#12 乱読で見つける自分にとって大切なもの
本日お話を伺うのは、芋川さんにご紹介いただいたVent vertの安藤さん。安藤さんの忘れられない一冊とは?
志賀:いつもよくテラソでお見かけしてます!昔から本はお好きなんですか?
安藤:こちらこそいつも楽しませてもらっています。そんなに読書家ではないのだけれど、新着本コーナーで直感的に面白そうと思った本を乱読するのが好きなの。こだわりはなくて…。五木寛之さんとか伊集院さんとかは手に取りがちかもしれないけれどね。なんだか同世代同士の対話みたいな気がするのよね。
志賀:私もあまりこの作家だから好き!とかないんです(笑) 乱読っていいですよね。今の興味の赴くままに世界が広がっていくというか。とはいえ、この企画は一応「人生に影響を与えた一冊」を教えていただいているのですが、安藤さんにとってはどんな本ですか?
安藤:今パッと浮かんだのはローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』ね。そうね、すごく影響を受けているかもしれない。すごく受けてるわ!(気づき)
志賀:!!懐かしい!ドラマ大好きでした。あの西部の大草原の家族の営み…。憧れです…
安藤:私もあの風景にとても憧れたの。出身は関西なのだけど本を読んで、自然の中で生きたいと思うようになって斑尾に移住したの。
志賀:斑尾ですか!
安藤:そう。スキーが大好きだったのもあって、家族でよく長野に来ていたの。何度か通ってペンションに泊まったときに、ペンションなら私もやれそう、やってみたい!ここに住みたい!と思った。そして、数か月後にはもう土地を探してペンションを自分で建てて斑尾ではじめたわ(笑)
志賀:何そのすごい行動力。ちょっとプリン作ったのよ、くらいのテンションで言ってますけど、すごいですね(笑)
安藤:思い返せば、一番の原点が「大草原の小さな家」に憧れて自然の中で生きたいって思ったところかも。他にも大好きな歌もあってね、ジョン・デンバーの「カントリーロード」とか。あと「緑の風のアニー」とか。思い返せば物語や歌にかなり影響を受けているわ。斑尾のペンションはまさに丘の上の緑の風が吹いてくる場所で、名前は「カントリー緑の風」だったの。ここVentvertもフランス語で緑の風って意味だしね。
志賀:知らなかった…!そうなんですね。
安藤:ペンション経営はとても楽しくてね、冬と8月はとても忙しいけれど色んな人に会えるし、春と秋はシーズンオフなの。だから休みの時はヨーロッパや自然の多い場所をあちこち旅行したわ。予定は決めずに現地で1ヵ月くらいレンタカーを借りてね、毎日行きたいところに行ってその先はまた考えるっていう行き当たりばったりの旅をしてた。
志賀:なんて最高な…!安藤さんの大切にされているものって、単なる緑豊かな自然、っていうより原風景みたいな感じもしますね。原風景を求めて旅をし続けてきた人生なのかもしれないですね。
安藤:そうかも。懐かしさを感じるというか、こういう場所にいたいって思える場所が好きでそういうところに飛び込んでいっていたかもしれないわ。小布施もそのひとつだし。
志賀:なんだか最初の方の話と繋がってきました。乱読も、あちこち気の赴くままに選択するあり方が背景にあったりとか、懐かしい、落ち着く対話的な作家さんの作品を選びがちだとか。
安藤:最近は前ほどアクティブに動きたいとは思えなくなってきてしまっているけれど、やっぱり目的を決めずにその時やりたいと思うことをやれるっていうのは良いわよね。
志賀:はい、本当にそれはそう思います。それにしてもいいなぁ、1ヵ月の無目的な旅。私もしてみたい…!素敵なお話、ありがとうございました!