藤本タツキ先生は隠れクリスチャンなのか?ルックバックとさよなら絵梨を比べてみて
漫画家の藤本タツキ先生はクリスチャンかもしれない、または身内にクリスチャンがいるのかな?と漫画を読んで思った。
調べても全くネットにそんな情報載ってないが、作品からはすごくキリストを感じる。
藤本先生は隠れクリスチャンなのではないだろうか?もしくはキリスト狂徒かもしれない。
今のところ「ファイヤパンチ」以外の作品は全部読んだと思う。
最近「ルックバック」と「さよなら絵梨」あと藤本タツキ短編集2冊を読んだ。
チェーンソーマンを読んでからの衝撃からだいぶ経ったが、私は先生の作品が相当好きなようだ。
ファイヤパンチも近いうちに読むだろう。
で、チェーンソーマンの時は気にならなかったが、いくつか作品を読んでいるうちに一貫してキリスト教の要素を漫画に取り入れているということに気がついた。
ファイヤパンチは一話だけ読んだけど、あれはキリスト教で言うところの地獄で焼かれ続ける有様を描いているのかも知れない。
とくに「ルックバック」と「さよなら絵梨」に関してはものすごくキリスト教的なものを感じた。
(チェーンソーマンもかなりキリスト教要素があるが、読んでから割と経って内容忘れてるので今回の記事では割愛する)
この2作品に言えることは
主人公にとっての唯一の救い主(キリスト)が死んで復活(ファンタジーとして)する。
という話になってる。
キリスト教というのはイエスが人類の罪のために十字架で死んで3日後に復活したことを信じるか?が信仰の根本なのだが、
「ルックバック」の京本も「さよなら絵梨」の絵梨もキリストを描いているようにしか見えない。
絵梨に関しては「死んで3日後に復活した」と発言しているので、まさにイエス・キリストだ。
あと、絵梨と初めて会った日の夜に主人公は星を見る。これはベツレヘムの星を見たに違いない。
キリスト教的な要素を作品に入れることは「佐々木くんが銃弾止めた」という先生の短編からすでにその傾向はある。
この作品に登場する川口先生は神として描かれるのだが、これもまたキリストである。
キリスト教の教義で三位一体(神とイエスと聖霊は同じ存在)というものがあるのだが、
つまり藤本作品の文脈でいうと、京本も絵梨も神なのである。
私は短編集を読んで藤本先生は相当キリスト教にこだわりがあると確信した。
川口先生と京本と絵梨の3人は、神は全ての人を愛されているかのように主人公を褒めてくれる。
主人公は全然すごくないのに褒めてくれる。
才能あるかと言われたら、それぞれの主人公ともあるとは言い難いのだが、それでも主人公の行いは神を喜ばせることのようなのだ。
では2人は主人公のどんな罪を贖うために死んだのだろうか?
ルックバックは京アニ事件もモチーフにしているようだが、この事件がきっかけで先生の罪悪感が掻き立てられたのかもしれない。
天才だともてはやされて得意気になっているが、本当は全然面白くないのにみんな勘違いをしているだけで、クソの役にも立たないどころかむしろ害悪をもたらしているかもしれない、自分のやっていることは一体なんなんだろう?という作者の葛藤を作品から感じる。
しかし京本は死んで復活することによって、藤野、そして作者の罪を贖ってくれるのだ。
そんな祈りを感じる。
絵梨の方は母親を見捨ててしまった主人公の罪を贖うために死んで3日後に復活する。
そして自殺しようとしている主人公を救うのだ。
「さよなら絵梨」は「ルックバック」の後の作品ではあるが、同じことをまたやられるともう
どんだけ神を求めてるんだよ!と思わずにはいられない。
吸血鬼のネタに関しては短編集に「シカク」という作品にも出てくる。
(ちなみにこの作品にも姦淫の罪を犯した警備員の目玉をくり抜くという、キリスト教ぽいネタがある)
この作品は3500年(聖書が書かれ始めてから現在までに至った年数)も生き続け、生き飽きた吸血鬼が死にたくても死ねないので殺し屋に自分を殺してもらおうとする話なのだが、吸血鬼を殺せないまま話は終わる。
しかし「さよなら絵梨」で先生はやっと吸血鬼を殺す方法を思いつき実行したのかもしれない。それがあの爆発なのだろう。
(ちなみにあの初期の短編で気になったのは吸血鬼なら日光にあたれば良いではないか?)
救い主に救われてばっかりだと申し訳ないから、作者は不死身の救い主を爆殺することで恩返しをしたかったのかもしれない。
そしてあの爆発から読み取るに、もう死んで復活する話は描かないということかもしれない。
(ニーチェの神は死んだをやりたかったのかも)
が、しかしまた救い主が死んで復活する話を描いて欲しいと私は思っている。
初めて読んだ時は漫画の完成度の高さにショックを受け落ち込んでしまったが、
何度も読み返すにつれて
とても、とても、癒された。
きっと救い主の力を見たのかもしれない。
「ルックバック」「さよなら絵梨」2つとも単行本一冊分の短い作品だが、このような作品をもっと読みたい。
「さよなら絵梨」は短編集にある「シカク」のリメイクだとしたら「ルックバック」はこれも短編集にある「妹の姉」のリメイクなのかもしれない、となると次回作も短編集にある作品のリメイクをキリストの復活をテーマに描いてくれるに違いないと私は思っている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?