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詩集

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不定期投稿です。 テーマは自由な方と思われます。
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#現代詩

【詩】あたしに何ができるのか

 あたしには力がない  少しくらいなら重い物を持てるけど  男に比べたらちっぽけだし  体育が苦手で 女にも負けるときがあるし  あたしには知識もない  たぶん 完璧なマナーなんて守れない  一番得意なのは国語だったけれど  読めない難読漢字はいっぱいあるし  あたしにはお金もない  借金もないけど 貯金もないし  お寿司も焼肉も滅多に食べれないよ  あっ でも恵方巻は欠かさないけどね  ないない尽くしの この人生  ときどき 巨大な何かになって  あたしの心を真っ黒に

【詩】チクタクルリン♪

 チクタクと針は回る  私がぼんやりしていても 時は進む  そうするうちに 1日は終わる  そのルーティンの反復で 季節は移る  さらに時節を数えると 年は明ける  クルリン クルリン  夢の中で音がする  1日が 季節が 年が 太陽と月の回転で  唯一無二のアートをする  私はその間 何をしていたっけ?  針が回るたび 時間が進む旅をよそに  ずっと時計を眺める以外のことをしている  おいしい紅茶を淹れましょう  畑いっぱいの花を育てましょう  時間を使うばかりで返す

【詩】猫になりたいニャ~

 カフェでコーヒーを飲んでいた人は  苦味と悩みに顔を顰めながら窓を見る  すると向こうに 野良猫がトコトコ 「あぁ 猫になれたらいいのになぁ」  野良猫はお腹を空かせて路地裏へ  ゴミを漁るカラスを見つけてジト目  跳びかかる寸前に 飛び去られた 「あぁ カラスになれたらいいのになぁ」  カラスは飛びながら自分のアホーと鳴く  お目当てのキラキラを手に入れられず  カラフルに光るおもちゃで遊ぶ子を眺める 「あぁ 人間になれたらいいのになぁ」  なりたい自分になる欲望は

【詩】宵闇・酔いどれ道中

 なんでだか 月夜の獣道  いつの世にも酔っぱらいの思考回路  本能で織田信長のように突き進みます  道標はあなた いや違ったあなた  矢継ぎ早に指差しながら束の間の哲学散歩  軽くスキップしながら鼻歌を歌うよ  ザクザクと茂みを掻き分けたり  ぺたぺたと石橋を踏みしめてみたり  あれ そういえば靴は何処に行った?  痛いよ 苦しいよって口から言葉が吐瀉する  なんだか腕も熱く 胃袋も高速回転している  何かを嫌だと 赤子のように訴えている  それでも歩む足は縋っても止

【詩】ハナウタバコ

 憧れの先生は隠れスモーカー  休憩時間はいつもの窓際 こっそりと  パープル・スモークをくゆらせている  彼の様になっている気怠さに手招きされ  私はついつい飛んで火にいるお邪魔虫さん  五月蠅と呼ばれないよう こっそりと  私たちの間を通る言葉はない  お互いを近づけるほどの引力もない  ただ つかず離れずの煙がモヤモヤする  苦い香りが大人っぽい気分にさせるだけで  幸せに酔いしれる私は甘ったれた子ども  そんな現実から逃避したくて つい鼻歌  煙草に合わせて 

【詩】冬の音が聞こえてくる

寝坊をしてしまった私は 時計を見た途端に大きい独り言をする 「嘘だ」「なんでこうなったの?」 バタバタと身支度して未来へ駆ける あいにくなことに お天気はゴキゲン斜め なんだか良くない空気だと思いながら カーディガンを羽織った体を翻えす ポカスカと本日の仕事をこなして へとへとになった仕業を追えずに グダグダの心境に仕えて夢を見る 確かに聞こえたの 「嘘だ」「なんてこった」 ごうごうと低く硬く唸っていたの 貴方は誰ですかと問うて 「俺は将軍だ」と答えられて それはサム

