『おいしいコーヒーの経済論』
「キリマンジャロ」の苦い現実
辻村英之 著
本著はコーヒー危機がある程度収まりコーヒー価格が再び上昇してきた頃に書かれたもので、タンザニアのキリマンジャロと言う日本ではブルーマウンテンと肩を並べる最高級品種を栽培するタンザニアの小さな村について書かれた書である。
1章で触れた、2002年発売の最高品質の缶コーヒー「スノートップブレンド」は、この 「コーヒー危機」(原料豆の史上最安値)と固定的な消費者価格が実現したものである。つまり120円の缶コーヒーの中に、これまでにない程、高い品質の原料豆を使用することができた。
しかしながら、この最高品質のコーヒーを低価格で享受できる、私たち消費者にとってこの 上なく恵まれた状況の裏側には、子供を中退・休学させざるを得ない、生産者にとって最悪の 状況があった。この生産者たちの不利な状況、生産者と消費者の間のあからさまな不公平さ (「コーヒー危機(あるいは国際価格低迷)」という同じコインの表と裏の関係)を知ってしまうと、コーヒーは苦 くなってしまうだろう。
むすび より引用
いままで読んだコーヒーに関する書物には歴史の流れや状況などが書かれていて実際に栽培している人達の姿はイメージできなかった。
コーヒーの価格が最低に落ちたということを見聞きした時にも「ふ~ん」という能天気な気持ちでコーヒーを飲んでいた。
この本を読んでみると確かにコーヒーの味が、よりにがくなったように感じる。
目次を眺めているだけで心をゆさぶられてしまう。
下記の引用は第2章の題名と副題だが筆者は10年にもわたりタンザニアのキリマンジャロ山麓、標高1500mのルカニ村に通い実情を追い続けてきた。
私たち一般人はルカニ村の人々の姿を想像することもせずにコーヒーを飲んできたが今では少しだけコーヒーを飲むときに彼らの姿を思い描くことができるようになった。
第2章 「キリマンジャロ」の生産者たち
「顔の見える関係」のために
タンザニアの水洗式アラビカ種「キリマンジャロ」今度味わったみたいと思った。
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