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鼻毛ワックス買いに行ったら殿方に連絡先聞かれた

突然だけど、鼻毛ってみんなどうしているのだろう。

やすこちゃんとか言ってるが、私、鼻毛、生えてる。(でしょうな)
生えてるし、生えてくるし、なんだったら、「ここにいるよ!!」って主張すらしてくる日もある。

ついこの間カットしたのに、会社のトイレでお化粧直してると、「ここにいるよ!!」ってされる。
「来やがったな…」と周囲を見渡し、個室でもない会社のトイレで鼻毛と格闘したことは一度や二度ではない。

そんなファイターに朗報

鼻毛との死闘にダウン寸前の私を救ったのは
テレビで女性芸人さんがやっていた「鼻毛ワックス」なるもの。
ワックスと言っても、エアリーにする方ではない、そう、脱毛!
ブラジリアンワックスのそれ。

これを使えばあの忌々しい、絶対に人に見られたくない、見られてはならない、(なのに会社のトイレで繰り返していた)死闘とおさらばできる!

走った。やすこ、ロフトへ走った。

カーブがフィット!

メロスよりもボルトよりも速く走り(車で)、   駆け抜けた(車で)、その先に―あった。


思わず心躍る、キャッチーなコピーが並ぶ箱を持ってレジに並ぶ。
次に呼ばれるくらいの時に「私、鼻毛抜くんですよ」って言わなくてもバレちゃうって心配になったりもしたが、無事にその晩、私のカーブにフィットした。

お嫁にも行ってないので詳細は割愛するが
初めての鼻毛ワックスは、それはそれは、もう、すごかった。
引き抜いたあとのそれは(どれ)、もう目が離せないほどに、なんかすごくて、絶対に取っておくことはできないし、しないのだが、捨てるのが惜しいと思うくらい、すごかった。(何言ってる)

以来、何度かお世話になり、トイレでの死闘も激減。
これはリピ決定♡と、仕事帰りに2箱目を買いに走ったのだった。(車で)

ラブストーリーは突然に

それは本当に突然だった。
お目当ての鼻毛ワックスを手に店内をぐるぐるしていた。
もう「私、鼻毛抜くんですよ」を店じゅうの人に言ってもかまわないくらい気に入っていた。(言うな)

田中みな実さん愛用の韓国コスメに手を伸ばした瞬間、
見知らぬ殿方に「すみません」と声をかけられた。

「怪しいのは100も承知だが、とてもタイプだったので、連絡先を教えてもらえないか」
そのような趣旨のことを至極丁寧にお話しくださった。
突然のことに驚きつつも、「マスクしてるのに、え、なんで。」というのが正直な感想だった。
マスク外したら、歯が全部抜けてたとか、髭がもみあげと繋がってたりしたら、どうするつもりなのだろう。(逃げるよ)

マスクつけてないときにこんな経験はないし、
え、どうして。
マスクしたほうがいい?隠したほうがいい?
お顔隠したら、結婚できる???(できません)

しかし、殿方にチャラさや卑しさは全くなかった。
一生懸命、結構な勇気を振り絞ってくれていた様子。(だと思う)
むしろ、そこにあるのは鼻毛ワックスだった。
私の手に、鼻毛ワックス。
ええ、私、これから鼻毛抜くんですよ。そうだった。
その事実に気が付いてから、急に猛烈に恥ずかしくなった。
さっきまで店中の人に「私これから鼻毛抜くー!」と宣言していたくせに、だ。

こんなとき、私はどうしても気の利いた嘘がつけない。
「結婚しています」とか「彼氏がいます」とか言えばいいのに。
「お気持ちは嬉しかったです!」って明るく言えばいいのに。
あはは、あはは、と薄ら笑いを浮かべ「…すみません」と小さな声で言うしかできず、殿方は申し訳なさそうに、笑って去って行った。
こちらが、申し訳ない気持ちになった。

あのとき買った鼻毛ワックスはまだ使っていない。
3箱目を買いに行って、もしも、またあの殿方にお会いできたなら、それはもう、運命かもしれない。そう思っている。

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