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青森旅行 番外編
今年も残すところあと半月程となりました。
長い様で短きは1年の過ぎ去りし時。
今年も色々とありましたが、如何せん書き残した事の多き事。甚だ悔恨の極みであります。
さてそんな中、7月に行った旅行の余韻が未だに續いている今日この頃でございますが、旅行の素晴らしさとはそう云うものなのだと思っております。
即ちそれは酒や漬け物の如く、時間を置く程に熟成されて良い味わいが出てくるものだと思うのであります。
旅行は行って終われば終わりと云う訳ではないのが私の持論です。
然して今日は遠く過ぎにけるあの時に思いを馳せて旅行の後先を樂しんでおりました。
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数年前に初めてグランクラスに乗った際にお持ち帰りさせて戴いたワインボトルにグランクラスで使用されているグラスを…。
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この白ワインは市販の安ワインですが、こうして出してみると恰もあの列車で味わった高級感を愉しめます。
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この新幹線を模した辯當箱は驛辯の空き容器です。
こう云う物は洗って取っておくと何かと便利なのです。
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赤いテーブルクロスが嘗ての食堂車を彷彿とさせる雰囲氣で今宵はあのグランクラスの思い出を自宅で樂しんでいたのでした。
ニンニクは青森の旅路を思わせる味わい。スタミナには鐵分の補給も大切です。
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自宅でこう云う樂しみが出來るのは良い時代になったものです。
コップに輝く金色のグランクラスのロゴが何とも嬉しい氣分にさせてくれます。
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晩酌の後は珈琲タイムです。
今度は取っ手附きのカップを用意します。
そして今回の旅行で戴いてきたお菓子の入っていた空箱を使います。
これまたグランクラスのロゴが誇らしげな逸品です。
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こうしておくと何でもない様でありますが、旅の記憶が呼び覺まされてあの樂しかった旅行の幸せな氣持ちが蘇ってくるのです。
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私にとって旅行とはこう云うものなのです。
たとえ旅自軆が終わったとしても、それは未だ續く謂わば永遠の浪漫の様なものなのです。
即ち、一つの旅が終わっても私の中ではその思い出が生き續けている限り旅は終わらないのです。
そして、いつでもその旅に私は還っていく事が出來るのだと思っております。
物理的にして完結する程、旅は小さなものではないのだと思います。
ましてや憎みても余りある傳染病の煩わしき今日ではこうした經驗は極めて貴重なのでありますれば、然して私は反芻するが如く、一粒で何度も美味しい旅行を心掛けているのであります。
たとえ軆は家に在っても心はいつも旅の空。
私は心の内に在る年代物の記憶と共にいつでも旅に出られる心境を大切にしております。
私の部屋はグランクラス。
日々の暮らしに於いてそれは物理を超える力となり得るものだと個人的に信じているからです。
さてこのグラスですが、實はグランクラスに乗車した人だけが賈える謂わば「隠しコマンド」の様なものです。
この事は知る人ぞ知るサービスなのですが、私も今回の旅行で初めて氣附いた次第であります。
グランクラスに備え附けられているパンフレットに近眼の私でさえ見落としてしまう様な小さな文字で「その他のサービスについてはアテンダントにお申し付けください」と書かれている、それがこれなのです。
座席のボタンでアテンダントの方をお呼びして「グラスを賈いたい」と云う旨をお傳えすると、申し込み葉書を入手する事が出來ます。
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これに希望する商品と乗車した列車名を書き記して郵送すると後日、請求書と共に品物が届きます。
どうやら車内で申し出をした人数を把握しているらしく、ちゃんと乗った列車を答えないと注文出來ない仕組の様です。当然です。何たって「1等車」に乗っていたのですから…。
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ロゴも眩しく、金色の箱が届きます。
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グラスは強化硝子製で取っ手附きのカップの方は耐熱硝子を使っております。
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私は各々を一つずつ注文しましたが、お揃いにする事も出來る様です。
これさえ有ればお茶や珈琲は勿論、ワインも日本酒も麥酒も何でも樂しめます。
カップの取っ手は着脱可能なので時には外して使う事も出來ます。
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一緒に青森を旅してきた旅券と、ちゃっかり戴いてきたメニューのパンフレットを見るにつけて、私はあの贅澤なひと時を忘れない様にいつも愉しんでいるのであります。
これを以ちまして青森旅行の顛末の報告を終了するのであります。
ー 完 ー