【2021年8月】今月の新語・流行語 in English ~ゴン攻め・~年ぶり…回目・副反応~
こんにちは。旺文社ココマナ編集部のS藤です。
8月も残すところあと5日。夏の終わりはいつも切ない気持ちになりますね。
さて、毎月最後の金曜日に投稿している「今月の新語・流行語 in English」。
世の中を映しだしていることばのなかから広がりやおもしろみを感じるものを選出し、英訳を考案して発表します。
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それではさっそく、2021年8月の新語・流行語トップスリーをみていきましょう!
第3位「副反応」
ワクチン接種が広がるにつれて聞かれるようになってきたのが「副反応」。新型コロナワクチンの接種後にみられる、熱や腕の痛み、頭痛、筋肉や関節の痛み等を指します。副反応の程度は人によって異なりますが、2回目接種後に症状が出る人が多いようです。
「副反応」はズバリ side effect。新型コロナウイルスのワクチンだけでなく、薬などへの副作用のほか、思いがけない副産物などの意味でも使えます。
「反応」というと reaction を思い浮かべる人もいると思いますが、reaction は知らせを聞いた反応など一般的な反応のことを言ったり、allergic reaction(アレルギー反応)と言ったりするときに使います。
あわせて、熱や痛みなど副反応に関連する表現もおさえておきましょう。
・fever(熱)
・pain at the injection site(注射部の痛み)
・fatigue(疲労)
・headache(頭痛)
・muscle pain(筋肉痛)
・joint pain(関節痛)
会話で使うときはこんなふうに言います。
I had a side effect from the second vaccination. I had a high fever and joint pain for two days, but now I’m fine.
(2回目の接種で副反応が出たんだよ。高熱と関節痛が2日間あったけど、今は元気。)
第2位「~年ぶり…回目」
甲子園のニュースでおなじみの表現、「~年ぶり…回目」が第2位にランクイン!
今月10日に第103回全国高校野球選手権大会、通称「夏の甲子園」が開幕。29日の決勝戦をもって優勝が決まる予定です。球児たちにとっての夢舞台であり、熱狂的なファンも多い本大会。今年は不安定な天気により、試合の順延や雨天コールドゲームが見られたのも印象的でしたね。
甲子園に出場する高校を紹介する際よく使われるのが、「~年ぶり…回目(の出場)」という表現。
英語では the …th time after ~ years と表現します。~年ぶり=after ~ years、…回目=the …th time がそれぞれ対応。英語で言うときは…回目を先に言います。
たとえば、2年ぶり11回目なら the 11th time after two years、30年ぶり6回目なら the sixth time after 30 years と言います。
この訳のポイントは、「~年ぶり」を after を使って表すこと。意外かもしれませんが、英語で言うときは「~年後=~年ぶり」となります。
もうひとつのポイントは、…回目の数字を序数(first、second、third…)で言うこと。あとに続く time が単数形になることにも注意です。
ちなみに、単に「~年ぶり」とだけ言いたいときは the first time in ~ years と言います。after が in に変わり、「~年のなかで初めて=~年ぶり」となります。
会話で使うときはこんなふうに言います。
That high school participated in the tournament for the fourth time after 16 years.
(あの高校が大会に出場したのは、16年ぶり4回目だった。)
This is the first time in five years that I have been to Germany.
(ドイツに行くのは5年ぶりだ。)
第1位「ゴン攻め」
8月の第1位は、東京オリンピックを盛り上げたパワーワード「ゴン攻め」です!
今月8日まで17日間開催された東京五輪。7月25日・26日に行われたスケートボード男女ストリートのテレビ中継で、プロスケートボーダー瀬尻稜さんが口にした「やべぇ」「カッケー」「ハンパないっすね」などの自由で飾らない解説が注目を集めました。特に、「ゴン攻め」という独特の表現は即話題になりSNSでトレンド入り。
「ゴン攻め」とは「ガンガン(積極的に)攻めている=ガン攻め」の最上級のことばだそう。スケートボードにおいては、大きいハンドレール(手すり)やステア(階段)など、トライするのが怖いようなセクションで積極的に挑戦することを指すそうです。
最近では野球やサッカーなど別のスポーツでも使われており、攻めたプレーを表すことばとして今後も普及していきそうです。
「ゴン攻め」は新しいことばなので、英語での決まった表現はまだありません。そこで編集部が提案するのが、extreme move という訳。extreme は「極度の、極端な、危険を伴う」などの意味の形容詞です。
extreme sports(エクストリームスポーツ)ということばがありますが、これは速さや高さ、危険さや華麗さなどの過激な要素を持ったスポーツの総称。スケートボードやスノーボード、BMXなどがその例ですが、今回の表現もその発想に沿ったものです。
extreme の代わりに risky「危険な、冒険的な」を、move の代わりに action を使っても良いでしょう。
なお、野球やサッカーで使う場合は risky play と言うのがベター。
スケートボードのように直接の対戦相手がおらず、相手に勝つためというより選手自身が情熱をもってスリリングなことに挑戦する意味合いがあるスポーツでは extreme が使えます。一方、直接対戦相手と戦うスポーツでは risky を使うほうが、綿密な計画や機転による戦略的なプレーであることを表現できるのでふさわしいです。
また、play は 主にチーム競技を含むスポーツでの決められた動きを指すので、野球やサッカーで使うのは自然ですがスケートボードで使うのはあまりしっくりきません。
ほかに話題になった「やべぇ」「カッケー」「ハンパないっすね」も、英語の近い言い回し(スラング)に次のようなものがあります。
・Mad! / Crazy! (やべぇ)
…日本語の「やばい」と同じく、良い意味にも悪い意味にも使えます。
・Cool! (カッケー)
・Impressive! / Incredible! (ハンパないっすね)
五輪の解説では、ほかにBMXフリースタイル・パーク予選の「ハイテンション解説」も話題になりましたね。選手の技を解説しながら「イエース!」「イエー!」とハイテンションで声援を送ったプロライダー勅使川原大地さん。その自然体な解説が記憶に残っているという方も多いのではないでしょうか。
この「ハイテンション解説」は passionate commentary と表現できます。じつは「ハイテンション」は和製英語。tension は「緊張、不安」という意味なので、high tension では意味が通じません。今回の文脈では、passionate 「情熱的な」と言うのが合います。
ちなみに、試合などを見て「テンションがあがる」と言いたいときは、hyped up や pumped up、excited が使えます。
会話で使うときはこんなふうに言います。
He was taking extreme moves during practice yesterday.
(彼は昨日の練習中ゴン攻めしていた。)
When I saw his risky play in that soccer game, I got hyped up!
(あのサッカーの試合で彼のゴン攻めを見て、テンション上がったよ!)
総評
今月は東京五輪に甲子園と、スポーツの話題が充実していましたね。
オリンピックでは、男女ともに金メダルを獲得したスケートボードの堀米雄斗選手や西矢椛選手などの新世代が躍進したほか、昨年の中止を経て2年ぶりの開催となった甲子園では、球児たちが全力のプレーを見せました。
無観客開催、雨天コールドゲームなど異例な状況のなかで、今年は特別若い世代の活躍・奮闘ぶりにワクワクさせてもらったように思います。
この夏が終わっても、新しい世代の活躍に注目していきたいですね。
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「今月の新語・流行語 in English」
世の中を映しだしている旬なことばのなかから、旺文社ココマナ編集部がことばとしての広がりやおもしろみを感じるものを選出して英訳し、1位から3位までを発表。英語で決まった言い方がないことばは、編集部が独自に表現を考案します。毎月最後の金曜日に投稿中。