【絵本】 みつばちれっしゃでいこう
とある 春の日。
木のえだに できた はちのすを 見つめる しろねこの おびちゃん。
「おなか すいたにゃ。はちみつ ふってこないかにゃ」
「あっ、そういえば はちのすって たくさんのはちみつが はいってるって きいたことあるにゃ」
そういうと おびちゃんは 木に のぼりはじめました。
つんつん つんつん・・・
すると はちのすから いもみつばち の しゅうだんが とびだして きました。
ぶんぶん ぶんぶん・・・
いもみつばち の しゅうだんは おうちを ゆらされたので とても おこって いました。
「ごめんにゃ〜、ちょっと はちみつ ほしかった だけにゃ」
おびちゃんが 走って にげていると とおくで なにかが とんでいるのが 見えました。
ぽっぽー ガタンゴトン ガタンゴトン・・・
「んにゃっ!あれは・・・」
ぽっぽー ガタンゴトン ガタンゴトン・・・
音は だんだん 近づいてきます。
「おびちゃん〜」
近づいてきたのは おびちゃんの しんゆう、わたみつばち の べびくん でした。
べびくんが のっている れっしゃは 花のえき で みつを あつめる みつばちれっしゃ なのです。
「おびちゃん、そのかお どうしたの?」
「いもみつばち たちを おこらせちゃったのにゃ。たすけてほしいにゃ」
「あらら。じゃあ ちゃんと ごめんなさい しようね」
「おうち ゆらしちゃって ごめんなさいにゃ。おわびに ぼくにも みんなの しごとを てつだわせてにゃ」
「おびちゃんも こう言っているし いもみつばちくん ゆるしてあげてね」
ぶんぶぶっ ぶん。
いもみつばち たちは おびちゃんを ゆるしてあげる ことにしました。
「じゃあ さっそく おしごとに いこうにゃ!ぼく がんばるにゃ!」
「おびちゃん そのかっこう・・・いつのまに きがえたの?」
ものすごい 早さで みつばちの かっこうに きがえた おびちゃんは べびくんたちと みつばちれっしゃに のりこみました。
ぽっぽー ガタンゴトン ガタンゴトン・・・
さいしょのえき “なのはなえき” に とうちゃく しました。
「きいろい なのはな からは なめらかで あまいみつが とれるんだよ」
「そうにゃの?あじみして いいかにゃ?」
「だめだよ。早く はこんで」
ぶぶんっ ぶぶんっ。
“なのはなえき” で たっぷり みつを つめこんだ みつばちれっしゃは 次のえきへ むかいます。
「つぎのえきは なんの みつが とれるのかにゃ?」
ぽっぽー ガタンゴトン ガタンゴトン・・・
次のえき “ネコヤナギえき” に とうちゃく しました。
「ふわふわした ネコヤナギの 花からは すっきりしていて にがみの ある みつが とれるんだよ」
「たしかに ちょっと おとなの あじにゃ」
ぶぶんっ ぶぶんっ!
みんなで みつを いっしょうけんめい あつめている その時でした。
カチカチブンブン!!
なんと ヤリスズメバチ が あらわれたのです。
「うひひ。おとなしく みつを よこせ!」
「うわあ!きんきゅうじたい!みんな にげて!」
べびくんは さけびました。
みつばちたちは つよく ありません。
みんな いちもくさんに にげだしました。
「へっへっへ。よわい みつばちども」
「うひひ。今日は ラッキーだ。さっそく みつを うばおう!」
ヤリスズメバチは みつばちたちの たいせつな みつを ぜんぶ うばいさろうと しています。
このままだと みつばちたちの せっかくの くろうが 水のあわ です。
「さわがしいにゃ〜。早く 次の みつを とりに いこうにゃ」
なにもしらない おびちゃんが ひょっこり かおを だしました。
「な、なんだ!?あの大きな みつばちは!」
「あんな 大きな みつばちは 見たこと ないぞ!」
ヤリスズメバチは びっくりして ヤリを おとしました。
「に、にげよう!!」
コチコチプンプン〜・・・
あわてて にげだしていった ヤリスズメバチ。
みつばちたちは おびちゃんの もとへ もどってきました。
「すごいね おびちゃん! どうやって おいはらったの?」
ぶんぶぶんっ。
「ぼくは なにも してないにゃ」
みつを うばわれずに すんだ みつばちれっしゃは いよいよ さいごの えきに むかいます。
ぽっぽー ガタンゴトン ガタンゴトン・・・
「おーい!べびくん!」
さいごのえきで まっていたのは はちみつりょうりレストランの コックさんと みならいコックの トミーくん でした。
ガタンゴトン ぷしゅーっ・・・
「みんな おつかれさま。いつも おいしい はちみつを とどけてくれて ありがとう!」
コックさんは えがおで みつばちたちを むかえました。
「あのね コックさん。今日 ぶじに みつを はこんでこられたのは おびちゃんの おかげなんだ。おびちゃんが いなかったら せっかくあつめた みつを ヤリスズメバチに うばわれる ところだったんだよ」
「たいへんだったね。みつばちおびちゃん とっても えらいなぁ。どうもありがとう」
「てれちゃうにゃ」
「ごほうびに みんなに はちみつを たっぷり つかった おいしいりょうりを つくってあげるよ」
「やったにゃ!これでぼくも いちにんまえの みつばちにゃ」
ぶんぶぶんっ。
コックさんは はちみつを たっぷりかけた パンケーキを わたみつばちの べびくんと いもみつばち たちと みつばちの かっこうをした おびちゃんに つくってあげました。
「やっぱり がんばったあとの ごほうびが いちばんにゃ!」
「せーの・・・いただきます!!」
その日から しろねこおびちゃんは みつばちれっしゃに のって はちみつを たいせつに はこんでいます。
━みつばちの かっこうをして。