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お茶師日記

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山のお茶づくりなどを手伝いながら、自由に生きていきたいおっさんのエッセイです。
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2021年1月の記事一覧

つるとり【お茶師日記11】

つるとり【お茶師日記11】

2019年6月13日 

畑仕事

一番茶の工場勤務が終わって20日ほど、家で少しずつ事務仕事などをしていたが、副社長から「2番茶を刈る茶園の『つるとり』やってくれませんか」とメールが入った。
 「つるとり」とは茶株面のヤマイモのツルを除去することである。我が社は山間地にあるが、市街地に近い南部の丘陵地に茶園を借地して経営規模を拡大しつつある。そこに二番茶を摘採する茶園が3か所ある。
 茶園の中

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【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

2019年6月9日

一番茶終了

 工場は6月初めまで一番茶の番茶を製造して終了しました。私はお茶師としては2番茶までお休みです。しかし、幸い仕事がないわけではありません。社長から「今年はGAPを取るので手伝ってもらいたい」と言われていました。

 GAP(Good Agricultural Practice)とは、製品の安全性や環境や労働衛生に配慮した正しい生産管理方法を取り決め、認証を受ける

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茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

2019年6月
 前回書いたような経過があって、この工場は2017年秋から新たなスタートを切りました。
 しかしです。いくら地域の茶業を守ると言っても、経営が行き詰まって解散しようかという工場を買い取って採算の取れる経営ができるのか、と誰もが思うでしょう。これについて新社長にはおそらく2つの戦略がありました。
 1つは会社としての「直営農場」を確保することです。茶栽培をやめていく人が続出する現在、

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茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

 今回は、私がお手伝いしている茶工場(有限会社)に出入りするメンバーについて紹介します。
 会社は、静岡県中部の清流に沿った山間部にあります。「茶工場」といってもお茶を加工するだけでなく、お茶を栽培し、収穫し、販売する。純然たる農業生産をしています。

 会社としての正規メンバーは若い3人。30代の社長と30代の副社長が役員、そして高校を卒業したばかりのT君が社員です。
 3人はこの会社の構成員で

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【お茶師日記7】 お茶師と体力

【お茶師日記7】 お茶師と体力

2019年 5月17日
 お茶師は茶工場の中で、どのような労働をしているでしょうか。

 自動化していない製茶ラインの場合、お茶師は茶葉の状態をチェックし機械を調整することや、取出し(次工程への搬送)のタイミング判断のため、機械から機械へと動き回っています。また、生葉の集荷場、荷造り場、事務所へ行ったり来たりしています。

 ほぼ8時間の勤務で何歩くらい歩くかをスマホアプリで計測すると、自分の場合

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【お茶師日記6】毎日が失敗

【お茶師日記6】毎日が失敗

2019年5月8日

 ここで製茶の仕事を始めてから一番の、大きなミス(お茶の製造上の失敗)をしてしまいました。
 今までもちょこちょこと小さな失敗はありましたが、影響が小さいか挽回可能な程度でした。しかし今回は大きなミスです。
 茶工場では、毎日のようにトラブルが起きます。それは「機械の不具合」と「人為的ミス」のどちらかが原因です。そしてトラブルやミスが一つ起きると、それが次のトラブルやミスを生

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