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顔に降りかかる雨(ドラマ 1994)

「成瀬と不倫の末一緒になった女・耀子が大金と共に失踪。真相を追ううちに成瀬と耀子の親友・ミロの間に恋が芽生えるが、切ない結末に...」
まとめると、こうなるか。

江戸川乱歩賞受賞の原作を未読なので、ドラマに限定しての感想になるが、なかなかの佳作だった。
映像だとキャストの個性や演技力というフィルターがかかるので、作品本来の風味がアレンジされてしまう。
そこを踏まえて、まずは成瀬のような男は存在するのか?というのがとても気になった。
役所広司は芸達者だから、"普通じゃないけどヤバいけど魅力的な男・成瀬"をうまく演じていたが、実際こんな男は敬遠するよね。

ドラマの中でも、帰宅したミロが暗闇の自室にいる成瀬を見つけて驚くシーンがあった。
なんで、そこにヤツがいる?いつの間に合鍵を渡す仲になった?そんなシーンは伏線にもなかったはず。

更に、成瀬の妻が夫の不倫相手の耀子から、ミロの事をきいていたというのも変だ。
妻と不倫相手というのは天敵だし、仲良く世間話するワケない。天敵に自分の親友の事を話す不倫相手など、存在するはずない。

などなど、細部を気にするとあり得ない点が多々見られる変なドラマだった。

カーステレオにセットしたカセットテープから、耀子が死ぬ前に録音していたメッセージが流れるラストシーン。設定は劇的で、内容も納得できる素晴らしい展開だった、とは思う。
しかし、必ずしもこのテープをミロが聴く可能性は100%ではない。物語だから許される種明かしである。

とにかく、いろいろ考察したくなるドラマ。
という事は、視聴者にとって面白いドラマであったと、好意的に締めておこうと思う。

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