独自の表彰制度「Nutmegチャレンジ」【誰もがコアバリューを体現できる仕組みを作った話】
NutmegLabsでCEOをしている中口です。前回はNutmegが挑戦することを大事にしている3つの理由をご紹介しました。
挑戦することが大事だという理由は理解できたかもしれませんが、実際のところはどうなっているのか?大事にしても実効性がないとコアバリューに掲げている意味がありません。
そこで今回の記事では、Nutmegの独自制度である「Nutmegチャレンジ」について、導入の背景や目的、やってみた結果をご紹介したいと思います。
世間一般ではなかなかないユニークな内容になっているはずです!Nutmegのメンバー1人1人がどんな想いでやっているかも伝えられると思いますので、是非最後までご覧ください。
Nutmegに興味を持って頂いた方はもちろん、組織運営や文化形成に興味がある方、スタートアップの経営者としてどうすべきか悩んでいる方など、少しでも内容を楽しんでもらえれば嬉しいです!
会社として挑戦する姿勢を評価したい
Nutmegにおいてビジョンを達成するための大事なバリューとして「チャレンジ」を上げていますが、このバリューを組織のコアとすべく、1人の経営者として「各メンバーが挑戦する姿勢をどうにかして評価」したいと思ったのがキッカケです。
単にストレッチした目標を追いかけるのであればOKRでも代替できるため、ちょっと違う角度から「社員1人1人」へ切り込みたいと考えていました。なぜこのように思ったのか、どのような考えで悩んだのかを最初にご紹介したいと思います。
前提:Nutmegのコアバリューで挑戦を上げている
Nutmegは「旅の在り方を変える」というビジョンを目標に、世界を変えるためにはNo1になり、No1になるために常にチャレンジャーであること、そして失敗から学ぶことで最後に勝つ姿勢を大事にしています。
この意味を全面的に支えているコアバリューが「チャレンジ(挑戦)」です。常に挑戦者として高い山に登り続け、その結果として世界を変えるという方向性が大切だと信じています。
この「挑戦」というマインドを持つように継続的に取り組み、会社の組織文化として誰もが成し遂げている状態が理想です。この理想を達成するために、経営者としてどのように考えて行動すべきなのでしょうか?
ここからどうすべきか悩み始めます。
方向性:会社としての挑戦はOKRでカバー・余計な混乱はさせない
初めに気にしたのが、会社の戦略・方向性と挑戦をどのように紐づけるかです。挑戦した結果が会社の目指すべき場所とズレていては意味がありません。
この点、NutmegではOKR(Objective and Key Results)という仕組みを導入しており、最低でも半年単位で会社の戦略・方向性を決めた上で各部門やメンバーにOKRを決めてもらっています。
つまり会社に対してのアラインメントとしては、OKRで十分だと思いました。逆にOKR以外で会社に対してコミットメントを求めるような制度を入れてしまうと、OKRの位置付けも不透明になりますし、混乱の素になりかねません。
検討結果:個人単位の挑戦を促す仕組みが欲しかった
一方で組織としての挑戦を示すOKRとは別に、メンバー1人1人が個人で取り組む挑戦を促す仕組みが必要だと感じたのです。
OKRが会社の求める場所へ辿り着くための「挑戦ベクトル(登るべき山)」だとしたら、このベクトルを推進するために必要なエンジン・ギアなどをサポートするのが「個人の挑戦」という住み分けです。
会社がベルトルに対して単に強くメンバーを引っ張るだけではなく、頑張っている個人の背中を押しながらも、「各個人にとって意味ある挑戦」をしてもらいたいと考えるようになりました。
では個人の背中を押すための仕組みしてはどのようなものが良いのか?更に深い悩みにハマっていくのを感じながらも、どう整理したのかを次からご紹介していきます。
評価制度のような堅苦しい制度は向かない
個人の背中を押すような仕組みという趣旨を前提にすると、人事考課や給与に関与するような評価制度と分けて考えるべきだと思いました。
堅苦しくしてしまうと、途端に縛られてしまい無駄な重さを感じてしまいます。なぜ重さを避けるべきなのか、具体的な理由を3つはこちらです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由1:人によっての「挑戦の度合い」は違う
初めに考えるべきだったのが「個人の挑戦」とは何か?ということです。単に挑戦といっても内容は様々ですし、評価制度にあるような画一的なコンピテンシーに対して挑戦するというのもなんだか違う気がします。
なぜなら、1人1人の個人にとっての挑戦とは、より高い場所を目指すための取り組みであり、どの高さを目指すかは各自によって大きく異なるからです。
ここで画一的な挑戦の目安を持ってしまうと、その型に当てはまらないと挑戦していないと見做されてしまい、本来は挑戦であるはずのものが挑戦ではないと捉えられない偏った制度になることを恐れたのです。まさに無駄な重さと言えますよね。
理由2:評価をするための定量的な観測が難しい
次に考えたのが、そもそもどうやって「挑戦の達成」を測るかという点。挑戦した結果達成したのか、達成していないかというような「定量的な観測」が難しいものも多くあると思いました。
例えば、顧客の役に立つような専門知識を身につける、デジタル関連の数値分析に強くなる、より良い関係を構築してコミュニケーションを円滑化するといったような定性的な挑戦も十分に考えられます。
それぞれが「目指すべき場所へ昇るための挑戦」あれば意味がありますし、今の自分よりも成長できれば将来に向けて進んでいると言えますよね。つまり定性的でも個人が挑戦した結果として、成長したと感じられることを重視した方が良いと思いました。
理由3:カジュアルだからこそやってもらえる
最後に気にしたのが、取り組みとしての実効性(Feasibility)です。いかに日常的に挑戦するようなマインドを持ってもらい、継続することで目指すべき場所までの道のりを楽しめるかは大きな問題です。
もし会社として公式な制度にしてしまうと、途端に義務感が生まれることで「やらされ感」が生じてしまいます。義務的にやるとなると、本来の意味が薄まってしまう感触は皆さんも感じている通りです。
そのため可能な限りカジュアルに取り組みを決めて、「やっていたらいつの間にか成長していた」ような背中を押す仕組みが大切だと思いました。
以上3つの理由から、評価制度のような公式な制度として導入するのではなく、1人1人がいつの間にか成長していたと振り返った時に感じられるようなカジュアルな仕組みを導入することに決めたのです。
カジュアルに作った制度の概要
カジュアルな制度にするのは決めたのは良いのですが、一体どんな内容にすべきなのか?
やる気を出してもらいながらも、なるべくカジュアルにやってもらう。しかもそれが個人の成長に繋がるような背中を押す仕組みにするために、以下の3つのポイントを取り入れことにしました。
ポイント1:個人単位で何でも良いから挑戦事項を上げてもらう
各個人によって挑戦の度合いや内容が異なるべきという点を考慮すると、本人が「挑戦」と感じられるようなことを「自由に上げてもらう」ことがベターだと考えました。
極端にいうと、業務に関係なくてもOK。趣味でやっているようなことを良くしたり、個人として目指していることを入れてもらえれば十分です。例えば健康のために何かを始めたり、より良い人生にするためにこんな習慣身につけたいまで、今までとは違う挑戦ができれば問題ありません。
仕事と関係ないから大丈夫なの!?と思われるかもしれませんが、人は習慣として繰り返していくうちに、仕事で行う挑戦の品質が高くなり、パフォーマンスが自然と上がってくるのです。事実、私自身のキャリアを振り返ってもこの通りだと思っています。(別途どこかで過去の挑戦を振り返る機会があればご紹介します!)
