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不知火(デコポン)を切る。Chat GPTを試してみた。(みかん切り日記4)

みかん切り4年目

 今期も、11月末から1か月ほど、清水区のみかん農家のSさんのところへ、主に「青島温州」の収穫に行き、さらに2日間Sさんの近くの別の農家でみかん切りをしました。
 それも終わって、年を跨いで20日ほど冬眠していましたが、「そろそろどこからか仕事のオファーがないかなあ」 なーんて何の根拠もなく考えていたところへ、Sさんから、「親戚のMさんが切り子を探しているけど行きますか」と連絡があったので即座に「行きます」と答えました。

 今度のお手伝い先のMさんは、かつての由比町(今は静岡市清水区)の農家さんです。由比は駿河湾に沿った細長い街で、背後に山が迫っており、その斜面をいわゆる「畑総(畑地帯総合整備事業)」で平らにし区画を整理した農地にMさんの柑橘園が広がっています。
 Mさんは「青島温州」などのみかんも作ってはいますが、主力品種は「不知火(しらぬい)」です。
 「不知火」を御存知でしょうか。スーパーで見かけますよね。よく似たもので「デコポン」という柑橘も見かけると思います。
 違うものなの?と疑問を感じたことはありませんか。


デコポンとは何か AIに聞いてみた

ところで、このごろ「Chat GPT」というのが話題(らしい)です。
 チャット形式で何か質問するとAIが、ウエブ上の情報を即座に収集して、文章化し答えてくれる、というもの(らしい)です。
 この際、「デコポン」の説明でAIの能力を試してみましょう。
 Chat GPTを検索したら、スマホ用のアプリを見つけたので、早速「3日間無料お試し版」をインストールしてみました。
 AIくんは「デコポン」を説明できるだでしょうか。

私 「デコポンとは何ですか?」
 AIくんは、数秒間もじもじしていましたが、次の瞬間さっと表示が出ます。
「デコポンとは郵便物につける切手のようなもので、デザインが変化する、デジタルスタンプのことです」

 うそこけ! 何だそれ! 口から出まかせか?
 いや、しかし…私が知らないだけで「デコポン」という「切手のようなもの」が世の中には存在するのかもしれません。

 そこでもう少し間違いなさそうな質問をしてみました。ほらよく裁判で「では質問を変えます」っていうのあるじゃないですか。

私 「柑橘類のデコポンとは何ですか」
AIくん
「柑橘類のデコポンとは、柑橘類をモチーフにしたデコポンのことです。デザインは柑橘類をモチーフにしたものがメインですが、柑橘類以外のものも取り扱っているところもあります」

 何言ってんだ!このしと。全然デコポンの説明になってないし。もっともらしい言葉を並べていながら、本質を何も説明しとらん。学生の頃の私の論述問題の解答並みだ。

 少しレベルを下げよう。再び質問を変えます。
私 「温州みかんとは何ですか」
AIくん 
「温州みかんとは、温州出身の「温州みかん」と呼ばれるあめりかりんごのことです。温州みかんは、中国の七彩果実といわれ、一味違った甘さと香りが人気です。

 何やら「あめりかりんご」という新商品を出してきたな。なんでリンゴなんだ? そんな物がホントにあるのか? 「中国の七彩果実」とか、何となく本当っぽい気もするが、皆さん騙されてはいけないよ、このしとに。

 どうもAIくんは「柑橘系」は苦手のようなので、今度は「お茶系」で行くことにしました。
 私は「お茶師」を自認しているので・・・

私 「お茶師とは何ですか」
AIくん
「お茶師とは、お茶の技法などの知識や技術を伝える専門家のことを指します。お茶師は、歴史的背景や国際関係など、多岐に渡る知識を持っています」

 え? あ、いやあ、それほどでもー。持ち上げるなよー、AIくん。
 しかし、やはりお茶系の方が得意そうだな、君は。

最後にもう一度聞いてみた。
私 「デコポンとは何ですか?」
AIくん
「デコポンとは、1980年に発行された、毎日動物公園から発行された名刺サイズの印刷物です。名刺の向こう側には、収集対象の動物の写真が貼られ、一部には、ゲームなどのゲームルールなどの解説も添えられています」

 うー! さっきと全然違うじゃん! なんの話してるんだよ!
こいつテキトーにその場しのぎの口から出まかせいってるだけやんか!
 週500円のサブスクはとても契約できんな。
 しかしこのアプリは本当に話題のChat GPTなのだろうか。
 ちょっと調べてみると、どうもOPEN AIの提供する正式なソフトはスマホ用にはまだないらしい。ということは、このアプリは本当のChat GPTではないのではないか。

「デコポン」とは何か ホントの話

 もうAIは信用できないことが分かったので、
もう、俺の話を聞け~、五分だけでもいい・・・本当のことを話すから~。(クレージーケンバンドか) 
 簡単に言うと、「デコポン」「不知火」も同じ品種で、「デコポン」は商品名で、「不知火(しらぬい)は品種名です。
 農林省園芸試験場(今の農研機構)で「ポンカン」×「清見」の交配によって育成され、昭和53年に初結果したそうです。しかし、器量が悪い! へたの周りに凸が盛り上がってるし、果皮はごつごつして硬いし、ちょっと見美味そうじゃないということで注目されませんでした。
 それが、実は美味しいしということで生産する農家があり、市場評価も高かったことから平成2年に「不知火」と命名されました。「不知火」の由来は熊本県の不知火町の地名からです。。
 やがて各地に栽培が広がって行きましたが、熊本では「デコポン」という愛称を用い、一定の品質基準をクリアしたものを「デコポン」という名称で販売するとして熊本県果実連(JAの連合会)が商標登録をしました。
 その他の産地はいろいろな名称で販売していて、混乱を招く結果になったため、JA系統の全国組織(日園連)も商標を使える協定を結び、「デコポン」の商標を使えるようになったのです。この「一定の基準」とは糖度13度以上、酸度1.0%以下というものです。

したがって、「デコポン」という名称で売っているものは、JAの系統出荷で、なおかつ品質基準をクリアしたもの、ということになります。

 というわけで、今回の話、最後の章以外いらなくね?

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