見出し画像

ラジオ体操の謎

ラジオ体操は少し身体を動かしたいときに便利なので、いまでもYouTubeを見ながら時どきやっている。ただ昔から不思議だったのは、かつてのラジオ体操で画面に映っているのが若い女性ばかりだったことである。筆者が中学に上がるころは、ドキドキしたものだ。一方、号令をかけているのは男性で、そのほかということは無かった。最近知ったことだが、体操はそもそも国民を兵士にするための昔の国策だったようである。内田樹『寝ながら学べる構造主義』から引用しよう。

「……軍事的身体加工の「成功」(西南戦争の勝利)をふまえて近代日本は、『体操』の導入に進みます。(中略)……国家主導による体操の普及の狙いはもちろん国民の健康の増進や体力の向上ではありません。そうではなくて、それはなによりも『操作可能な身体』『従順な身体』を造形することでした。」(内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)pp.162)

コワいのはこの続き。

「身体を標的とする政治技術が目指しているのは、単に身体だけを支配下に置くことではありません。身体の支配を通じて、精神を支配することこそこの政治技術の最終目的です。」(同書 pp.163)

つまり本書によると、体操はかつて国民を洗脳するための支配に使われていたようなのである。これがサラリーマン向け軍事教練(の名残り)としてテレビ版「ラジオ体操」となり、お姉さんたちがレオタードで出演していたのかもしれない。そういえば、学校の運動会もスポーツ競技会というよりは軍事教練的ですね。組体操とか、筆者も小学校でやらされた。

こちらがラジオ体操を利用するぶんには構わないが、体操を通して利用されてはかなわない。そういう史実を知ったうえで運動し、健康を目指したいと思う。「頭の体操」なら、全然構わないと思うけれど。

私の拙い記事をご覧いただき、心より感謝申し上げます。コメントなどもいただけますと幸いです。もしサポートいただけました際には、創作活動に有効に使わせていただきます。応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします!