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鳥渡した遊びをしよう
そろそろ毎年恒例の「例の聯休」が始まろうとしておりますが、月末のこう云う時は何かと慌ただしいものです。
…とはいえ、とりあえず仕事も粗方片附き、急ぎの要件も無いのであとは休み明け…と云う事にしておきます。
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丁度今年は5月2日に平日が挟まっており、月初に一通りの事を片附けられるので何かと都合が良いのです。
單に休日を聯續して取れば良いと云うものでもないお年頃なのです。
そもそも毎年この聯休でございますが、傳染病があろうがなかろうが大混雑が豫想されるのでいつも出掛けておりません。
この聯休は家でのんびりくつろいで混雑している観光地をテレビで眺めては酒を傾け、得も言われぬ「ゆえ~つ感」を愉しむ時間なのです。
新緑の時期に出掛けるのでしたら聯休明けからお子様の夏休みが始まる前のタイミングが一番良いのだと云う事を知っております。
さてそんな聯休ですが、色んな事をおうちで樂しむべくあれこれ考えている時間と云うのは面白いものです。
こう云うウキウキしたひと時を如何に巧く過ごせるかが物事を樂しむ秘訣ではなかろうかと存じます。
そこでまず手始めに「モノづくり」でも樂しんでみようと思っていたのですが、思いの外早く製作が進捗してしまい休みが始まる前に完成してしまいました。
1日30分から1時間程の時間を取って数日で品物が仕上がりました。
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まずは100均ショップで賈ってきた木材。
今回は平板に丸棒を使います。
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そして輪護謨と割り箸…。
割り箸は四角い形状の所謂「元禄箸」を使います。
いつも食べている馴染みの寿司屋の物が随分と溜まりました。
割り箸に輪護謨と來れば多くの方は、かの有名な「割り箸鐵砲」を思い浮かべる事と存じますが、その通りなのであります。
子供の頃に一度は遊んだ事がある方も多いかと存じますが、男の子はこう云うのが大好きなのです。
そこで今回はこの「割り箸鐵砲」の威力はそのまゝに一寸だけカッコ良くした護謨銃を造ってみようかと存じます。
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まず、この様に切り出した割り箸にヤスリで溝を掘り込みます。
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その溝に輪護謨を掛けてこの様に組みます。
これが護謨銃の心臓部となる「引き金」の部分です。
尚、画像の長い箸の方が引き金になります。
これは後で現物合わせで切り落とすので今は長い儘になっております。
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續いて板材に鉛筆で罫書をします。
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その罫書線の通りに木材を切り出します。
道具だけは一丁前に持っているのです。
子供の頃からこう云う工作が好きで何度も指先に怪我をし乍ら刃物の扱いを覺えていったものでした。
イマドキのお子様はやれ危險だとか怖いだとか出來なくてもいいだとか何だかんだと、おデリケートなオトナの身勝手な理屈に巻き込まれてこう云う物からどんどん遠ざかっていると聞きましたが可哀想な事です。
なるほど出來なくてもいいかもしれませんが、出來た方が良いと云う事は間違いありません。
こう云う物は本や教科書で解る程、單純なものではないのです。
使い方だけではなく、その性質、特に怖さは身を以て初めて理解出來るものだと思います。
こう云うのが解らないコドモがオトナになって解らない人だらけになったら…と思うと末恐ろしくなりますが……
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…とりあえず今は工作に集中しましょう。
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切り出した部材はヤスリをかけて表面を整えます。
特に角になっている箇所は握り易い様に滑らかにします。
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そこへ先程の引き金の部分をボンドで接着します。
更にその部品と面一になる様に割り箸や木の端材を使って中身を納めていきます。
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もう1枚の切り出した板材で挟み込みます。
謂わば割り箸を板材でサンドヰッチにした感じであります。
木工ボンドが乾く迄こうして安静にしておきます。
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ボンドが乾いたらニスで着色します。
ダークブラウンかウォールナット色にすると質感が出ます。
ついでに引き金や撃鐵の部分を黒マジック(通称「黒魔法」)で塗っておくと引き立ちます。
引き金の割り箸はこの時に發砲し易い様に長さを調整しておきます。
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割り箸で組まれた銃の内部はこんな感じになっております。
補強の為にビスを1本打ち込んであります。
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丸棒を切り出して先の方に錐で穴を開けて割り箸を挿し込みます。
これが銃の照星兼輪護謨を掛ける位置になります。
輪護謨が引っ掛かり易い様に少し削っておくと宜しいかと存じます。
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ついでにコンビニでもらってきた丸い箸を切り出して黒く塗っておきます。
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これらを組み合わせて接着します。だいぶ形になってきました。
ボンドが乾けば完成です。
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昔の短筒をモチーフにしました。
本當はセミオートマチック5聯發にしようと思ったのですが、巧くいかず單發銃になりましたが、細かい事は氣にしない事です。
(引き金後部の撃鐵がその名残です…)
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さあ「弾」を装填して撃ってみましょう。
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射的といればやはりコレ。的は當然の如く駄菓子です。
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ミルクキャラメルやボンタンアメなんかは目方が重いので一撃では仕留められません。
そんな時はこの「マグナム弾」の出番です。
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径が小さく、張力の強い輪護謨を使うと威力の高い弾を撃てるのです。
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まずまずの命中率です。
何度も試し射ちをして銃身の角度を調整した結果、なかなかのエモノになりました。
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これは製作當初のラフ圖でございますが、實際は試行錯誤の末に色々変更を余儀なくされました。
巧くいかないからと投げ出さずに、どうしたら出來るかを考えるのもモノ作りの樂しみであります。
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結局、圖面に起こすと最終的にこうなりました。
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聯休中にお子様が退屈されていらっしゃったら、こう云う遊びでもされてみては如何でしょうか。
イマドキは親御さんがお子様に何かおもちゃを作ってあげるなんて事はしないと聞きました。
勿論、こんな銃のおもちゃの類なんかはもっと高性能な物が巷に幾らでも賣っているでしょうし、100均ショップにでも行けば子供騙しの粗悪品が手輕に入手出來るでしょう。
昔、不器用な親父が材木の端材で作ってくれたおもちゃの拳銃を大切に取ってありますが、こう云う温かみが時には必要なのではなかろうかと「銃器」を製造し乍らしみじみと考えていたものであります。
私が御幼少の頃に大変お世話になった、かの「ノッポさん」は近年「大きくなったみんなへ」とメッセージを残しております。
「おチビさんと物を作る事はとても楽しい!いや、楽しい以上にそれはとっても大事な事だと思ってます」…と。
なんだか貧しくなった今日この頃でございますが、忙しいだの何だのと理由を附けては出來ないと初めから諦めずに、どうしたら出來るか考えてみるのもまた一興かと存じます。
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