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こどもや身近な人に伝えたいお金の話 9話 知ってるようで知らない リスクの正体

リスクを分散させる話を数回に渡って書いてきたけど、今日はリスクとは何かを掘り下げてみたいと思う。

リスクの種類

投資におけるリスクは、主に6つある。

・価格変動リスク
・信用リスク
・流動性リスク
・償還リスク
・為替リスク
・インフレリスク


価格変動リスクは一番分かりやすいけど、一番奥深くもあるので、後でしっかり取り上げようと思う。

信用リスクは、投資先が倒産したり、国がデフォルト(債務不履行=お金を返せなくなること)に陥ることへのリスク。
これは投資対象を選別したり、分散することで減らせるリスクだ。

流動性リスクは、売りたい時に売れない、買いたい時に買えないリスク。マイナー過ぎて取引量が少ない銘柄は、トラッキングエラーという異常な価格も付きやすい。取引高や資産額が極端に少ない銘柄は避けた方が賢明だ。

償還リスクは、なかなか資金が集まらない投資信託などの運用商品が、運用会社の方からやーめたと言って解散してしまうリスク。これも資産額が少ない銘柄が危険だ。国内の投資信託では50億円未満の商品は避けたほうがいいだろう。

為替リスクは、例えばドル建てで運用されている資産が、ドル円の為替レートの影響を受けることを指す。資産自体はドルベースで利益が出ていても、円ベースだと損失となる場合がある。
日本円で運用されている国内資産なら為替リスクがないかというと、日本企業の業績自体が為替レートの影響を受けるので、広い意味では為替リスクを負っているとも言える。

インフレリスクは、目に見えづらいリスクだ。
ある資産の成長率を、その国のインフレ率(物価上昇率)が上回る場合、実質ベースではその資産は減価していると言える。
インフレ率の低い日本にいると意識しづらいけど、1年で通貨価値が数百分の一のとなってしまう国だってあるんだ。


リスクとは何か?

結論:リスクとは、価格の振れ幅のこと。下だけでなく上にも。
「データがどの程度ばらついているか」ということだね。

分散を平方根にとることによって計算される値で、こんな図で表される。


画像1

https://ai-trend.jp/basic-study/basic/standard-deviation/ より引用

標準偏差 σ(シグマ)で表わされ、意味するところは以下になる。

1σ  68.26%以内の確率でその範囲に収まる
2σ 95.44%以内
の確率でその範囲に収まる
3σ 99.73%以内
の確率でその範囲に収まる

例として、ある投資商品が、1年後の期待リターン3%、リスク=標準偏差 20%だったとする。

100万円を投資すると、期待値103万円に対し、
1σ   ±20%の範囲(123.6万〜82.4万)に、68.26%の確率で収まる 
2σ  ±40%の範囲(144.2万〜61.8万)に、95.44%の確率で収まる 
3σ  ±60%の範囲(164.8万〜41.2万)に、99.73%の確率で収まる 

ということになる。
かなりハイリスクに感じるけど、2σ、3σというのは、それだけ珍しい、経済の歴史にも残るくらいの出来事だと言っていい。

リスクとリターンの効率を量る  シャープレシオ

投資のリスク(価格変動)の大きさに比べてどれだけリターン(収益率)を得られるか、運用効率の高さを示す指標を、シャープレシオという

米国の経済学者のウィリアム・シャープ氏が考えたので、その名が付けられているんだ。

その商品の期待リターンから、無リスク資産(国債など)のリターンを引いたものを、リスク=標準偏差で割って計算され、数値が大きいほど運用効率が良いとされる。

シャープレシオが高い商品は、振れ幅が少ない割にリターンが良い商品ということ。
ただし、多少シャープレシオが低くても最終的な収益が高い商品もあるからこれも絶対ではないんだ。

終わりに

今日はたくさん勉強したね!
標準偏差σ(シグマ)は高校生の数学で勉強するんだけど、お父さんももっと勉強しておけばよかったなと思っているよ。

学校の勉強は何のためにやっているんだろう?って思う時もあるかもしれない。こんなの計算機やPC、いずれはAIがやってくれるんだからやる意味あんのかよってね。

お父さんはこう思うよ。

1つめは、物事を考える道具を身につけること。
掛け算の九九を覚えないと、その先の商売の計算はできなかったりするよね。太陽の動きが分からなければ、宇宙のことは考えられない。

将来どんな方向に進むのか、まだ決まっていない人の方が多いと思う。
学校は、どの方向に進むとしても困らない、基礎的な道具を身に付けさせてくれるってわけ。

2つめは、分からない答えに、自分なりの仮説を立てて、色々な方向から動かして、答えをたぐり寄せるプロセスを学ぶこと。

世の中には、答えのない、もしくは正解が一つでないことばかりだ。
そんな中でも、自分なりの道筋を見つけ、たぐり寄せる力が必要なんだ。
そんな力を身につける、いい練習の機会になると思うよ。

今日はこんなところで。

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