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2024.12.8 ダンスとライブとコーヒーと

ついに、1ヶ月以上前の話を書くようになってしまった。夏休みの宿題が進まずに月日が過ぎていく感覚。
しかし、日々の出来事を「これ、noteに書きたいなあ」と、気に留めるようになった。今まで出来事に立ち止まることがなかったので、新鮮な感覚だ。
でも、全然書けてないと、溜まっていくストレス。いいとこわるいとこだ。
さて、今回の1日を書く前にも前置きがいる、前置きの長いやつだ。

大学生活とダンス

僕は大学生活4年間を島根県の浜田市という町で過ごした。島根県の中でも中心部の出雲や松江から車で2時間以上。島根県西部の港町である。

みなさんは大学生活と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
休日はスタバで彼女とお茶したり、ショッピングモールに買い物に行ったりカラオケに行ったり、夜は遅くまで飲み屋でお酒を飲んで酔い潰れ、ラウンドワンで遊ぶ(いや、これあってるのか?)

その全てが、浜田市にはなかった。スタバがないのはもちろん。遅くまでやってる飲み屋も、カラオケすら当時なかった。(カラオケをしに車で40分の隣町まで行ったものだ。)ファミレスも車で20分。
マクドナルドはショッピングモールの片隅に小さくある。マックシェイクはない。機械がないらしい。

若者が好きなものは何もない町。この町で僕はダンスに出会う。実は、昔から見てたストリートダンス。高校までは小っ恥ずかしくて、興味があるなんて言えなかった。少し勇気を出して、高校の時から一緒だった友達と入部した。

何もない町が功を奏した。大学生がやることといえば、勉強かバイトか部活。本当にそれ以外ない。勉強はあまり好きではなかったし、バイトはあまり熱心にはなれなかった。消去法のような形で僕はダンスに熱中した。
もちろん何もない浜田市には教えてくれる先生もいない。貧乏ながらにも手に入れた車で、広島や松江にも通って、いつも深夜までダンスに明け暮れた。
一時期、金曜の深夜12時から山口市でダンスの集まりがあると聞いて、毎度通っていたのが懐かしい。(浜田市よりは車で2時間)
同じく、熱心にいろんなところを飛び回った仲間たちは今でも仲が良く、よく会っては当時の話で盛り上がる。

コーヒーとダンス

そんな学生時代のダンスのつながりから、松江のダンススタジオ、リライズの代表のんさんからお誘いをいただき、コーヒーを淹れないかと、年に数回の発表会ではコーヒーで出店させてもらっている。

あるとき、コーヒーの出店だけじゃなくて、ダンスも踊ってよ、と声をかけていただいて、去年の夏には数年ぶりに人前で踊る機会をいただいた。人前で踊る高揚感と、終わったあと、「よかった!」と声をかけてくれるみんな。当時のようにばりばりと踊ることはできなくなってしまっていたのだが、また踊りたいなとダンスへの熱が再燃した。

夏のダンスライブ
もちろんコーヒー出店も


当日までの話

そして、そんな夏から数ヶ月が経った12月、冬の発表会でコーヒー出店とダンス出演が決まっていた。
一緒に踊るメンバーは当時一緒にダンスに明け暮れた後輩2人。こちら2人の紹介は追々していこう。

踊るって言ったって当日いきなり、はい踊ります、という簡単な話じゃない。大学生の当時は大きなイベントの前には1ヶ月以上前にショーを完成させて、毎晩毎晩合わせたものだ。今はそれぞれ違う土地(島根鳥取広島)に住む3人だったので、一緒に会って合わせられるのは前日か当日のみだ。入念に準備してオンラインで練習していこう、と話をしていた。

しかし、出演を決めてから、1ヶ月たっても2ヶ月経っても曲も何も決まらない。なんとか発表会の約1ヶ月前に使う曲が決まった。しかし、一ミリも振りを作ることができない。当時の感覚はもう僕にはないのだ。2人に謝って、当時大学四年生の時に僕が作ったショーケースをそのままやることにした。(当時たくさんショーケース作ってたのが信じられない)

リライズダンス発表会

その前日

そして前日、僕はいつも通りコーヒー屋さんで夜までコーヒーを淹れていた。土曜の夜、かわるがわるきていただくお客さんにコーヒーを淹れていると、明日一緒に踊るメンバーのいさむがやってきた。

