がやって來るのです。
軆が丈夫な内にこう云う場所を一つでも多く訪れたいと思っております。
山道は確かに大変でありますが、それはとても樂しいものです。
多分こうした場所の神様が私に與えてくださった一つの恵みではなかろうかと解釈しております。
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程無くして山頂に到着であります。
心地良い疲れが景色をより一層美しく見せるものです。
尚、自然の状態を保つ為にこの辺には足場や柵はありません。
足元に充分注意して見物致します。
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この辺りの山はこうした大谷石で出來ている様でありまして切り出した跡が見受けられるものもあります。
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この山の足元に踏みしめるこの石も巨大な大谷石なのです。
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更に山頂から先に道が伸びております。
それを進んで行くと大きな石碑が現れます。
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これは大正天皇がこの山を度々訪れられ、その山頂からの美しい眺めを称讃して詠まれた詩が刻まれているのです。
大正天皇は色々な場所にお出掛けになり、詩の造形も深くいらっしゃいました。
またその気さくな性格から當時の國民に皇室を身近な存在として親しまれたと言われております。
この山は栃木縣では華厳の滝の次に國の名勝に登録され、古くはその眺めが大谷随一、陸の松島とも言われた位なのです。
その歴史的な場所に足を踏み入れた喜びを胸に、大正天皇の詠まれた詩に一礼。一路、下山に向かいます。
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自然の恵みを満喫し、夏の風情を愉しみ、なかなか珍しいものを見物出來、尚且つゲーム作りのネタをも仕入れられた實に有意義なひと時でありました。
この近くに巨大な観音像がありますが、今回は時間の都合で通過致します。
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さて、續いて第二の目的地を目指しましょう。
ここから林道を抜けてすぐの場所です。
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その途中、森の中で何かの氣配を感じる事が度々ありました。
別に何も居らず小動物の類でもないのに何かが居る様な氣がするものなのです。
私はどこへ行っても山や森で暫しそう云うものに「出くわす」のでありますが別に何か惡さをする様な恐ろしいものではない事は判っております。
静かに通り過ぎる事にしましょう。
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「音声案内を終了します」に對する枕詞が出てきたところで今回はここ迄と致します。
次回は愈々「ダンジョン攻略」の様であります。
續く…
<記事本文2,900文字丁度>