解説 「バチ当ての神さま&三貴神爆誕!」マンガニッポン神さま話 第2話
今回は焦げ猫の「災厄の神さま」に対する個人的解釈が主なお話でした。
マンガでは伝わりにくかった部分を解説します。
スクラップ&ビルド
壊しちゃ建て、壊しちゃ建て…
日本の庶民の住宅は何百年も長持ちするように作られていないので、4〜50年で建て替えが当たり前だと建築関係の本で読んだことがあります。
それを、スクラップ&ビルドだと、その本には書いてありました。
建築に限らず会社の体制など、1回古いものを無くしてゼロから新しいものにする手法のこともそう呼ぶそうですね。
日本は昔から地震大国であり、時代が下ってからも木造住宅が主でしたので、基本はスクラップ&ビルドの文化なんだと思ってます。
それに加えて江戸の「火消し」は現在の消防と違ってすぐ使える水がふんだんにないため、まず延焼を防ぐために火事の周囲の木造住宅を壊していた、というのも子どもの頃知りました。
さてそれが今回の話にどう関係あるのかと申しますと…。
焦げ猫的には、建築物など目に見えるモノに限らず、
「(マガツヒ・ヤソは)バチや試練を与える役目だけれども、不条理なことはしないし3柱のナオビノカミたちの働きによって物理的な損壊や人の心の傷もやがて修復され、もっといいものが生まれる…」
…そういうシステムになってるのだと考えています。
災厄の神さまの存在は少し前から知ってましたが、イマイチこれという実態が掴めず…ただ、ナオビノカミという修復隊がちゃんといるという話には驚きました。いい話を知ったな、と思ったのでマンガにしてみました。
たとえば震災地を修復するのは生きてる人間だし費用くれるのは政府じゃないか、と思うかもしれませんが、危険な現場に行って救命をしたり道路や家屋の再建をする人の使命感やエネルギーは、ナオビノカミたちから与えられていると思うんです。
たとえば阪神大震災で大きな被害を被った兵庫県ですが、神戸という街をあたらしく魅力的に復興できたのは、土地を愛する皆さんと神さまの力が結びついたからだと思っています。
「ただし…」の部分は、熱海のずさんな残土廃棄による土石流の被害をモデルにしました。
調べてみたら1回目に山を買い取った業者もろくな整地をしないまま手放し、次の業者は「前の業者が許可を得ているから」と不法な残土や廃棄物の投棄を繰り返し、傾斜地をを固定するのに大切な木を伐採し太陽光ソーラーで大儲けしようとしたと…(ざっくりで間違ってたらごめんなさいですがずさんな計画による人災なのはほぼ間違いないです)。
そして2022年の決定的な事故以前にも土砂崩れが起きており専門家が警告したりしたのに見過ごされてきたという経緯も。
このように、お金や権力を持った人がそれらの正しい遣い方をしないと、これはもうバチじゃなくて人災なんです。
なので禍津日神の予定にもないし同じことを懲りずに繰り返すようだとナオビノカミたちもお手上げです。
こういう事故を過失ではなく自分たちの私腹肥やしで起こしたような人はそれこそ「罪人台帳」に名前が書かれ、アッチの世界に帰ったら「バチ」より怖いモノが待ってると思いますよ。
災害以外にも、個人的な小さいこと…何も悪いことをしてないのに足を切られた、ケガしたのに労災使わせてもらえず退職するしかない、病気になったのに謎に傷病手当がもらえなかったなど、焦げ猫自身が何回もそういう目に遭っていて「不思議だな」とさえ思ってたんです。
ホンットウ〜に渦中のときは8ページ目のように「矢ぶすま」になっている思いでした。
が、
「神も仏もあるか」「どんだけだよ」
…と思いたくなるようなことばかり続いても、何十年も経ってから「ここに辿り着くようになってたんだ」と合点がいくことになる…それが焦げ猫の経験です。
作中ではわかりやすいよう簡単に、クビになった会社が実は悪徳ブラック企業で「そこで働かなくてよかった」という話にしています。
「自滅の刑」
話が前後しますが、5ページ目のひき逃げ犯の話。
ちょっとした駐車場での口論から、故意にノーブレーキでバイクを跳ね飛ばして2年経った今も逃げているという凶悪事件を例に挙げました。