少し彼の紹介をしたい。
彼は僕が大学四年生の時の一年生。同じダンス部で過ごしたのは1年間と、とても短かった。が、彼とはその短い間にとても深い仲となった。僕が行くイベントには必ずと言っていいほど付いてきてくれた。飲み会の後にはいつも彼の家でダンスの動画を見た。そして僕が働いていたお好み焼き屋さんで、彼も働いた。僕の卒業間際には何週間か彼の家に転がり込んで一緒に住んだ。
卒業してからも仲が良く、僕は島根、彼は広島に就職したのだが、そんな中でも一緒に遠出したり、彼の転職期間には一瞬、一緒に住んだり(?)した。
教員として広島で働く彼だったが、少し前、仕事を辞めて彼もコーヒー屋になった。なんだかんだ全部一緒、とても仲良しなのである。
ダンスもコーヒーもオタク気質、熱中したらのめり込むタイプ。彼とはいつも話に花が咲いて、気付いたら朝が来る。

さて、話を戻す。
営業中の店内では、真剣な顔で僕らの手元を見ているいさむ。やめてほしい、緊張する。彼は本当にコーヒーに対して熱心だ。勉強と練習を怠らず、日々より良いバリスタになるべく努力している。遊びに来た僕らの店も勉強の一環なのだろう。エスプレッソをちびちびと飲んで、ふむふむと頷いていた。

そして彼は今日は我が家に泊まる予定なので、閉店まで待ってもらった。閉店後にせっかくなのでと工事中のゲストハウス、余白を見てもらった。メンバーの岩本がピザを買ってきてくれて、居合わせた数名で食べながら話をした。話は盛り上がり気づいたら深夜1時を過ぎている。いかんいかん、本番は明日のダンスイベントだ。帰って寝ようと、解散した。
でもやっぱりちょっと腹減らん?と深夜に牛丼屋さんに行って牛丼を食べた。そして家に帰ってなんだかんだ朝方まで話し込む。大学時代から続くお馴染みだ。

余白のカウンターに入るいさむ

まあでも明日はお昼くらいからのイベントだからゆっくり寝られるよねーと思っていたが、イベントスケジュールをよく見ると、リハーサルが8:40から。おしまいだ、と思いながら眠りについた。

当日朝

そしてほぼ寝る暇もなく起床。すぐに着替えて会場のくにびきメッセへと向かった。大きなステージ、大きい会場にびっしりと並んだパイプ椅子に、緊張してきた。

今回踊るもう1人のメンバーが、としくん。いさむの同級生だ。彼とも大学時代は一年間くらいの付き合いだったのだが、大学卒業後、特に僕がコーヒー屋になってから仲良くなった。彼は大学卒業後、地元では有名な企業で働きながらもダンサーとして活動し、驚くことに鳥取では古着屋店員の顔も持つ。僕の住む松江へも、ダンサーとしてレッスンなどでよく来ていて、その度に僕のいるコーヒー屋へも顔を出してくれる。
地域では有名なダンサーであるとしくん。会場のいろんな人と仲良さそうに話をしている。

挨拶もほどほどに、リハーサルの時間になる。大きなステージと、立派な照明の中で踊るのは大変久しぶりでそれだけで緊張した。

リハーサルを終えて、出店準備へと向かう。いつも1人で行う出店設営も、同じコーヒー屋として働くいさむと協力して行うとすぐに終わり、なんだか手持ち無沙汰になった。そうして談笑していると、同じく出店者さんたちが続々と集まり、設営を始めた。

大学ダンス部のみんなとの再会

その中に知っている顔があった。彼女も大学生活では共にダンスで県内外走り回った仲間、ゆりさんである。彼女は今回ダンサーとしてではなく、お隣で出店するグリーンズベイビーという街では有名な飲食店のスタッフとしてきているらしい。彼女も平日は県内有名企業で働いているのだが、休みの日にはこうして出店などでイベント参加もしているとのこと。みんなマルチに活動していてすごい。
ゆりさんは僕と年は二つ離れているが、ダンスでは同じジャンル、そして僕の二代あとの部長だったこともあり、当時からとても仲良くしている。責任感が強く、当時部長を任された時は「やりたくないです」と涙を流していたのを思い出す。

ゆりさん

そして、前の話までで何回も紹介している、りなちゃん。僕が働くコーヒー屋の隣の古着屋さんで働く彼女も今回一緒に出店。今回はスカーフなどの小物を持ってきていた。何を隠そう、彼女も大学時代、ダンス部の後輩なのである。

当時ともにダンスに明け暮れた仲間が、今こうしてダンスイベントで一緒に出店という形で出会うなんて、全く当時は想像もしてなかった。なんだかとても感慨深い気持ちになった。

いさむとりな

イベント開始

そうして感傷に浸っている暇もなく、イベントは開始の時間となった。僕らの出演はイベントの最後の方、それまでは心置きなく、コーヒーを淹れる。いつも本当にありがたいことに、イベント中たくさんのコーヒーを淹れさせていただく。今回は僕1人でなく、いさむもコーヒー屋なので代わりに入れてもらった。本当に心強かった。とてもたくさんのコーヒーを淹れさせてもらったのだが、それでもお客さんとお話しする時間もたくさんあり、心に余裕があった。隣を見るとりなちゃん。その先にはゆりさんが各々の接客をしている。素敵な景色だ、と思いながら眺めていた。

