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群馬帝国戦記第三話

廃藩置県発令から5日後、太一は諸事情により他の知事より遅く現地入りした。その諸事情とは群馬の立地だ。今現在群馬に行った経験があり、かつ県外に帰ってきた人間はいない。未曾有の土地で、どこにどれだけ原住民の監視があるかはわからない。人目を掻い潜るルートを探るのに時間がかかったのだ。

そんな問題を解決したのは群馬三山に数えられる榛名山だった。皆は榛名神社をご存知だろうか。五穀豊穣など様々なご利益のある神社だ。そんな神聖な地に監視をつけるなど、流石の原住民でも避けるはず。そんな予想が大的中したらしい。

ここからは太一と護衛である曽根中隆康との会話だ。いつ原住民に聞かれるかはわからない。太一の愚痴を皮切りに、小声の会話が始まる。

「まさか山を越えるとは。政府は頭がおかしいのか。」

「何年も続いた藩制度を変えてまで、一体何がしたいんでしょうね?……県?どういう意味なんでしょう。」

「『群馬』この呼び方にもだいぶ慣れたな。上野国の方が違和感を感じる。」

「そうですね。」

「まあとにかく、オレは決めたぞ。このド田舎を、意地でも発展させてやる。」

「数日前まで、政府に直談判してませんでしたっけ?」

「ああ。だが一富のおかげだよ。あいつはオレを舐めてる。オレの方が地位が上になった時の、あいつの顔が楽しみだ。」

「腹黒ですねぇ。」

「うるせぇ。」

群馬の発展のため立ち上がった2人は、どうやら相性が良さそうだ。


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