こどもや身近な人に伝えたいお金の話 8話 時間の分散 〜ドルコスト平均法
前回、前々回と、投資対象の分散を話してきたから、今日はもう一つの分散、時間の分散について話していくよ。
ドルコスト平均法
一定の金額で、時間を分散して定期的に買い続ける手法を、ドルコスト平均法という。
一定額の購入なので、価格が低いときには多く買い、価格が高いときは少なく買うことになる。
そのことによって、平均購入単価を下げる効果が生まれるんだ。
試しに、定額購入(ドルコスト平均法)と、定量購入を比較してみよう。
https://www.jsda.or.jp/jikan/word/090.html より引用
どうだろう?
価格の上下に合わせて、購入株数がうまく調整されて、定量購入よりも結果的に多くの株数を購入できていることがわかると思う。
ドルコスト平均法のメリットは主に3つ。
・価格の変動に一喜一憂しなくて済む
・タイミングを図る必要がなくいつからでも始められる
・(投資信託など)自動積立設定を行えば、あとは放っておくだけで楽
価格が下がれば普通はがっかりするけど、ドルコスト平均法にとっては多く買えるチャンスなんだ。のちのち価格が回復した時に、大きな利益が期待できるということだね。
投資に時間をかけたい人ばかりではないはず。できれば人生の時間は有意義に使いたいよね。
勘のいいきみたちは、主に精神的なメリットだということに気づいたかな?
万能ではないドルコスト平均法
ここまでメリットばかり話してきたけど、そうじゃない話もしようか。
「ドルコスト平均法で、”リスク”を抑えることができます」
銀行や証券会社でそんなフレーズを目にしたり、説明を受ける機会があるかもしれないけど、実は間違っているんだ。
ドルコスト平均法は、リスクを減らすことはできない。
どういうことか?
積立初期の頃は、平均購入単価も目に見えて下がりやすいけど、長年積立を続けて資産額が大きくなった時、1回の積立における購入単価が、全体の購入単価に及ぼす影響は微々たるものになっていく。
例えば、1ヶ月に5万円積み立てを続けて、3,000万円(平均購入単価1,000円)まで積み上がっていたとしたら、その月の積立時の価格がいくらであろうと、全体の平均購入単価はほとんど変わらないよね。
そして、価格が半値になってしまったら、積み上がった全体の資産が半分になるのは変わらない。リスクが減っているわけではないんだ。
このように、ドルコスト平均法による運用成績は、長期積立を続けた先の価格に大きく左右される。
ドルコスト平均法とは、ゆっくりリスクを増やしていく方法と言えるね。
この辺りの話は、山崎元さんの話を読むといいと思う。
数々の証券会社を渡り歩き、いい面も悪い面も正直に投資の話を書いている人だよ。
積立投資についてもっと詳しく知りたい人は、この本を読むといい。
これ以上ないってくらい入念に研究されているよ。
とはいえ、少額からいつでも始められて、ストレスも感じにくいドルコスト平均法による積立投資は、万人に勧められる投資の王道だ。
特に投資初心者にとって、その精神的なメリットは計り知れない。
オトナになれば、会社からの給与や事業の収益など、毎月入るお金ができるだろうから、その中からいくらと決めて、毎月投資に回すのがおすすめだよ。
コドモだって、おこづかいを投資に回したっていい。
お父さんやお母さんに頼んで、証券口座を開設してもらおう。
むしろ、長期投資における最大の強みである、時間を長く使えるコドモこそ、投資を始めたらいいと思う。
それじゃ、続きはまた今度。
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