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思い出の本棚


コロナウイルスの影響で仕事が休業になり、自宅待機を始めてから1月が過ぎた。
今は晴れている時も家にいるが、強い雨が降る日は余計に家にいなきゃと強く思う。
そういうわけでということでもないが、本棚を整理した。
と言っても今まで我が家には本棚と呼べるものはなく、本の多い私は殆どの本を引越し用の段ボールに詰めたままだった。下手したら前の家から持ってきて以来、一度も開けてないのではないかと思われる箱を、長い休みを利用して片付けようと思ったのである。
とりあえず、本棚を買い、自分で組み立てた。段ボールの中から本を取り出して、本棚に並べていく作業は、「あっ、こんな本買ってたんだ〜。懐かしい〜」からのページをめくり始め、脱線し全く進まない。

そんな時私はふと、思い出した。
たくさんの舞妓さん関連の本。京都の風景写真集。高校生の時に、何度も何度も読み返したそれ。ページをめくるたびに、絶対京都に行くんだ、絶対舞妓さんになるんだ、と強く思ったこと。
当時、舞妓さんがブログを書くことで注目を集めていた上七軒の舞妓市まめさんの舞妓さんのしきたり本。
うなぎの寝床の内側から撮ったらしい写真で、石畳に積もった白い雪と舞妓さんのぽっくりがなんとも印象に残った写真集。
舞妓さんの芸のお披露目会(都をどり、鴨川をどり、京をどり、北野をどり、祇園をどり)を文と写真で説明している本。
京都の四季折々の風景を美しく写した写真集。

殆ど舞妓さん見習いを辞めた時に、未練が残らないようにと処分してしまい、手元にはない。
が、何故かこの1冊だけは捨てることなく手元にあった。

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文章が多いエッセイなので良いと思ったのか、少しでも舞妓になりたかった思い出を残そうと思ったのか当時の自分の気持ちはすっかり忘れてしまったけど。
でも関係ない写真集まで捨てる事は無かったんじゃないかね、と昔の自分に突っ込みを入れたい。
最近、京都に行けないせいか、あの写真集が酷く懐かしい。
そんなことを思った自粛中の昼間。



これを書いているときに、もし、あの時舞妓さん見習いを続けていたら今どうなっていたんだろうと、初めて自分の気持ちときちんと向き合いました。当時からここ最近までずっと、落ち着くことなく環境が目まぐるしくかわりじっくり考えることができなかったので。
どうしたってやはり、後悔がちらりと胸をよぎります。
が、戻ることはできないのでまた別のかたちで京都と付き合っていきたいと思います。

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