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その②『テラクレスタ』
「地球の平和を~♪ 敵に渡してなるかと~♪」
かつて頭の中でこう歌いながら、友人のプレイを眺めていたゲームがある。
「突き進め~♪ ウィングギャリバ~♪」
ファミコンソフト『テラクレスタ』は、縦スクロールSFシューティングゲームである。目玉は「合体システム」「フォーメーション攻撃」「火の鳥」など、さまざまなギミックがあった。BGMも秀逸。勝手に作詞して、冒頭の歌を歌っていたのである。ただ、プレイしながら歌うと集中力がもたない。いつも、すぐ敵にやられてしまう。そもそも筆者は、ゲームセンターの人混みでゲームをプレイできなかった。いま思えばその頃から過敏で、警戒心が強かったのだと思う。
中学生のときである。筆者は学校の近くで、同級生のプレイを「見学」していた。彼は自分なんかより、遥かに上手い。でも、自分だって少しは……。家に帰れば、ファミコン版がある。おおむね秀逸な移植がされていた。ゲームは下手の横好き。何回ゲームオーバーになっても、最初からプレイし直した。最終ボスは、「宇宙魔王マンドラー」。いくら挑んでも、とうとう倒せなかったけれど……。
『テラクレスタ』が発売された1986年あたりは、現役だったファミコンが最も輝いた年だったと思う。発売されたソフトのラインナップが、本当に充実していたのだ。バブル景気のただ中で、ビデオゲームが文化的に認知されてきていたこともあっただろう。筆者にとっても若干の、「人生の凪(なぎ)の時代」だったような気がする。そしてつい最近、ニンテンドースイッチで遊べるアーケード版『テラクレスタ』をプレイした。一番の拾い物は、その「凪の時代」に思いを馳せられたこと。そういうノスタルジーも、レトロゲームプレイの醍醐味のひとつだと思う。
昔ほど、自分を責めなくなったかもしれない。もう1プレイするか。
「炎よりも~♪ 炎よりも~♪ 熱く燃えろ~♪ フェニックス~♪!!」
あ、やられた。
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