#10 できるナンバー2が会社を変える、経営チームの作り方
「会社を変革したいが、古い体制を打破するのが難しい」、「古くから会社を支える社員の反発を感じる」と、悩んでいる経営者やナンバー2も多いのではないでしょうか?
かつては、私もナンバー2として本気で改革に取り組み、経営チームを作り上げてきました。その経験を通して、「会社を守り、次世代を守るため、ナンバー2が果たす役割は大きい」と確信しています。
今回は、会社を改革しようという覚悟のある人に、変化を恐れない経営チームを作ってほしいという想いから、私の経験をもとに、ナンバー2を経営チームに迎えるポイント、ナンバー2が果たすべき役割について伝えたいと思います。
どんな人材を経営チームのナンバー2に登用するべきか
ほとんどの場合、会社の外から適した人材を見つけ、ナンバー2として登用します。あるいは、トップの年齢に近ければ社内から登用することも考えられます。
どちらにせよ、共通して重要になるポイントが3つあります。
1、みんなの意見を聞ける人
会社への愚痴も含めて、みんなの意見を聞ける人は、ナンバー2に向いているといえます。
登用のポイントとしては、いきなり上の役職に登用してしまうと、反発が起こりやすくなるので、最初は、中間のポストを用意すること。意見を聞く適性のある人は、そのポジションで社員と話し合う関係性を築くことができるでしょう。
2、変化を恐れず、実行力のある人
「Do not」「Can not」の人はナンバー2には適していません。
「Do not」は、やりたくない。つまり、変化をきらい、保身ばかり考える人の姿。「自分のやり方はこうだ」と固執し、柔軟さのない人です。
「Can not」は、できない人のこと。いくら人柄が良くても、能力がなかったら、会社は潰れてしまいます。
ナンバー2に適任なのは、柔軟さと実行力のある人です。
3、ナンバー2の素養があり、実力を示せる人
ナンバー2には、素養と実力が必要とされます。ナンバー2の素養については、以前の記事で詳しく触れました。(#02 ナンバー2は社内で育成することができるのか?)
そこで、今回はナンバー2に求められる実力に絞って説明します。
実力とは、年齢や社歴とは関係ありません。
ナンバー2には、実際に成果を出して、実力を示すことが課されています。ポストを欲しがるだけの人は向いていません。
たとえば、新たに登用するナンバー2とは、まずは1年間の契約を交わします。歩合給を高く設定し、成果が出れば、受け取れる金額が上がる仕組みにします。
契約期間内に実力を示すことができれば仕事を継続できますが、ダメだったら、そこで契約は終わりにする。金やコネでなく、実力で勝負して、ナンバー2として機能する人を登用すべきです。
改革を実現するために、ナンバー2が果たす役割
改革は、経営者とナンバー2だけでは実現することはできないでしょう。必ず、社員を巻き込んだ全社的な取り組みへと発展させていく必要があります。
そこで重要になるのが、若手を育てることと、ブレーキをかける社員への対応です。
・改革にブレーキをかける社員への対処
創業期から社長に寄り添ってきたなどの自負がある社員や、ベテラン社員は会社の変化を嫌がる傾向があるように思います。
そのような場合に、はっきりと会社の意向を伝える覚悟があるのがナンバー2です。
過去の功績があろうが、年長者だろうが関係ありません。社長や会社として決めた改革にブレーキをかけ続けるのであれば、毅然とした態度で向き合わなければなりません。
年功序列を廃止する、昇級試験を取り入れた新しい会社の規則を作る、降格人事を行わなければならないこともあるでしょう。
・若い人材を守り、育てる
また、改革が進まない場合には、部長クラスにはプロジェクトから外れてもらい、「若手社員のやり方に口を出さないで、見守ってあげてね」と指示してください。
「人材を育てたい、そのために若い人を登用して、プロジェクトを回していきたい」という思いを伝え、納得してもらう。そうやって周囲の批判から若手を守り、人が育つ環境を作るのです。
このように、会社を守るために、社員と対峙するのがナンバー2の役割です。
「嫌われようが何しようが、本気で改革したかったら、やらなあかん」、「必要ならば汚れ役さえも、かって出る」、ナンバー2の持つ強い覚悟によって、経営チームは作り上げられるのです。