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『カブトガニ』惣路紀通(日本文教出版・岡山文庫157)|読書感想文024
「進化に取り残された動物」や「生きた化石」と呼ばれ、2億年前から姿を変えることなく生き続けている「カブトガニ」についての熱い想いの詰まった本書。
歴史や生態、人類への活用法をQ&Aなどでわかりやすく解説してくれる。産卵期以外でもしょっちゅう「つがった状態」でいることから夫婦和合の象徴になっているというのも初めて知った。そんなトリビアがぎっしり詰まっている。カブトガニの貴重な写真や図版も豊富で、学術書だが楽しく一気に読んでしまった。
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著者の惣路紀通さんは、1956年、山口県光市に生まれた。別府大学を卒業し1980年に同大学生物学研究生のときに別府湾のカブトガニ生息調査を行い、九州東海岸において初めてカブトガニの生息地を確認。
1982年には笠岡市立カブトガニ保護センターに着任。2017年カブトガニ博物館長を退職して、2018年には引き続き館長(嘱託)として就任している。著書にはほかにも「カブトガニ」(日本文教出版)、「自然への想い 岡山」(共著、山陽新聞社)、「カブトガニ」(山陽新聞社)、「カブトガニからのメッセージ」(文研出版)、「カブトガニの謎」(誠文堂新光社)等多数。
まさにカブトガニ博士なのだ。インタビューもある☟
笠置市にあるカブトガニ博物館に行ってみたくなるなぁ。
また本書は、日本文教出版という岡山の地元に根付いたローカル出版社が、1964年から作り続けている「岡山文庫」の157冊目としてリリースされた。驚くべきことに2024年末には336冊目の新刊が誕生している。創刊60年を超えてなお現役。まさにローカル文庫界のカブトガニのようである。岡山に棲息してる化石的文庫なのだ。
その土地に根差したテーマの文庫や新書などのシリーズものは、良作の宝庫。ローカリティという制限があるからこそ、企画力が磨かれて編集が輝く本が生まれるんじゃないだろうか。
シリーズラインナップが面白いのでぜひ見てほしい☟
上記の版元サイトでは本書は品切れのようなのでよろしければどうぞ☟
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