カーネーション 〈第85作〉 第4週「誇り」(22) 感想と思い出話
小原善作 (小林薫)
小原呉服店店主。糸子の父親。
酒好き、亭主関白、昭和の親父そのものだが実は小心者。
糸子が子どもの頃は店の集金に行かせたり、「女は男に勝たれへん」と殴ったり、ほぼ毎回糸子とぶつかる、結構スパルタな頑固親父なキャラである。
が、本当は誰よりも糸子を愛し、親として大事に思っているのが折々の表情からにじみ出ている。
それは脚本の良さと、それを演じる小林薫の上手さの成せる技なのだが、今回はそれが特に際立っていた。
呉服屋に未来がないから、娘の才能に頼って金儲けをしよう。そんな意地悪な見方もできそうなストーリーだが、決してそう思わせないのは善作の言動に愛情がこもっているからである。
心斎橋まで出向き、カフェで土下座してでも娘の希望を叶えてやりたい。言行一致とはこういう事なのだ。
私はドラマや映画の中に、つい亡き父を探してしまうのだが、善作にも父を思った。
私は糸子のような非凡な才を持ってはいない。そんな私に、父はさりげなく就職活動の助け舟を出してくれた。
「ちょっと、外でご飯食べに行こか」
父のおごりや〜と能天気について行くと、和食屋さんだったか、席に上品な老紳士がいて、
「お父さんと仲良くさせてもらってます」
幼くして父親を亡くした父の、お父さんみたいな存在なのかな?と思いながら、2人の談笑を聞いていた私。
後で聞いた話によると、その方はさる企業のちょっと偉い方で。私の食事の仕方と「いただきます」「ごちそうさま」で手を合わせた様子を見て、人事部に推薦してくれたとの事。
えー、私は自分の就職先くらい自分で何とかするよ!と思っていたが、時はバブル後の氷河期。今年は大卒女子の募集は無いと言われまくり、何が機会均等法やと憤死寸前の私。
結局、その企業の総合職として採用されたのだから、いわゆるコネ入社に近いものだったと。
そこから人生も変わったので、ある意味父は私にとっての善作だったのだと、今日ドラマを見て再認識した。
この先、ドラマの中で善作も様々な顔を見せる。その度にまた、父を重ねて物語を追いかけていきたい。