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大河ドラマ『べらぼう』最高、大好き、面白い

大河ドラマ『べらぼう』がめちゃくちゃ面白い。

いやーーーーほんとに昨年の『光る君へ』が傑作すぎて、もうこれ以上の大河ドラマあるわけがない……と流し見を決め込んでいたのですが(ごめんなさい)。土下座したい。面白いよ『べらぼう』!!!

何が面白いって『べらぼう』は徹頭徹尾、仕事の話であることだ。

蔦屋重三郎はプロデューサーである。ものをつくる人そのものじゃない。だからこそ、面白い。仕事の話だけど「プロジェクトX」でもなければ「摩天楼の夜」でもない、だからこそ面白い。新しい。

最近調べてて知ったのだが、日本企業に「マーケティング」の概念が持ち込まれたのは、まさかの戦後らしい。戦後て!!! そうなんだ!!!

この本に書かれてた。そうなんや……。

つまり日本の仕事といえば、何かをつくることであった。それを誰に発注するか、誰に届けるか、どうやって届けるか、そういうことは二の次であったり外注していたりしていた。だからこそ消費社会絶頂期には「コピーライター」をはじめとする広告代理店、つまり誰にどうやって届けるかを考えることを外注される会社がもっとも注目された。要はそれをやれるのが、企業の外部にしかいなかった、ということだ。本来はものづくりの段階から考えるべきことなのだが。

もちろん現代は事業会社だってカスタマージャーニーくらいつくるしマーケティング部もある。そりゃそうだ。が、しかし「出版」のようなものづくり先行の場においては、やっぱりマーケティングの地位は低い。もちろんジャンプやジブリを見ればわかる通り作家と編集者が二人三脚でマーケティングしつつものづくりをする場がうまくいっているので、まあ、独立して部署をつくるべきだなんてことは思わない。だがそれでもものづくりのほうが、営業やマーケティングよりかっこいい行為だ、という感覚は今もあるのではないだろうか(そんなことはないのだが……)。

そんな中で!! べらぼうですよ!!

『べらぼう』は、プロデューサーの仕事の話だ。だから、はじめから、作品作りにあたってまず目的がやってくる。吉原を盛り上げたい。吉原の女性を広めたい。客を呼びたい。お金を引っ張ってきたい。――目的が「いい作品をつくりたい」じゃない。目的を果たすための、作品作りだ。

それがクリエイティブを扱うドラマにおいて、めちゃくちゃ面白い。結果的に蔦屋は目的を果たすためにはいい作品――たとえば平賀源内の序文――が必要だと思い、平賀源内の編集者になる。しかし目的はあくまで、作品作りではなく、作品を通した客寄せであり、お金稼ぎだ。なぜならお金を稼がないと、みんな飢え死にしそうだからだ。

クリエイターを主人公にした作品は数あれど、プロデューサー、しかも目的がしっかりあるタイプ、が主人公に来ている作品は珍しい。

いやはや、面白いよー新しいよ―!! 森下佳子の脚本は天才だ。

そしてなにより最高なのが、蔦屋の出会う困難の描かれ方である。

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