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固定観念は悪。先入観は罪!

これでも以前は、よく勉強しました!自閉症とは何ぞや?ダウン症の基本的支援の仕方は?TEACCHとかなんたら療法とか・・・結構高名な先生の話聞きに行ったり、先進的な取り組みをしている有名な施設に行ったりしました。お金も時間も使ったものです。研修の場でよく話していますが、どんな高名な先生の話しを聞いたり、先駆的な取り組みを見たりしただけでは、学んだとは言えません。よくて知った・分かったのレベルです。実践の場で使えてアウトプットできて、初めて学んだと言えるのです。そう言ってるからには、有限な時間・お金を使ったら、現場で実践するしかありません。


そうだ。自閉症と言えば、三つ組。コミュニケーションの課題があるからTEACCHなのね。見通し付けられるようにカレンダーでも作るか。でもって、当時毎日のように買い物に行きたくてパニックを起こす利用者に、せっせとカレンダーを作るわけです。画材屋さんに行って、しっかりしたボード買ってきて、作業・帰宅・買い物・月・日・曜日のカード作って、パウチして怪我しないように角をしっかりと丸くカット。夜勤時間2日分を使い1か月分のカレンダーがようやくお披露目です。このカレンダーの寿命は1晩持ちませんでした。。。居室に設置して、本人によーく説明して(…したつもり)、翌朝には木っ端みじんになっていました。。。夜勤の2日間返してくれよ!正直そう思いました。


別の利用者の話しです。その方は、言語表出も理解もごはん・トイレ・作業等の日常的に使う単語程度とジブリ映画のセリフが少々(場面によっては、厳密に記憶していました)。そのような状態から、文字を書く・計算ができるとは、到底想像できませんでした。ある時日中活動の支援員が、その利用者に「今日の天気」と書いたホワイトボードを渡すと、「はれ」と書くことができました。そればかりかフルネームも書け、ひらがなは完璧でした。さらに1桁の足し算であれば、指を使って全問正答できると後に分かりました。かなり仰天した出来事でした。


前者の場合は、自閉症=TEACCH→カレンダーという固定観念(自分の常識)が引き起こした失敗です。後者は、重度=字は書けない・計算できないという先入観(思い込み)が引き起こした失敗です。もちろん理論通り・想像した通りの利用者もいないわけではありません。しかし、人はすべて違います。支援する上では、しっかりとしたアセスメントは不可欠です。固定観念や先入観は、持つべきではなく、真っ新の状態で利用者を見ることが大切ですね。


このようなことは支援の場面のみならず、日常生活や組織の中でも起こってしまいます。私もやってしまいがちですが、第1印象で人を決めつけてしまうことがあります。自分の持っている固定観念が世の中の常識と考えてしまいます。仕事の進め方一つとっても、私のやり方・Aさんのやり方、人それぞれで上手くいっているのなら、それぞれが正解です。原則支援にも、正解がありません。Aさんの支援・Bさんの支援、それぞれのやり方が良いかは、どんなに経験があろうが私には判断できません。やってみて上手くいった方が正解だねとしか言いようがありません。


人間関係の問題が起こるのも、固定観念と先入観が要因の場合があります。自分の常識や思い込みが原因となって、人間関係がこじれる経験を私もこれまでしてきました。組織の中では、バチバチと意見を交わしてくれることは、施設長としては大歓迎です。しかし条件があります。1つ目は、同じ目的に立っていること。2つ目は、お互いをリスペクト=相手の意見も理解することです。違う意見だからと言って、相手を非難しないことは重要です。同じ組織に属するものとしてお互いを敬い、お互いで問題解決や目的に向かっていく『対話』を常に心掛けて欲しいと思います。


仕事や人生で行き詰まったり、人間関係が上手くいかなかったりする場合は、自分の持っている固定観念や先入観を疑うチャンスです。ちょっとそれらを変えてみたり広げてみたりすると、違う景色が見えて解決することもありますよ!

2020.9 しせつちょうだよりより

だれかの気づき・きっかけになりますように!

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