【物語詩】黒髪で青い瞳の男の子
あれは誰だろうと首を傾げる
黒髪で青い瞳の男の子
いつも いつの間にかこちらを見ている
ある時は お人好しな旅人
ある時は 寡黙な死刑執行人
ある時は マイペースな曲芸師
出で立ちも振る舞いも違う同一人物
彼の青い視線には何かが込められている
私は赤くなって焦がされた気分になる
白い霧は まるで何かを隠すかのように
そもそもなぜ様々に姿が変わるのか
変装にしては堂々としていて
むしろ見つけて欲しそうで
難癖をつけられないのをいいことに
難題越しに私は見つめ返す
彼は微笑みもせず 睨みもせず
ただ見つめ返す 私達は見つめ合う
私に言いたいことがあれば言ってよ
少年への文句が出かけた瞬間
湧いたのは 少年に対する疑問
彼は私を知っているのか
私は彼を知っているのではないか
彼は私に知っていて欲しいのか
私は彼に知っておいて欲しいのか
とにかく彼は私の夢の中で
旅人や死刑執行人や曲芸師になりながら
ずっと 傍にいたのではないのだろうか
まるで夢を守る番人や 英雄のように
立ち込めていた霧が徐々に晴れていく
気持ちも何だか晴れていく
春嵐が通り過ぎたかのように
街は賑わいを取り戻し
私は握りこぶしを携えて
彼は鈍色のコインを投げて去った
まるで忙しいかのような黒髪の男の子に
コインの対価を訊く余裕もなく
私は落とし物を拾って考え込んだ
きっとコインの価値ほどの働きをすれば
黒髪で青い瞳の男の子は
また現れるのではないかと憶測を立てて
あとがき
昨日……自分が今までに溜め込んできた物語のネタ案を見直し・整理していまして(※それはまだ続く)、その過程でできた物語詩です。
特に中高校時代の創作物での話ですが、主人公を含む複数の登場人物が、複数の作品に登場しているのです。一応、使いまわしたという記憶はなくて、うまく物語が進まないから舞台や設定や世界観を変えてみた結果であったと思われます。たぶん(笑)。
「黒髪で青い瞳の男の子」は主人公級キャラの特徴。
その時々で年齢や性格にばらつきはあるものの、なぜだかこのキャラ設定だけは崩していないのです。私はそういう好みのようです(笑)。
世界を変えちゃうくらい、君に活きて欲しかったのね……。かつての私を、まるで他人事のように振り返りながら、創作の旅は続くのでした。
(トップ画像、悩みまくったので、後日しれっと変更しているかもしれません。しないかもしれません(笑))