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#04 受け取りたければ、心のスペースを空ける

相手の意見を受け入れたり、新しい知識や考え方を実践できる人は、心のスペースに余裕がある人だと私は考えています。

例えば、「ナンバー2理論を教えてください!」と言う方に対して、「〇〇を実践してみると良いですよ」とアドバイスをしても「でも、◯◯だから...」と行動できない理由を口にする方がおられます。

受け取るために大切なのは、心のスペースを空ける、そして「器」を広げるということ。心のスペースがいっぱいの状態では、新しい意見や価値観を受け入れることが難しくなるのです。

心のスペースを埋めている価値観とは?

心のスペースに溜まっているのは、プライド・実績・権威・環境・守らなければならないものなど、今までの経験や刷り込まれた教育から生み出された価値観です。心のスペースを空けるためには、綺麗な水が必要だと判断します。

人は経験を重ねるたびに、心のコップの底には価値観の泥が蓄積されていきます。そこに、上から新たな考えや価値観としての綺麗な水を入れると、底の泥が巻き上がり溢れ出す。水を繰り返し入れることで、心の30%を占めていた泥は29%、25%と減っていきます。

泥(自分の経験や刷り込まれた教育で作られた今までの価値観)と綺麗な水(新しい価値観・経験・多様な意見)が混ざり合う瞬間には葛藤が生まれますが、少しずつ蓄積した価値観が解放され、多様な価値観や意見を取り入れることができるようになります。

次に重要なことは、心の器(コップの大きさ)を広げていくことです。

心の「器」を広げる方法

価値観を手放し、心の器を広げるためにはいろいろな方法があると思いますが、挫折や失敗を経験することは心の器を広げる方法の1つです。

私は46歳のとき経営していた会社が理不尽な理由で倒産に追いやられ、一夜にして全てを失いました。何千万もの借金を背負い、金銭的にも精神的にも追い詰められ、表舞台に立つことはもうないのだろうと立ち直れない期間が4年間続きました。

人生を変えるきっかけになったのは、50歳で入社した会社で、社会のため社員のために本気で取り組む経営者と出会ったこと。私にも社会貢献への思いを伝え続けてくれました。

「失敗してこれだけ恥をかき、もう何もない」「背水の陣でやってみよう」という境地になり、自分のこれまでの価値観を捨てて、社会を良くしたいと奮闘する経営者を支援するために、ナンバー2の役割を果たすことに人生を振り切りました。

4年間の辛い時期を経験して心の器が広がった結果、覚悟を持ってナンバー2の役割に取り組めたのだと思います。挫折や失敗が大きければ大きいほど、人生観は変わるものです。

私の経験をお話しすると、「それは川田さんだからできたことですよ」と言われます。これだけの大きな挫折を経験する人は少ないかもしれませんが、みなさん日常の中で「もっとこうしておいた方がよかった」と思うことはありませんか?それは小さな失敗からの学びですよね。このように小さなトライアンドエラーを繰り返すことで、心の器はがっていくのです。

心のスペースを空け、軽やかに生きる

自分の価値観にしがみつく生き方は、大地に丈夫な根を張る大木のようなもの。かなり強い風にも踏ん張り耐える力はあるのですが、限界を超えたような強烈な台風が来るとボキッと折れてしまいます。挫折して立ち上がれなくなる人を、これまでたくさん見てきました。

また親や社会が敷いたレールを、細い平均台の上を歩くように歩いてきた人は、ちょっとした失敗でも「自分はもう終わりだ」とすぐ諦めてしまうように感じています。

誰かが決めた「こうあるべき」の価値観にとらわれキャリアに悩む人には、

「社会が用意した平均台から飛び降りたら、気持ちいい緑の大地が広がっている。自らレールを引いて、自分の生き方を見つけたほうがいい。知らなかった考えや価値観に出会えるよ。」と伝えたい。

私の座右の銘は「軽やかにたおやかに」というものです。軽やかに生きる人は、しなやかな竹のように、少しの風でゆらゆらと揺れながらも、逆に強烈な台風が来ても折れずに、立ち直り前を向いて生きていくことができます。

しがみついているものを手放し、自分はまだまだなんだと受け入れる姿勢ができた時にはじめて、新しい考えや知識、価値観を得ることができる。これは全てのことに共通することだと思っています。


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