#02 ナンバー2は社内で育成することができるのか?
「ナンバー2を社内で育成したいのです」
経営者からこのような相談を受けることがよくあります。
社内で育成するのが良いのか、外部人材で見つける方が良いのか...経営者の悩みの1つかもしれません。
私の結論は『ナンバー2は見つける』人材であるということです。
なぜならば、ナンバー2に向いている人材には、ある素養が必要だからです。
今回のnoteでは、ナンバー2に必要な素養と、ナンバー2として必要な思考やスキルをお伝えしたいと思います。
ナンバー2に向いている素養
まずナンバー2に向いてる素養は、大きく2つあると私は考えています。
1、心の本質が綺麗であること
いきなり綺麗事すぎるかもしれませんが、とても大切なことです。トップやナンバー2が、人のことが嫌いだと経営は成り立ちません。人が好きだからこそ、やってはいけないことに対して「あかんことは、あかん」と言い切ることができるのです。
ナンバー2の根底にあるのは愛情の深さです。時には北風の役に徹することもありますが、ただ単に周囲に厳しいというのはダメです。愛情や人が好きだという本質を持ち合わせている必要があります。
2、諦めが悪いこと
「全力で頑張っています」と言っている人でも、実は全力の65%くらいしか出し切っていないことがあります。「もうアカン…」と思ってもまだまだ。ナンバー2は「何とか改善できないかな」と、とにかく諦めないことが大事です。
100%出し切ってもうまく行かない場合は、道が間違っていたということ。うまく行かない実例を経験できたということです。
失敗を積み重ねても、負けたと言わない限り、負けでない。諦めずに立ち向かうことを楽しめるくらいの精神がナンバー2には不可欠です。
ナンバー2に必要な思考やスキル
ナンバー2には、要となる本質に加えて、磨くべき思考やスキルがあると考えています。今回はそれらを5つに分類して、整理してみます。株式会社経営支援センターの国吉拡さんのCDで学んだナンバー2理論の内容と私自身の経験をもとに、私の解釈をつけてナンバー2に必要な思考やスキルをお伝えします。
1、トップと違うタイプかどうか
会社経営では、「道徳と経済」を意味する「論語と算盤」を兼ね備えることが重要です。
トップが声高にビジョンを語るタイプであれば、ナンバー2は算盤を持ち、事業を成り立たせるために売上などの数字と向き合わなければなりません。
実際は0か100かではないため、例えばトップがビジョン8割、算盤2割のタイプであれば、ナンバー2は論語やビジョンは2割、8割は算盤という姿勢で行動します。
2、トップとビジョンを共有できるか
ナンバー2はトップの「社会貢献をしたい、世の中をよくしたい」というビジョンに、迷いなく「付いていきます」と言えなくてはいけません。
お互いに目指すビジョンが違っていては、組織の中に派閥が生まれてしまいます。
トップとナンバー2は、話し合ってビジョンを共有しながらも、社員に対して見せる顔が違うだけ。北風と太陽も方法が違うだけで、旅人のコートを脱がせる、という目的は同じわけです。
太陽の顔を見せるトップに付いていくんだという状態に社員がなることが理想です。
3、トップに対してはっきりと意見が言えるか
トップが間違っていることを恐れずに「間違っている」と言えますか?イエスマンや保身をする人は、トップに「それは違いますよ」と言いません。
大切な人が、赤信号の横断歩道を渡ろうとしているときに、一瞬の判断で身を挺して助ける感覚があるかどうか。愛を持って、嫌なことでも言うべきことは言うことが肝心です。
4、経費の使い方がきれいか
若い頃や立ち上げ時に苦労したからといって、自由に経費を使えるようになると、歯止めが効かなくなる人もいます。そんな様子を、社員や取引先の人はしっかりと見ています。
どんなに地位が上がっても、私利私欲に走らないことが大切です。
5、汚れ役になることを恐れないか
ナンバー2は、社内のいざこざの仲裁やクレームなど一般的に考えるとしんどい仕事を受け止めることが多いです。誰もが避けたい役回りですが、あえて、汚れ役を恐れずに行動することができるか。
愛を持って、厳しさに徹することができるか、結局は愛があるかどうかということが問われます。
会社にビジョンは必要です。優しく社員を励ます人の存在も必要です。
ただ、ビジョンや優しさだけで、本当に持続的な経営は成り立つでしょうか。
夢だけでは夢物語のまま、いい人ばかりでは規律のない生ぬるい職場になってしまいます。
一方で、トップが常に厳しく、汚れ役をすべて引き受けていては、ただ居心地の悪い組織になってしまいます。何より、会社のトップである社長が会社や事業の未来を考えることができなくなってしまいます。
ナンバー2がいることでビジョンが現実になり、人が育ち、会社が育つ。私自身の経験からも、ナンバー2の役割はとても大きいものだと確信しています。
次のnoteでは、私が実践の中で見出した「ナンバー2の理論」の中の「はまぐり理論」について具体的に発信したいと思います。
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