見出し画像

ラストマイル感想 資本主義からの逃走

MIUとアンナチュラルのファンだったので、ラストマイルを見てきた。
野木氏の脚本のうまさが際立つ、素晴らしい作品だった。思ったよりアンナチュラルメンバーの出番少ないとも思いつつ…。
それは置いといて、本作は資本主義社会に切り込んだ社会ドラマ的な側面がある。この点について書きたい。ネタバレはしない程度で書いていく。

Amazonぽい会社とヤマトぽい運送会社、その他下請け運送会社などなどの働く人々が出てくる。ヤマトはAmazonに売上を依存しており、Amazonに言われるがまま安い配送料で仕事を請け負っている。しわ寄せは現場配送センターの社員、ドライバー、下請けに波及していく。2024年問題を意識して作られたのか、こういうリアルな内容が出てくる。
Amazon内でも、利益重視、実力主義、個人主義のカルチャーによって過労になっていく。

作中ではAmazon日本支社トップのディーンフジオカが悪そうな描き方をされていたが、違くないか?
社会がおかしいんじゃないか?
資本主義がおかしい!!!ぜんぶ!!!!ぜんぶ!!!!!
過労も、鬱も、トイレにまで映像広告が流れているのも、虚業の方が給料高いのも、私の人生がつまらないのも、全部全部ぜんぶ!!!
誰も幸せにならない、資本主義。いかに馬鹿な消費者から金を取るか、いかに他社から金を取るか、いかに安い給料で働かせるか、いかに社内で競わせるか。これらを全部クリアした会社が、資本主義社会では頂点に君臨する。
生まれた時から、資本主義社会に組み込まれ、労働が国民の義務になって、死ぬまでこの終わりのない労働と社会に疲弊し続ける。
社会の全てが金と労働でまわる。
絶望的。
かといって、社会主義で成功した国もない。逃げ場はない。

この映画も資本主義によって生み出されたものである。TBSや東宝が儲けるぞ〜!と思って作った映画。おそらく、TBSや東宝の下請け制作会社たちは、作中と同じように安い金額で受注して、(TBSや東宝比で)安い給料で現場で働いている。本作は、商業映画であるという点が一番の欠点だ。矛盾している。仕方ないけれど。ファイトクラブを見た時も同じことを思った。悲しい矛盾だ。

ネタバレ回避のために詳細は避けるが、「いっせーのでやめましょう」と、ストライキを起こす場面がある。そう、この資本主義社会を抜けるには、全員で辞めるしかない。今の社会じゃそんなの絶対無理。1000年後には、そうなってるかな。

進歩で人間は幸せになったのかな。
縄文時代の方が、幸せだったんじゃないかな。
どうぶつの森の世界で、魚を釣って虫をとって、りんごを食べて生きていたい


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集