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平成の『海がきこえる』、令和の『スキップとローファー』―倫理と恋愛の狭間で
高校生の時ぶりに『海がきこえる』を観た。いまBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下でスクリーン上映中なのだ。東京に行った時に観て、なんともいえない感動を得てしまった。
4/18(木)までの限定上映とのことなので、東京行けるお暇な方はぜひ……!!!!
で、私が『海がきこえる』を観てしみじみ思ったことは、「とにかく里伽子のようなヒロインは今生まれ得ないのではないだろうか……」ということだった。なんでかって、私はちょうど『スキップとローファー』最新刊を読んでいたからである……!!!
1.『スキップとローファー』と『海がきこえる』
2023年アニメ公開『スキップとローファー』と、1993年映画公開『海がきこえる』。私はこの二作品をたまたま同時期に摂取したのだが、なんだか面白い対比だなあと感じる。なぜかって、『スキップとローファー』は「田舎に住んでいた女の子が都会に行って、田舎での常識が通じないことに戸惑いながらも、友人を得ていく話」であるのに対し、『海がきこえる』は「都会に住んでいた女の子が田舎に行って、都会での常識が通じないことに戸惑いながらも、友人は結局ほとんど得られない話」であるのだ。
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