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ココロ・ドリップ3 〜自由が丘、カフェ六分儀で会いましょう〜

イラスト/vient様(株式会社KADOKAWA 刊)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321510000737/

2016年01月刊。本作も、ギリギリ前作から1年以内の刊行を実現できた。
「初稿執筆〜問題点の抽出と原因分析〜改稿」という一連の流れについて、自分のなかでひとつの「ひな形」のようなものが確立できた時期だったのかもしれない。

ただ、執筆開始の時点で、今作3巻でもって「ココロ・ドリップ」シリーズはひとまずの終了、ということは決まっていた。
その前提で、各話の構成をデザインしていった。

第1話 紅茶王子の憂鬱

前巻に収録できなかった「幻の第2話」である。2 年近い改稿を経て、ようやく収録が実現した。紅茶王子のキャラ造形はシンプルだが、意外にもこれまでのチーム六分儀には存在しないタイプで、書くのが楽しかった。
紅茶について一から勉強し直したことも、取り組み時間が長くなった要因のひとつである。

第1.5話 六月のカフェオレ

非常に短いが、閑話休題的な話のなかで、3巻を通じて作者が一番好きなエピソードである。彼女視点の話は必ず書く、と1巻のときから決めていた。

第2話 ヒーロー溺れるべからず

第1話に比べて執筆の苦労は少なかったが、仕事や育児に関する内容だけに、書いていて「重い」ものがあった。若干でもそれを和らげてくれた存在が、ゲストキャラの”さより”である。
「ちびとも!」のヒロインでもあった彼女を起用するのは少しばかり勇気のいる選択だったが、彼女の「その後」を見てみたい、という自身の欲求に負けてしまった面もある。
彼女の存在に気づいてくれた読者様は、両方の作品を読んでくださっている、ということになる。本当にありがたいことである。

第2.5話 真夏の怪談@カフェ六分儀

若かりし頃の日高と拓のエピソードについても、いつか書こう! と1巻の時点から決めていた。そういう意味で、本作はやりたかったことを全力でやり切ることができた、思い出深い1冊だ。
第2.5話は、あとがきにも書いた「みずさわ珈琲」でブレンドを飲みながら聞いたマスターの話にインスピレーションを得ている。自分でも予想以上にぴったりとはまって、お気に入りのエピソードとなった。

第3話については、本シリーズの集大成的なものとなるよう、構成、登場人物、飾り棚や贈り物の意味について、慎重に考え抜いて組み上げた。
またこのエピソードに取り組むことは同時に、これまでずっと「本音を見せてくれない」キャラだった日高と、徹底的に向き合うことを意味した。
あらゆる意味で精神力を大いに消耗したが、納得のいく形で、シリーズを一旦収束させることができた。

きっと今日も自由が丘の街のどこかで、彼らは元気に働いているはずだ。

イラストレーターのvient様には、2巻、3巻と続けて装画を手がけて頂いた。少しずつアングルを変えて明らかになってゆくカフェ六分儀の店内を見ることが、毎回楽しみで仕方がなかった。
3巻では日高が中央にひときわ大きく配置され、まさに彼と、彼が愛する飾り棚、そしてカフェ六分儀そのものを、優しく描き出して頂いた。

本シリーズで描いて頂いたvient様のイラストはpixivのランキングでも度々上位を獲得されており、読者様から表紙に惹かれたことによる、いわゆる「ジャケ買い」の購入報告もたくさん頂いた。

本当に、ありがとうございます。

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