中央流砂 (1998 ドラマ)
過去に3度ドラマ化されている、松本清張御大の傑作。
役所仲間の死を不審に思う実直な公務員・山田(緒形拳)が、真相に迫りながらも結局は何も変わらないという、まさにイヤサス(嫌な気持ちになるサスペンス)。
"役人と官僚の癒着・自殺→闇に葬る系" やっぱりな展開は、見ていて鬱になりそうなくらい。「これって、あの事件の真相?」と思うと同時に、20年前から何も変わってない事に益々鬱。
"流砂"という単語を調べると、「水分を含んだもろい地盤、又はそこに重みや圧力がかかって崩壊する現象」の事らしい。
まさに、政界のブラックボックスを表しているようだ。
◯ィキペディアによると、「さらに、流砂は圧力がかかって崩壊するまでは、一見普通の地面のように見えている」と追記がある。
こちらの方がリアルというか、凄みがあるというか、怖さがある。
今回のドラマ、ラストは字幕で「悪の親玉が総裁選(=首相?)に出馬する」事を匂わせて終わる。
現実社会と重複するような怖さを受け手に知らしめるのが、清張作品の醍醐味なのだ。
彼の書いてきた日本の闇は、小説の世界だけのものではない。それなのに未だ変わっていないこの国は、もはや"信ずるに値しない"と思うのは私だけなのか?間違っていることを正さず、真実が陽の目を見ない事を、許していいものだろうか。
清濁あわせ呑む度量の大きさに、人情と熱意を兼ね備えた大人物はこの世にいないのか。国民の為に尽くすのは当たり前なのに、そう宣言しても全然できていない。そんなのを頂くこの国の終焉を止める者はいないのか。いっそのこと、圧力をかけて一気に崩壊してしまえばいい。
★四半世紀近く前のドラマ、いつもながら懐かしいものが多く映っていた。
① 雅子様愛用の香水"トレゾァ"
② わが家で使っていた留守番電話
③懐かしの地下鉄入口
そして何より恐ろしかったのが、テーマソングを歌っていたヒトの名前。
「火曜サスペンス劇場」、そして今は亡き緒形拳さんを、とても懐かしく思った2時間だった。