なんてしてると時間はすぐに過ぎてゆき、僕の踊る順番が近づいてきた。突然、踊る実感が湧いていて緊張してくる。お店は一旦閉めて、ステージ横に3人で集まる。2人は見るからにダンサーという雰囲気で踊ったりぴょんぴょん飛び跳ねたりしている。ぼくはおじさんなのでぴょんぴょんできない。

曲が流れてステージへと入っていく。前には楽しそうな2人。僕も負けじと楽しそうを装って踊った。
僕のダンスは、お世辞にも当時のようなキレはなかった。でも、あの頃を思い出し、人前で踊る高揚感が蘇った。後半は年柄もなくはしゃいで踊っていただろう。おじさんの楽しそうな姿は今の若いダンサーたちにどういうふうに映ったのだろうか。気になるが恥ずかしいので聞かない。

そして僕らのダンスが終わった頃にはイベントも後半戦。出店者さんたちはすでに片付けを始めていた。僕らも急いで片付けを始めた。なぜならいさむには帰りのバスの時間がある。そしてなんとかバスの時間に間に合うように、片付けを終えることができた。

慌ただしく駆け抜けた1日、とんでもない達成感と共に、突然寂しさが押し寄せてきた。僕は、いさむに「やっぱ、今日も泊まっていかん?」と遠距離恋愛中の彼氏のように懇願した。いさむは、明日朝から仕事なんですよね、と大人の対応。しかし僕はもうどうしても帰ってほしくなくて、もう後先は考えず、「俺が明日の朝までに広島まで送るから!」と。それだったら...と承諾してくれたいさむ。

原田茶飯事さんのライブ

実は今日はこのあと、オープン前のゲストハウス余白にて、アーティストである原田茶飯事さんのライブがある。僕はもともと、ダンスイベント終わりで向かう予定だった。半ば拉致のような形でいさむとりなちゃんを余白へ連行した。

ついた頃にはもう、茶飯事さんのライブ始まっていた。僕はライブに参加するのは初。音楽もイマジンでよく青山が流してる曲、くらいであまり聴いたこともなかった。

結果、僕は一瞬で茶飯事さんのファンになった。ダンスイベントあとのライブだったからだろうか、僕には茶飯事さんのライブはダンスに見えた。彼にとってはギターも、声も、足踏みも全て楽器なのだろう。音の上で遊ぶ。まさにダンスだ。本当に楽しそうに、気持ちよさそうに音で遊ぶ彼は、まるで少年のように見える。みんなで揺れながら、笑いながら、その音を一緒に楽しむ。最後の曲で、茶飯事さんの声、そして会場にいた子供の笑い声、そしてそれを聞いたみんなの笑い声、それが重なり合った時、涙が出そうになった。疲れと、達成感で感覚が研ぎ澄まされていたのだろう。

余白でのライブ
自分たちで塗った壁がライトでいい感じ

ライブが終わった後もその朗らかな空気は続いた。茶飯事さんは丁寧に、それであって明るく、会場のみんなと話をしてくれる。その場にいるだけで、心地よく時間はすぐに過ぎていった。

ここから広島へ

さあ、打ち上げに行こう
と誰かが先導した。いきたい気持ちは山々だったのだが、そうだ僕らは今から広島に行くのだ。
ここでは、なんの後悔もなかった。いさむにこれを見せるために僕はわがままを言ってたんだ。
さあ、広島へ向かおう。足取りは軽かった。この時すでに23時ごろだっただろうか。

車には僕と、いさむと、りなちゃん。いつも僕のわがままに付き合ってもらうりなちゃんには感謝しかない。広島までの道中は、なにを話したのかは全く覚えてないが話が盛り上がり、3時間が一瞬だった。到着したのは深夜1時。
この瞬間に、今まで感じてなかった疲れが一気に襲ってきた。そんな僕の顔を見てか、いさむから「ちょっとここで寝ていってください」と提案をもらった。

そして松江へ

明日(?)の僕の仕事は朝の8時から。今は深夜1時、広島から島根まで3時間。一旦家に帰るにしても3時間くらいは寝られる。
寝たか寝てないかもわからない状態で、また島根までの運転が始まった。疲労困憊の僕を見てりなちゃんは気を利かせて、運転をしてくれた。助手席に座ると。シートに吸い込まれそうになったところまで覚えている。
そして、気づいたら松江にいた。ぐっすりと眠ってしまった。不甲斐ないが、運転してくれたりなちゃんは本当にありがたい。頭が上がらない。

シャワーを浴びて、さっさと着替えて、出勤した。なぜかその日は眠気に襲われることもなく、元気にお店に立つことができた。昨日ことが嘘だったみたいに。

大学時代みたいな集合写真

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