若来(nyorai)中学生の小説家
群馬帝国 戦記まとめました。
「時は満ちた。いざ日本国に復讐を!」 群馬帝国王が放った一言に、民は歓喜する。日本国土総てを統一し、群馬の名を世界に轟かせる、そんな民の夢が遂に叶うのだ。 上野の国(現群馬県)は、古来より南北西の山々、東の利根川によって県外との交流が閉ざされていた。故にどの時代においても、上野が国の支配に置かれることはなく、政府の介入なしで独自の文化を築くことができたのだ。 勿論国はその立地から、何度も上野を支配下にしようと試みた。これまで、日本各地の頭首が上野の土地をめぐって争ってきた
「時は満ちた。いざ日本国に復讐を!」 群馬帝国王の力強い言葉が、広場に集まった民衆の胸を震わせた。拍手喝采が木霊する。長く孤立を余儀なくされてきたこの地に、新たな希望が生まれる瞬間だ。日本全土を統一し、群馬の名を世界に轟かせる──そんな民衆の夢が今、現実のものになろうとしていた。 かつての上野の国(現群馬県)は、山々と川に囲まれた自然の要塞だった。その地形がもたらしたのは絶対的な防衛力。しかし、外界との断絶は、時に文化や情報の流入も妨げた。どの時代においても、この地が政府
ある日突然、目が覚めると全くの別人になる現象。書物の中でしか見たことがないが、確か名は「転生」。 それが今、私の身に起きているらしい。 地球については、ある程度知識がある。我が国の天文学では、既に1400万年前の地球の姿を観測することに成功していた。 水が豊かで美しい星。それが地球の第一印象だったが、やはりその豊富な資源から、地球は発展を遂げていたようだ。 寝具から身を起こし、背後の壁を見る。そこには、先ほど姿見に映っていた人物、つまりは今の私の情報が載っていた。
「とりあえず、ここの長に会うとするか。」 太一が部下の曽根中に言った。 山賊のように群馬県に侵入した太一たち。しかし県知事に就任するのだから、このまま息を潜めているわけにもいかない。どうにか県民たちとの接触を図りたいところだ。 太一たちは現在、榛名山頂付近の小屋にいた。ここが彼らの拠点である。 いつ襲われるかも分からない彼らが、派遣先の群馬県で負傷したとなれば、政府の責任も免れない。小屋の手配は、そんな政府から太一たちへの唯一の施し、もしくは自分たちの保身だった。 噂
廃藩置県発令から5日後、太一は諸事情により他の知事より遅く現地入りした。その諸事情とは群馬の立地だ。今現在群馬に行った経験があり、かつ県外に帰ってきた人間はいない。未曾有の土地で、どこにどれだけ原住民の監視があるかはわからない。人目を掻い潜るルートを探るのに時間がかかったのだ。 そんな問題を解決したのは群馬三山に数えられる榛名山だった。皆は榛名神社をご存知だろうか。五穀豊穣など様々なご利益のある神社だ。そんな神聖な地に監視をつけるなど、流石の原住民でも避けるはず。そんな予想
最近バレント国の様子がおかしい、という噂をよく耳にする。なにやら黒魔術を使い始めたとか。これから併合したいというのに、おかしな事をされては困る。これは状況を伺わなければ。 私は兵を集めて呼びかけた。 「皆も噂は聞いているな。これから併合するにあたって、この噂は大きな弊害になる。ついては、君たちにバレントの調査を頼みたい!」 「わたくしの方で部隊を分けておきました。1日3回、交代制でよろしくお願いします。1回目の調査は実験も兼ねて、わたくしも同行しますから。」 セバスも呼
地球からおよそ1200万光年先ー 未だ人類の手が届いていない区域に、その惑星はあった。名はモノポリス座ユプシロン。環境から生態系まで、ほぼ地球の鏡写しかのような星だ。 このよく似た惑星には、ひとつ地球と大きな違いがあった。それは人々が魔法を使うことができる点だ。 これはその惑星のとある国、バンド王国の王が奔走する物語だ。 バンド王国 地球の西暦で2023年 「ラザレフ王、バレント国併合の県はどうなりましたかな?」 我が軍の最古参であり我が執事、セバスが尋ねてきた。我が
本山太一は驚いた。 同僚は皆群馬帝国のことを「無法地帯」と呼ぶ。それを冗談だと切り捨てた太一の眼前には、まさにその無法地帯が広がっていた。 本山太一は廃藩置県によって政府から派遣された群馬県知事である。太一は薩摩生まれの薩摩育ち。群馬とはなんらご縁のない人生を送ってきた。そんな太一がなぜ群馬県知事になったのだろうか。 ー1871年廃藩置県発令3日前ー 「なんで、なんで私が群馬なんですか!」 太一の怒声が響き渡る。エリート街道を進んできた太一にとって、群馬県知事の役職
「時は満ちた。いざ日本国に復讐を!」 群馬帝国王が放った一言に、民は歓喜する。日本国土総てを統一し、群馬の名を世界に轟かせる、そんな民の夢が遂に叶うのだ。 上野の国(現群馬県)は、古来より南北西の山々、東の利根川によって県外との交流が閉ざされていた。故にどの時代においても、上野が国の支配に置かれることはなく、政府の介入なしで独自の文化を築くことができたのだ。 勿論国はその立地から、何度も上野を支配下にしようと試みた。これまで、日本各地の頭首が上野の土地をめぐって争ってき