#4 この本は私のメンター
オシダナ(推し棚)は、小布施町民の方々、テラソ利用者の方々の推しの本たちをご紹介していくコーナーです。不定期更新。
今回は、4月に小布施に移住したテラソ新館長の志賀さん!志賀さんに一番大きな影響を与えた本とは…?
志賀:パウロ・コエーリョさん作の「アルケミスト 夢を旅した少年」です。
好きすぎてよく持ち歩いています。古本屋に行くたびに100円コーナーにこの本があれば買い占めて、読んでほしい人にリボン掛けして渡すくらい好きです(笑)
聞き手:!!!何その変態的な偏愛!!!いいですね(笑)出会いのきっかけはなんだったのですか?
志賀:お恥ずかしいほどシンプルなのですが、学生の時に憧れていた人が薦めてくれたのがきっかけです。好きな人が好きなものを好きになりたいという…不純な動機(笑)ただ、きっかけはそうでしたが、読み始めるともう本当にグサグサ刺されっぱなしの1冊でした。読むたびに刺さる場所が違うので、この本は私のメンターみたいなものです。
聞き手:その動機はシンプルでも一番強いですよね!グサグサ刺さったとおっしゃられましたが、どのようなところが刺さったのですか?
志賀:少しネタバレになってしまうのですが…主人公の少年が旅の中、賢者に「幸福の秘訣」を聞きに行く場面があるんです。
わざわざ会いに行ったものの、忙しいから屋敷を散歩して待っててと待ちぼうけを喰らいます。しかもただ待つだけではなく、ミッションを言い渡される。それがスプーンに入った油を零さずに持ちながら待て、ということでした。
聞き手:スプーンの油(笑)手が震えただけで零れそう(笑)
志賀:(笑)そうですよね。少年は油を一生懸命に守って、数時間後に戻るのですが、賢者は「屋敷の美しさに気づいたか」とか聞いてくるんです。気づくわけないですよね(笑)油を守るのに必死で何も見ていなかったんですから(笑)
そこで、彼はもう一度スプーンを持って屋敷をまわるのですが、次は美しさに目を奪われて全ての油を零してしまうんです。
戻ってきた彼は賢者から「幸福の秘訣は世界の素晴らしさを味わいつつも手元を大切にすること」だと教わります。もうこれが痺れて痺れて!!
聞き手:それ聞くだけで私もちょっと痺れました…!けれど、その箇所が志賀さんになぜそんなに響いたのか…もうちょっと聞かせてください。
志賀:当時、私はやりたいことにひたすら夢中な時期でした。これまでは家族や人間関係、恩や義理などを第一に考えてきたのですが、次第に煩わしく思うことも増えて、夢を追うにはもっと自分勝手にならなきゃ!と色々なものを切り離そうとしていたんです。
でもなかなかできなかったんですよね。切り離したい、でも切り離せない、とストレスが溜まるばかりでした。さあどうしよう困ったぞという時に、この物語から「君は勿論夢を追いかけていいけれども、身近な人たちを大切にできてこそ夢を追いかけていい(色々切り離しては、その後きっと幸せじゃないよ)」と教わった気がしたんです。二者択一ではなく、折り合っていくための勇気や胆力を持たないきゃいけないんだなと。
聞き手:折り合っていく勇気…、どちらかではなく、どちらもを諦めなかったのですね。読了後の気持ちを漢字一字で例えるとどんな感じですか?
志賀:もうひたすら刺されたので読み終わりはぐったりだったのですが、「充」ですかね。充ちる、充足、充実、充分。自分の人生は悩んだり葛藤している時点で、既に充分素晴らしいと思えました。悩んでいてこそ、人生というか。悩まなくなったら充じゃないんだなというか。
聞き手:なんだか私も読みたくなってきました…!これが最後の質問です。この本をどんな人にお勧めしたいですか?
志賀:自分らしく生きたい全ての人に読んでほしいと思います。啓発本よりもアルケミストを是非。
聞き手:志賀さんありがとうございました!