(ちなみに3コマ目の育児放棄の女は拙作「カズオの運行日報」主人公、カズオの母親です)
ひき逃げ犯人については禍々しすぎて語りたくないのでこれ以上書きませんが、ここでマガツヒがいう「自滅の刑」について。
宗教・宗派にかかわらずいろんな霊能者さんやスピリチュアル研究家さんが共通して説いているいわゆる「地獄の最下層」というのは、どうやら肉体が滅んでも残るはずの魂さえもが消滅に向かう世界のようです。
悪霊となってから力のある霊能者さんに「潰された」というのも含みます。
こうなるともう、謝罪や反省をするチャンス、やり直すチャンスもないのです。
いわゆる地獄に悪いことをした人が刑罰を受けに行く…というより、存在そのものが許されなくなるほどの罪になると、もう神さまの裁きでもなんでもなく自動的にそうなるようですね。
こういう世界の話でいちばん怖い&わかりやすい表現をしてるな、と思ったのがマンガ「強制除霊師 斎」さんのシリーズで、何度生まれかわってきても改善や反省がなく他人を利用してばかりの人が「あなたには来世がありません」と言われる話…。
そこでは死んだあと、魂というかご本人の霊体というのか…が、動けないよう磔にされ、他にも同じように磔にされた人の呻き声を聞きながらゆっくりジワジワ足元から溶けていくとあります。
コレある意味、この世での「死刑」より怖いです。
「死刑」は一瞬であるうえ、死刑囚はその日まで通常の囚人がするべき労働作業等もなく比較的自由に過ごせると聞いたことがあります。刑を待つあいだ、反省もできます。
が、あの世でも許されなかったら、そのときは本当に消えるしかない…それも、叫び声や呻き声以外なにも口にできず、お隣さんや自分がジワジワ消えていくのを見せつけられながらです。
まぁ、あの世は想念の世界と申しまして、本人に相応しい場所が本人にしか見えない形で存在するというのですべての悪人が磔で溶けるというのではないと思いますが、存在すら許されなくなるというケースがあるのは事実だと思います。
日本神道には「天国」「地獄」の概念はありませんが、いちおう神さまの国「高天原」と、死者の国「根の国、黄泉」はあります。
おそらくそういう世界にさえ行けず断末魔をあげながら消滅…ということになるのではと思います。
マガツヒからのメッセージまとめ
世界各国の神さま、近代スピリチュアル研究家、新興宗教の教えについては日本神道以上に不勉強ですが、日本に生まれたからには日本の神さまのシステムを知って「郷に入っては郷に従う」…ほうがいいと個人的に思っています。
マガツヒが災厄を与え、ナオビノカミが追っかけてきて直す…
その一連の運命には、「悪いことをしたんだから責めを受けろ」というだけではなく、「コレじゃダメだからやり直してみなさい」「コレを乗り越えたら飛び級ですよ」とか、心を鬼にしての愛のムチ的なものも感じますね。
わたしはマゾではないですが(^^;;
はじめに申しましたように日本はスクラップ&ビルドの国ですから、日本の神さまも人に気づきを与えるのに、「スクラップ&ビルド」の手法を好んで使われるようです。
三貴神爆誕
イザナギの禊のシーンに戻ります。
ちなみに正しくは?、イザナギが九州の日向の海または池で禊を行ったとあります。
「上流は流れが速い、下流は遅い」と言って中ほどで身体を洗い、生まれたのがマガツヒ・ヤソマガツヒ、ナオビノカミたち、それとワダツミ(海)の神さまが何柱か…と、多くの情報に書いてあるんですが…。
焦げ猫が最初に読んだ神話の絵本かなにかに川の絵が描かれてて記憶が刷り込まれていたのか…?なぜか川を描いてしまいました。
でもよくよく考えたら、「上流は流れが速い、下流は遅い」と言ったんなら、川じゃなきゃおかしいというのもあって背景は川のままにしました。
ちなみに焦げ猫はアイボンは使ったことありますが、鼻うがいは怖くてやったことないですね…。
左眼を洗うとアマテラス、右眼を洗うとツクヨミ、鼻を洗ったらスサノオ…というのは有名な話ですが、次回作はコレも小ネタのひとつになります(笑)。
お楽しみに。
この解説のマンガ本編はこちら↓
「マンガニッポン神さま話」マンガ本編マガジン↓
「マンガニッポン神さま話」解説マガジン↓