9月の便り(梨づくし)
8月はあまりに台風が多く季節のことを文章にするのが憚られました…
ひと月飛ばして9月です。
それでも天候は落ち着かず被害の出ている地域もあり、秋にたどり着くのがこんなに苦しいのかと日々思わされます。
やっと秋の風を感じられるように。
この冷たさと落ち着きは、梨をかじった時に感じる感覚と近いと個人的に思っています。
果物をもったいぶってしまう癖があります。
スーパーに並べられ始めても、もう少ししたらにしようと食すのを先延ばしにしてしまう。
梨もそうです。
昔は、夏が好きだったのかもしれません。
梨を食べてしまうと秋の訪れを受け入れてしまったように思うから、先延ばしにしていたのかも。
そんなわけで梨の品種が移り変わるのを追いかけることなど当然できず
満を持して「新高」を10月近くなって食べるということが多かったです。
今年は出始めから順番に順調に食べ進めています。
幸水、豊水、新甘泉、秋月…
というのも夏の暑さをクールダウンさせる必要があるから。
年々夏が厳しいことと、年々体質が燥に寄っていっている印象があるからです。
薬膳では体に残る夏の暑さを秋に持ち込まないための方法として涼の果実を食べるといいとされます。
今年はそんなわけで出回る順に食していっているのですが、
初めて、新甘泉という梨を食しまして、これがびっくりなお味でした。
『梨の中の大吟醸』と呼びたいくらい、上品でさまざまな味わいが口の中で広がる印象でした。
甘みは強いのだけど、くどくない、
主張が強いのではなく、実は塩梅やバランスがとてもちょうど良い。
でも毎日食べるなら秋月が好みですね。
梨は薬膳的にも唎酒師としても魅力の高い果物です。
来年も同じ時期にお世話になりつつ、研究したい対象です。