読書感想文「ボケ日和」わが家に認知症がやってきた!どうする?どうなる?
私、来年50歳。
父81歳、母77歳。
やっぱり心配ですよね、認知症。
もちろん自分も含めて。
ってことで最近は認知症や病気についての本に興味が出てきました。
以前ラジオ(ハッピーモーニング)で紹介されていた本書を思い出し、図書館で借りて読んでみました。
本書は認知症の症状を春夏秋冬にたとえた4部構成となっています。
第1章 春
認知症の初期、もしくは認知症の一歩手前のお話から始まります。
キーワードは「ちょっと変」
家族は、父や母の様子がいつもとちょっと違うと思っても「年のせいかな?」「もともと天然だから」と見過ごしやすいのだそうです。
いくつか認知症が疑わしい症状について書かれていますが、けっこう日常生活で見かけます。
たとえば「怒りっぽい」
キレる老人が問題になっていますが、認知症の初期である可能性があります。
もし認知症という病気のせいだと知らなければ、家族や周囲との関係が悪くなります。
何の病気でもそうですけど早期発見・早期治療が本当に大事ですね。
第2章 夏
症状が「もの忘れの段階」について書かれています。
・ついさっき話したことを忘れて何度も話す
・通帳を何度も失くす
・服を着るのが難しくなる等…
明らかに「トシのせいじゃないレベル」でのもの忘れが始まります。
そしてこの時点で認知症ではないかと家族が疑い、診断がつくケースが多いのだそうです。
この2章の中で印象に残ったのが「試さないで」という項目です。
家族がついやってしまいがちな
「今日は何月何日かわかる?」
「今日は何曜日?」
と認知症の人に試す行為を、本書は「試してもいいことはひとつもない」と書いています。
認知症でも誰かに試されるのはつらいものです。
試して間違った答えが返ってきたら、質問した人が落ち込みます。
確かにいいことなんてひとつもありませんね(笑)
それよりも「今日は3月3日でひな祭りだね」と話しかけると、認知症の方は「春なんだな」と理解することができるそうです。
情報を与えることで、認知症の人に安心を与えられます。
これは覚えておきたい知識だと思いました。
第3章 秋
2章の夏の状態から進行すると出てくる「困った症状が出てくる時期」について書かれています。
この「困った」に対しては「頼る」ことで乗りきることが大切です。
「私の財布取った(妄想)」
「知らない人が家にいる(幻覚)」
「朝も昼も体を求める(異常性欲)」
実はこれらの症状を抑える薬がちゃんとあるのだそうです!
医師に相談して薬に頼りましょう。
ちなみに「お金を盗った」は一番介護してくれて、頼りにしている人に向けられる言葉らしいです。
そして認知症の方も心の奥底ではそれを理解しているとのことですよ。
「家に帰ります(帰宅願望)」
「買い物に行ってくる(徘徊)」
ちなみに夕方前後に症状が出ることが多いのだそうです。
認知症の方は
1.夕方になると家族や周囲が忙しくてバタバタし始める
2.自分はここにいていいのか?何かしなくてはいけないのではないか?と焦る
3.気分が落ち着かなくて徘徊する
こんな感じだそうです。
説明されると「なるほどな」と思いますが、実際に徘徊されると困りますよね。
そんなときは「グループホームの利用」を本書は勧めています。
何といってもグループホームの職員さんはプロなんです!
他にもケアマネジャーさんやヘルパーさんの力を借りたほうが、家族にも認知症の方本人にもお互いがラクなんだと書かれています。
そのための制度ですもんね!
第4章 冬
第3章で見られた症状はほぼなくなり、認知症の方はぼんやりしてくることが多くなります。
認知症の方の体が動かなくなるので、今度は肉体的な介護が必要となる時期です。
たとえばトイレや入浴の介助。
トイレの失敗もこの時期に現れます。
日常のことなので、かなり負担は大きいですよね。
やっぱりここでも外部の力を借りることを提唱しています。
特別養護老人ホームですね。
生活に介助が必要な方が入所されます。
施設に入所させることに罪悪感を持つ家族が多く、つい限界を超えて看てしまうそうです。
これでは家族が認知症の方に対して嫌な思いや大変だった記憶しか残りません。
果たして元気だった頃の家族はそれを望むでしょうか?
また延命治療についても書かれています。
人間はモノが食べられなくなって死んでいくのが自然です。
しかし胃ろうや中心静脈栄養をおこなう選択肢もあります。
その処置で回復するならいいのですが、体の寿命が尽きているに無理やり延命させることになります。
延命治療の安心感と引き換えに、患者の苦しみをいたずらに引き延ばすことについて知り、考えることが必要だと思いました。
まとめと感想
大切なのは以下の4点でしょうか。
・早期発見・早期治療
・認知症について理解して対応を工夫すること
・ケアマネジャーやデイサービスなどの力を借りること
・事前に延命治療について家族で話し合うor記録を残すこと
著者である長谷川嘉哉氏は認知症専門医ですので、実際にあった話が多く書かれています。
「あぁ、認知症ってこういう症状が出るんだな」と割とリアルに想像できました。
天涯孤独の人以外は、一度読むことをオススメしたい本です。
「家族が認知症になる前に読んでおきたい入門書」みたいな感じでした。
そのため自分が認知症になったときの対処に関する話はほとんどないことをお含みおきくださいませ。
難しい話はなく読みやすいので、1章読むのに約40分程度しかかかりません。
図書館で借りた本ですが、現在購入も考えています。
家族が認知症になったときに、少しだけ冷静でいられるような気になりました。
ボケ日和
わが家に認知症がやってきた!
どうする?どうなる?
長谷川嘉哉著
イラスト矢部太郎(カラテカ)
かんき出版
※ちなみにこちら↑をクリックしても私には1円たりとも入ってきませんので、安心して(?)クリックしてください。
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