『ザ・万歩計』 万城目学
電車で読む本は、意外と選ぶのが難しい。ロシア文学ならきっと終点を折り返してしまうし、アメリカ文学ならそのままどこかへ旅立ってしまうだろう。小気味よく下らないエッセイが、ちょうどいい。いつ閉じても支障がない。しかし時折泣かせてくるのだから、油断ならない。
【追記】
僕は家族モノに弱い。祖父との思い出を綴った話には、夜の谷町線で思わず目を濡らした。妹が連れてきたネコの話には、昼の阪神電車で涙が溢れそうになった。あとはだいたい下らない。トルコのサウナの話など、おそらく僕はずっとニヤついていた。自虐でも自慢でもなく、いかにも大阪的語り口だと思う。
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