【2021年6月】今月の新語・流行語 in English ~無観客・ワクチン休暇・推しMEN~
こんにちは。旺文社ココマナ編集部のS藤です。
早いもので、今年の半分が過ぎようとしていますね。時間の流れるスピードにおののきつつ、しみじみとする今日この頃です。
さて、毎月最後の金曜日に投稿している「今月の新語・流行語 in English」。
世の中を映しだしていることばのなかから広がりやおもしろみを感じるものを選出し、英訳を考案して発表します。
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それではさっそく、2021年6月の新語・流行語トップスリーをみていきましょう!
第3位「推しMEN」
6月13日、日本版K-POPオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』SEASON2のデビューメンバーが決定しました。『PRODUCE 101 JAPAN』とは、101名の練習生のなかから、デビューを飾るボーイズグループのメンバー11名を選出するオーディション番組。“国民プロデューサー”と呼ばれる視聴者は、お気に入りの練習生・通称「推しMEN」に投票することで、デビューを応援することができます。番組放送後には、複数の関連ワードがSNSでトレンド入りするなど注目を集めました。
みなさんのなかにも、「推しMEN」を熱く応援してきた国民プロデューサーがいるのではないでしょうか。
一番お気に入りの男子を表す「推しMEN」は、ズバリ英語で fave。見慣れない単語かもしれませんが、favorite「お気に入り」のスラングです。「推しMEN」も「推しているメンズ/メンバー」の略語と言われているので、同じ感覚で使えますね!
オーディション番組だけでなく、アイドルグループやアニメの登場人物などのなかからお気に入りのメンバーやキャラクターを指して、「推し」と呼ぶこともあります。fave は単に「お気に入り」という意味なので、推す対象が男性でも女性でも、人物以外でも使えることば。男子に限らず、どんな「推し」に対しても使えます。
ちなみに、『PRODUCE 101 JAPAN』などのオーディション番組で使われる用語は次のように表せます。
・reality competition show(オーディション番組)
・national producer(国民プロデューサー)
・referendum(国民投票)
・trainee(練習生)
・vote(投票する)
・drop out(脱落する)
会話で使うときはこんなふうに言います。
I voted for my fave. I wish he will make his official debut!
(推しMENに投票した。デビューできますように!)
第2位「ワクチン休暇」
新型コロナウイルスのワクチン接種対象者が広がるなか、企業のあいだでは従業員の接種がスムーズに進むよう、特別有給休暇を設けるところが出てきています。接種当日や副作用が懸念される接種翌日、家族の接種に付き添う日など、企業によってさまざまな制度で休暇を設けており、総称して「ワクチン休暇」と呼ばれています。
「ワクチン休暇」は vaccine leave と表現できます。leave は「休暇」という意味の名詞。ここでは「去る、出発する」という意味ではありません。「休暇」は英語では vacation や holiday、day-off などいろいろな言い方がありますが、leave は何か理由があって休む場合に使います。
leave を使った「〇〇休暇」には次のようなものがあります。
・sick leave(病気休暇)
・parental [maternity / paternity] leave(産前産後休業・育児休業)
・paid leave(有給休暇)
・annual leave(年次休暇)
・bereavement leave(忌引き休暇)
会話で使うときはこんなふうに言います。
I will take a vaccine leave the day after I get my vaccination.
(ワクチンを打った次の日は、ワクチン休暇をとるつもりです。)
第1位「無観客(試合)」
6月の第1位は、オリンピック開催に際し議論が白熱した「無観客」です。
今年の夏に予定されている東京五輪。開催をめぐっては、感染予防の観点から無観客で行うべきという声が専門家からあがっていましたが、6月21日に観客最大1万人での開催が決定しました。
オリンピック以外でも、音楽ライブや演劇など人が集まるイベントが無観客で行われることが増え、世間に広まったことばですね。配信チケットを買って自宅でイベントに参加することも一般的になってきました。
「無観客」を表すには without spectators を使います。spectators の代わりに fans と言ってもOKです。ただし、spectator「観客、観衆」は主にスポーツの試合などの観客を指すことば。無観客ライブや無観客テレビ収録の場合は without audience と言うのが自然です。
ちなみに、「試合」の英訳には game と match がありますよね。一般的に、game はアメリカで球技を中心に使われることが多く、match はイギリスで使われることが多いです。
また、団体(チーム)で行うスポーツの試合を game、個人で行うスポーツの試合を match と使い分けたり、アメリカ発祥のスポーツを game、イギリス発祥のスポーツを match と言ったりすることもあるようです。
・game で表現するスポーツの例
野球、バスケットボール、ハンドボールなど
・match で表現するスポーツの例
ラグビー、テニス、バドミントン、卓球、柔道など
なお、サッカーはイギリス発祥のスポーツですが、チーム競技でアメリカでもメジャーなスポーツであることから、アメリカでは game、イギリスでは match が使われるのが一般的です。
国によって言い方が違うのもおもしろいですね!
会話で使うときはこんなふうに言います。
It would be a pivotal event if games without spectators were held in the Tokyo Olympics.
(東京五輪で無観客試合が行われていたら、歴史を左右する重要なできごとになったでしょう。)
I will buy a live streaming ticket as the live show next weekend is held without audience.
(来週末のライブは無観客で行われるから、配信チケットを買うつもりです。)
総評
振り返ると、今年の1月に首都圏で2回目の緊急事態宣言が発令。9都道府県で出されていた3回目の解除が先日だったことを考えると、2021年のほとんどを宣言下で過ごした方も多いのではないでしょうか。
そんななかでも、「無観客」のようなスポーツやエンタメの新しい楽しみ方に慣れ、ワクチンの接種が広がり休暇制度ができるなど、立ち止まることなく、前に進んだ半年間だったと思います。今年の上半期を乗りきった自分を「おつかれさま」とねぎらいながら、肩の力を抜いて下半期を迎えてくださいね。
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「今月の新語・流行語 in English」
世の中を映しだしている旬なことばのなかから、旺文社ココマナ編集部がことばとしての広がりやおもしろみを感じるものを選出して英訳し、1位から3位までを発表。英語で決まった言い方がないことばは、編集部が独自に表現を考案します。毎月最後の金曜日に投稿中。