Temple Dog ~奇跡の犬~
ベトナム縦断したり南米に1年間居住したりして、今はタイのお寺で修業中のひろみです。
最近、若い僧侶が新しくこのお寺に来た。
名前はタムといってシンガポールに5年、アメリカに1年住んでいたタイ人。
彼は英語が堪能で一緒にいることが多いのだが、色々なことを教えてもらっている。
実は僧侶になる前から瞑想をしていたらしく、瞑想歴は5年ということでアドバイスをもらった。
そのアドバイスをもとに今日瞑想したところ、今までとは格段に瞑想がやりやすくなった。
僕は今までへそに意識を持って行って瞑想をしたいたのだが、心臓に意識を持って行くようにした。
心臓に意識を持って行くとよい点が二つあり
心臓の鼓動は小さいためそれを感じようと自然に集中する
鼓動を感じれば集中できているとわかるので集中状態が継続しやすい
彼はとても話し好きで仏教や瞑想についてたくさん教えてくれるので、これからも学びを深めていきたい。
Temple Dog ~奇跡の犬~
先日タムとお寺に住み着いている2匹の犬を連れて近くの滝に行った。
犬はピントとピヤンというのだが、とても人懐っこくてお寺の中外関係なくどこまでもついてくる。
危ないので本当は滝までついてきてほしくなかったのだが、何をやってもおってくるので仕方なく一緒に行くことになった。
滝はお寺からすぐ近くで、どうやら国立公園の中にあるものだそうだ。
せっかく来たからもっと楽しもうよということで、傍にある山を登ってできる限り滝の源流に近づくことにした。
道は最初の方は歩きやすくよかったのだが、上に行けば行くほど整備されなくなっていき最終的には原生林の中を草を押しよけながら進んでいた。
僕たち人間は苦労して進んでいるのに、犬2匹はあまりにひょいひょい歩いていくので
「さすがテンプルドッグ!毎日お経を聞いて育っているから仏陀からのパワーにあふれてる!」と言ってしまったほどだ。
しばらく行くと滝口に着き、その先は岩が平らになっていて川が流れている場所と川が流れていない場所があったので、川の上を歩いていくことにした。
底は川ですべすべで流れも強く、どうしても水の中を歩かなければいけないところもあったため、犬は置いていき2人で進んでいった。
だが、若い方の犬であるピントだけは自分で道を見つけているのか、なぜかいつも僕たちの先にいて「まだかよ」って感じで待っていた。
滝口から見るチェンマイの山々、自然の景色は美しく、瞑想はしてなくても心が洗われるような気分になった。
さらに進むとこれ以上進めない深さまで来てしまったので、そこでしばらくのんびり。
そろそろ暗くなる時間だし、雨が降りそうだったので帰ることに決めたのだが、なぜかピントが帰りたがらない。
いつもは僕たちについてくるのになぜかこの時だけ全くいうことを聞かない。
むしろ、何か見せたいものがあるかのようにどんどん奥まで行ってしまう。
慌てて追いかけたのだが、追いかけ逃げられの追いかけっこを続けた結果、これ以上行くと森に迷って死んでしまうと身の危険を感じ、しぶしぶピントはおいて帰ることにした。
そこは流れが強く犬1匹では絶対に帰れない場所で、しかも天気も悪くなっていたので連れて帰りたかったのだが、追いかけたら逃げられるし、どんどん暗くなるし、天気は悪くなるしで、これは苦渋の決断だった。
帰り際タムがこんな時にぴったりな話があるといって、ある仏教の物語を話してくれた。
”森の中である女性か迷子になり、その女性を30人の男が探しに行った。
森の中を進んでいくと、そこで修業中のブッダにあった。
男たちは仏陀に事情を話し助けを求めると、仏陀は
「お前たちが探しているのはその女性か、それともお前たち自身か(男たちの心?)」
すると男たちは「自分自身です」と答え、彼らは僧侶になった。”
話の内容も意味わからなかったし、結局女性がどうなったかわからないので、女性は見つかったのかと聞くと
「見つからんかったよ」とタムは答える。
それってピントも見つからないってことじゃん!と突っ込んだし、なぜタムがその話をしたのか今でも謎。
この出来事自体を僕たちの試練と捉えたのか、ぴんとはもう助からないと思ったのか、、、
行きは2人と2匹だったのに、帰りは2人と1匹でお寺に到着した瞬間、大雨が降りだし、これでピントはもう戻ってこないな、、と諦めた。
それからシャワー浴び、少し休んで、また外に行くと
なんとピントがそこにいた。
しかも何事もなかったかのように。
かなり山の奥まで行き、人間でも苦労するほど川の流れも速かったので、犬1匹で戻ってくるのは確実に不可能だったのだが
どうやって彼が戻ってきたのか、奇跡としか言いようがないくらいだった。
僕とタムは大喜びして
「さすがテンプルドッグ!仏陀のご加護があったんや」と大喜び。
その日の夜のお祈りは仏陀に全力で感謝した。