100年企業 起死回生の一手は? ~コロナ禍 大量廃業時代~ (NHK クローズアップ現代+)
厄介な疫病禍のせいで、私たちの暮らしは以前とは少しずつ違うものになってきている。地球規模的に大きな変化が出ているが、100年以上続く伝統産業にもその影響がおよんでいる。
創業135年を誇る八王子の東京和楽器。三味線製作で最大手ながら、全国的な舞台や演奏会の中止・延期により注文が激減。一時は廃業を決断したが、思わぬところからの援助がありそれを回避できたエピソードには考えさせられるものがあった。
コロナ倒産やコロナ廃業といわれる、どうにも抗えない波のせいで立ち行かなくなっている企業は多い。中小企業などはまさにその危機に直面しており、後継者不足も重なって会社をたたむ選択をしたところもあるだろう。
全ての事業主に公平に援助できれば一番良いが、なかなかそうもいかない。しかし観光事業者への事業支援同様に、日本の伝統文化を継承する企業へも政府は支援すべきだろう。なぜなら、匠の技の継承には長い年月と厳しい鍛錬が必要であり、一度途絶えたら二度と復活はできないからだ。
三味線は歌舞伎だけでなく、寄席にもなくてはならない和楽器だ。三味線製造が無くなったら、日本の伝統文化も同様に終わってしまうといっていいだろう。
番組にとりあげられた東京和楽器は、すんでのところで廃業を免れたが、ここから先はどうなるのか。必ずしも安泰とはいえなさそうだ。三味線を販売する小売店はまさに運命共同体であり、とにかく早く作戦を練り実行しなくては、再三の危機がやってくるだろう。
ITだの、オンラインだの、先端技術を使っての進歩も大切だが、もっとアナログな血の通った守るべきものがあることを忘れてはいけない。そう思わされた番組だった。