見出し画像

『書く習慣』いしかわゆき(クロスメディアパブリッシング)|読書感想文005

著者は「ゆぴ」名義で活動中のフリーライターいしかわゆきさん。子供の頃に、アメリカで日記をつけていたのが文章を書き始めるきっかけに。人と話すことは苦手だという。話すことと、書くことは違う能力なのだ。

文章を書くうえで大切なのは、技術でも、才能でも、努力でもなく「さらけ出すこと」だという。まさに。読者の立場だと想像しやすいのではないか。作家がどれぐらい赤裸々にさらけ出しているか。本音が忌憚なく書かれていたり、吐露するのに勇気のいる心情が窺えると、書いてくれてありがとうという感謝にも似た気持ちになる。

だがしかし。いざ書くとなると、これが一番難しいように思う。

「腹の底から言っているか?」とか「自分を良いように見せようとしていないか」とか「普段の自分からかけ離れていないか」とか。自問自答しながら、書くのは本当に大変だ。

そのための修行として、最初は誰にも見られない前提で書くといいという。見られると思うと着飾った文章になってしまうから。ライブや演劇などで客席にから視線を集めているのに、通常運転のようにさりげなく振舞うのがうまいアクターがいる。

文章もそうだ。話しているように気負いなく書かれていると「あっ、いま話しかけられた?」みたいに思う。私は紙の前で緊張するタイプなので、装ってしまうことが多い。「いやいや普段もっと適当じゃん、あんた」って毎度つっこみながらも、しゃんとした感じで書いてしまう。

「人は自分の気持ちを言葉にするのは苦手なもの」だという。現役ライターさんにそう言ってもらえると、安心です。優しくないインターネットで、自分語りをしているとディスられたりすることもある。だけども、恐れずに。自分語りをしていいのだという。しよう、自分語り。

そして読み手を意識する段階では、身近なひとりに向けて書くといいと著者は言う。大勢に向けて書くと、誰にも刺さらないふんわりした文章になってしまう。内容が薄まらないようにするために、もうひとつ。実体験をベースにすべしという教えもあった。

「100%の評論よりも1%の実体験」実際に経験したことのないことをあたかも経験したように書くと、ものすごく内容の薄いものになってしまう。失敗や反省も含めて、過去の自分に向けて書くと、未来の誰かが救われるかもしれない。そう思いながら、自分語りでいいのだ。

巻末には52のコツがまとめられおり、1か月チャレンジも付いている。こうしたワーク型のビジネス書は、ワークショップだと思って読了後にやってみることが肝心だと思うので、自己開示するような日記も書いていきたい。

本書から学んだ知見を、箇条書きでまとめておく。

・記憶は1時間後に50%、1日後に70%、1か月後にはほぼ全て失われるので、忘れないうちに言語化して残しておく。
・自分の書きやすいスキマ時間を見つけて書く。
・スマホやメモ帳などすぐ書ける環境を作っておいて習慣化する。
・PCに比べて、手書きだと目標達成率が42%あがる。
・やめたら気まずい環境を作って誰かと朝活を一緒にする。
・短文でいいから読書や映画などの感想をポストする。
・とりあえずはじめてしまう。あとは走りながら考える。
・インプットとアウトプットのバランスが大事。
・何を書いたかではなく、誰が書いたかが重要になってくる。
・本のあらすじではなく、あなたの感想が読みたい。
・タイトルはパワーワードと主観を入れて書く。
・更新時間を決めて誰かの読む日課にしてもらう。
・いいねを押さずに読んでいる人がたくさんいるから気にせず書く。
・書き手が寝ていても、一度公開した文章は誰かに読まれ続ける。
・書いて発信することで世界のどこかにいる仲間が見つかる。
・平凡な毎日を言葉でラベリング。何もない日が何かあった日に変わる。
・未来の自分が振り返った時に軌跡が見える。未来の自分を支えてくれる。

いいなと思ったら応援しよう!

Nuts Book Stand
これからも本と本屋さんの存在する世界にしたいです。共感していただけましたらとても嬉しいです。いただいたチップは本屋&出版社の開業資金に使わせていただきます!

この記事が参加している募集