ポイント2:達成の尺度はセルフで評価
挑戦する内容を上げてもらったら、今度はどのように達成したかを決める番です。もちろん評価制度のような尺度はないため、挑戦項目を上げた個人が自分自身で決めてもらいます。
この「セルフ評価」がとても大事で、挑戦すればここまでいける!と当初思ったことに対して、実際はどうだったのかというPDCAを回す意味合いが含まれています。
最初は思っていたよりも行かなかったのであれば、反省した上で次回以降はターゲットの精度を向上することができます。逆も然り、簡単に達成できてしまったのであれば、そもそも挑戦と言えません。このように自分と対話してもらう習慣作りとして、達成の尺度もセルフ評価で行ってもらうことにしました。
ポイント3:半年ごとにアワードを設けて表彰
自分で挑戦項目を上げて達成を評価する仕組みを導入すると、他人との関わりがなくなると感じる懸念が出てきました。そこで「制度」として一工夫したのが、半年ごとに挑戦を讃える「Nutmegアワード」の導入です。
挑戦した結果をお互いに認めあい讃えあう、そして挑戦の結果を会社として名一杯背中を押す大事な部分です。具体的には半年ごとの挑戦項目をセルフ評価してもらった上で、各メンバーが1人1票を持って投票するというもの。
しかも投票の対象は1つではなく、あえて3つのアワード(賞)を設けてそれぞれ投票してもらうことにしました。それぞれが意味を持っており、挑戦を意味あるものとして位置付けるのが狙いです。
アワード内容のどれを取っても挑戦という姿勢を讃えて、定期的に背中を押していこうという狙いになっています。
以上3つのポイントを考慮して設立されたのが「Nutmegチャレンジ」という制度です。2022年の7月から行っており、1年ほど回しています。実際にどんな効果だったのか?振り返りも含めて最後にご紹介します。
カジュアル制度をやってみた所感
従業員が増えてきた2022年からNutmegチャレンジを正式に導入し、2023年時点で2回ほどチャレンジ内容の決定と振り返りをしています。
当初制度を考えた通りに挑戦することを会社が推奨できているのか?やってみた結果と振り返りをご紹介させてください。
GOOD:従業員が自分を見つめ直す良い機会に
始めに結論としてお伝えしたいのは、やって本当に良かったと感じました。
理由は明快で、各メンバー1人1人が挑戦を考える上で「自分を見つめ直す良い機会」になったことです。あるメンバーは自分自身に足りないスキルや経験をじっくり考えることで、業務に繋がるような新しい知識の習得に励むことになりました。
また、違うメンバーは自分の人生には欠かせない健康を維持するために、仕事漬けの日々だけではなく、健康になるために運動の取り組みを始めたりなどです。
少しずつではありますが、個人個人が新しい一歩を踏み出せたことは何より良い挑戦になっていると思います。この繰り返しが後になって振り返った時に、大きなものとなって返ってくることは皆さんもご存知のはずです。
GOOD:表彰することで面白い文化形成が出来ている
2023年冒頭にNutmegチャレンジ1回目のアワードを行ったのですが、これがとても「面白い文化形成」になりました。半年を振り返ってセルフ評価を行った結果、ある程度挑戦ができている人と出来ていない人に分かれる結果に。
個人としての反省を活かして次に繋げたり、他人の挑戦結果を見て勇気をもらうことも。その上で3つのアワードに投票したことで、挑戦とは何か?の意味合いもじっくり確認できたと思います。
実際にアワードを受賞した3人は、副賞して「Nutmegガチャ」を引いてもらい、何が当たるか分からないルーレットを回してドキドキしながら結果を待つようなゲーム感覚も楽しんでもらえたと思います。
個人として成長する機会の背中を押し、挑戦の結果を皆で分かち合って楽しんで次に向かうという元々狙っていた部分は十分に達成できると確信を持ちました。
反省:カジュアルすぎて忘れられることもしばしば
良い点ばかりご紹介しましたが、しっかりと反省点もあります。それはカジュアルな制度であることから、しばしばNutmegチャレンジという存在を忘れてしまうことです!!
強制力がないからという副作用ではありますが、仕事や業務に追われるとついつい忘れてしまうものです。この点はNutmegチャレンジという制度を回していく上で、スピード感を持って改善していきたいと考えています。
3ヶ月に1回のショートレビューに加えて、毎月のTGIFでチャレンジした結果で良かったものを共有してもらうなど。様々な取り組みを加えてより良い制度にしていきます!
まとめ
Nutmegのコアバリュー「チャレンジ」から派生したNutmegチャレンジという当社独自の制度をご紹介しました。
まだ始まったばかりですが、挑戦して成長する背中を押すという意味では良い効果を発揮しているように思っています。もちろん改善点はあるため、今後の伸び代も十分にあります!
各個人が挑戦しているのに対して、ではCEOである私自身のチャレンジはしているのか!?という疑問に答えるべく、次の記事ではPMF後にCEOがチャレンジした3つのことをご紹介予定です。楽しみにお待ちいただければと思います。
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もし一緒にNutmegチャレンジをやってみたいと思った方や、私に興味を持って頂いた方は、是非一度お話しできればと思いますで下記よりお問い合わせください。