腰痛があっても復職できる?腰椎椎間板ヘルニア患者の職場復帰に関する実態調査
腰椎椎間板ヘルニアの皆さん、
これから仕事に戻りたいと思ってますか?
「ヘルニアを患ったけど、また働けるのか?」
と悩む方、多いですよね。
腰椎椎間板ヘルニアは、まさに「働き盛り世代」の大敵。
痛みや痺れで、日常生活はもちろん、
仕事にも大きな支障を来します。
なんとか治しても「また働けるのか?」って疑問、
つきまといますよね。
今回は、腰椎椎間板ヘルニアの患者さんが
治療後にどうやって職場復帰できるか、
その要因を徹底的に検討した研究を紹介します。
「仕事に復帰したいけど、自分には無理かも…」
なんて考えている人、ちょっとお待ちを!
あなたの不安に答えられるデータがあります。
まず、ヘルニアの治療方法には2つあります
腰椎椎間板ヘルニアの治療には、
大きく分けて保存療法と手術療法の2つの方法があります。
研究では、118人のヘルニア患者を対象に、
手術なしで治療する保存療法と、
手術で治療する方法に分けて治療効果を比較しました。
注目ポイントは、どちらの療法でも
「復職率に差がなかった」という点。
保存療法と手術療法、どちらを選んでも
復職に関してはほとんど影響しないことがわかっています。
仕事の負担が「復職」に影響しないって本当?
この研究の対象になったのは、
腰椎椎間板ヘルニアと診断され、
治療を受けた患者さん118人。
そのうち「働いている」という79人にアンケートを送り、
46人からの回答をもとにした結果です。
患者さんには、治療法に関わらず職場に
戻ってもらうわけですが、
果たして復職しやすいのはどんな人か?
仕事の負担はどれくらい影響するのか?
まず「肉体的な負荷」と「精神的な負荷」を、
それぞれ10cmのスケールで評価してもらいました。
言うなれば「この仕事、体にどれだけしんどい?」
「精神的にどれだけストレス?」って感覚的に
評価してもらったわけです。
そのほか「腰に負担がかかりやすい作業の内容
(腰をひねる、曲げる、立つ、座るなど)」についても
独自の項目で点数化。果たして結果はどうだったか?
結論:負荷があっても症状が残ってなければ、ちゃんと復職できる!
この研究で明らかになったことは、
「職場復帰の鍵は“症状の残り具合”であって、
職業の負荷自体はあまり関係ない」ということでした。
要するに、腰や足に痛みや痺れが残っていなければ、
肉体的に負担がかかる仕事であっても職場に
戻れるということです。
ちなみに、保存療法と手術療法のどちらを受けた人も、
復職率には大きな差がなかったという結果が出ています。
職場に戻るのに必要なのは、
症状の改善が何より大切で、
肉体的な負荷よりも
「痛みや痺れがどれくらい取れたか」
がポイントなんですね。
でも、注意点もあります
ただし、「復職できなかった」患者さんの理由も重要です。
復職できなかった人たちは、
痛みや痺れが残っていたり、
麻痺があるなどの症状が残存していたことが
大きな要因だったのです。
だからこそ、「症状の改善」が
職場復帰の最も重要な要素なんですね。
一方で、重労働とされるブルーカラーや
職業ドライバーの方々は確かに
腰椎椎間板ヘルニアになる率が高い
ということが報告されていますが、
今回の研究では意外な結果が。
なんと、そこまで重労働ではない技術職や
生産業に従事している患者さんも多かったんです。
地域によっても、職業の偏りはありますが、
必ずしもブルーカラーに限らず幅広い
職業で発生していることがわかりました。
今後の課題
今回の研究では患者数が少ないことや、
治療方法の内容にばらつきがあったことが
課題として挙げられています。
今後は、腰椎椎間板ヘルニアの患者さんが
どうすれば社会的に復帰しやすくなるのか、
復職を支援するための労働デザインも
検討する必要があるとしています。
まとめ
ヘルニア治療後に復職できるかは「症状の改善」が最大の鍵!
職業の負荷自体が復職に影響するわけではないが、症状が残っていると復職は難しい。
今後は、職場環境のデザインやサポート体制の整備が重要な課題に。
ということで、
「腰椎椎間板ヘルニアになったけど、仕事はどうなるの?」
という不安を抱えている方は、
症状の改善をしっかり待つことが復職への第一歩。
職業に関わらず、安心して復職できる
環境づくりが今後のテーマとなるでしょう。
タイトル:
腰椎椎間板ヘルニアにおける復職に関わる因子の検討
著者:
石田 磨矢,熊谷玄太郎,油川 修一 小川 太郎,工藤 祐喜
雑誌名:
日本職業・災害医学会会誌,59:125─128,2011
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