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【陽だまり日記】難を転じて福とするのだ。
底冷えする朝。
いつもの起床時間の一時間ほど前に起きるつもりだった。
……案の定、失敗に終わったけれど。
現実は、ぬくい布団にこんもりと籠城していた。
駄目な大人、此処に極まれり。
好きな学問の類ではない、けれど学ぶ必要のあるものができてしまったので、頑張らなければならない。
昨日の夜、机に向かってテキストを開いてみたけれど、疲労が邪魔してか、目が滑って仕方ない。
ならば早朝にやるのだと意気込んでいたのに、この結果である。
やれやれ、とため息。
まあ、仕方がない、今夜もやるだけやってみましょ。朝から不機嫌になっても仕方ないもの。
そんなこんなで、自己嫌悪と拗ねた心の両方を抱えて駅へ向かった。
この前まで青空いっぱいに黄色を広げていた銀杏は、その葉を落として、しなやかな枝を揺らすだけになっていた。
晩秋の名残の枯れ葉が、カラカラと道路を転がってゆく。
未だ登りきらない太陽の元、一際美しかったのが南天だった。
ピラカンサやマンリョウとは異なる朱色が瑞々しい。
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つやのある、朱色。
枝に止まったヒヨドリが実を啄まなかったのは、実はその朱色に有毒成分を潜ませているからだろうか。
反面、南天は、咳止めの飴玉としての実績も十分に備えている。
難を転じて福とする、そんな風に尊ばれる赤い実。
生き延びるためには、たくましさが必要なのだ、きっと。ちょっとの自己嫌悪なんて、オセロのようにひっくり返したい。
今朝が駄目だったから、って、何だと言うの。
もしかしたら今夜はとっても集中できるかも。
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そんな風に思ってた朝。
20時20分現在の私は、お見込みの通り、テキストの文字の羅列に目をしょぼしょぼさせている。