【詩】鳥と花

唄を忘れたカナリヤは 月夜の海で心を取り戻すらしい きっと波で涙を思い出すように じっくりと不死鳥のように生まれ変わって わたしの命は一度きりだけれど どうやら 心が茨で縛られてしまって 生まれ変わらないと羽ばたけないみたい わたしを見ているあなた どうか慈悲があるなら 夢を見させて もしも棘が血を吸わなければ 美しい薔薇が咲かないというならば わたしは花を纏う鳥になりたいな いろんな国を渡り飛び 虹のように煌めく知識を食べながら わたしに咲く花へ美貌を与えるの わ

【詩】はんにゃパンチ☆

久しぶり 会いたくなったから来ちゃったよ♪ ……ねぇ、どうしたの? 君に般若の仮面が貼り付いているよ いつもの笑顔が見たいな 悩みや愚痴があるなら幾らでも聞くよ 「何にもない」って? ふぅん? そう言うと思ってスマホを預かりました! あ ごめんね~事後報告でさぁ ぼくの手癖が悪くてやんなっちゃう♪ おやおや でもでも もっと悪いメール文が 君の上司って恥じらいのない般若かな? はいポチッとな パワハラ窓口に転送したよ なんで怒るの? 相手が違うでしょ? それとも他に辛

【詩】ははははは

「すもももももももものうち」の要領で 「ははははは ははっ」と難読化してみる なんて柔らかいゲシュタルト崩壊 ははははは 紛れもなくそうです ははははは 私は貴女の娘 母は母   ははっ 当たり前だよね 要するに「そのままでいいよ」ってこと 喧嘩もするし直して欲しいこともあるし 令和の平和に昭和を撃ち込むなって思うけど 古き良き流弾がツボだったりもするのよ あなたはあなたで わたしはわたしで なんやかんやトントンのあんばいで 今に至るわけですよね はははっ さりげなく

【詩】カレー奇想曲

こんにちは 貴方はハジメマシテですね 何にお悩みですか? うーんスパイスの調合ね あなたの最高のカレーを作りましょう ああまず あっかんべーをしてください 私は舌を見ると味の好みを読み取れるんだ ふむふむなるほど 辛めがお好み? いや甘めか 酸味があればいいのかな? カレーは自由自在な食べ物 あなたの繊細な心の隙間を埋めたいのです 具材はどうしましょうか? 本格派 アレンジ系 ゼロからの創造系? 野菜か 肉か シーフードメインか? さらさらか ドロドロスープか? 茶色

【詩】マルを描こう

「先生、できました!」 瞳をキラキラさせながら弟子が報告する ハイハイと弟子に歩み寄るその視界には なんということでしょう 確かに美しい丸印 精密に計算された筆致と筆色には 弟子の純粋で誠実な人柄が滲み出ている そして そこから紡がれるファンタジア 音色を聴き取った魔法使いの先生 こくりと頷き返す「よくできました」 実はここからが始まりなのだ 「これを人々に広めてくるのです」 魔法使いの弟子は口元をキュッと引き締める 「はい、先生!」 弟子はチョロキューと街へ繰り出す

【詩】じわじわジンジャー

ここは冬将軍の主催するパーティ会場 クリスマス 正月 バレンタイン イベントは過ぎ去りそろそろ大詰め 雪細工やオーロラで会場は大盛況 けれども人間代表の私にはちょっと寒い 艶やかでスマートなドレスコード勢の中で 一人だけ まるで雪だるまみたいな着こなし でも ハードモードの中でこそ映える冬を どうにか最後まで楽しめますようにって とっておきのお守りを持ってきた 自家製・自慢のホットジンジャー! 蜜蜂から分けてもらった琥珀の雫と 冬支度よりも前に収穫しておいた生姜に ふわ

【詩】間に入る

あなたと私の間にはキューピットがいて 愛が生まれた あの人と恋人の間には天邪鬼がいて 泥沼が生まれた そんなことを駅前のカフェでのんびり コーヒーにミルクを垂らしながら考える 「人は1人じゃ生きられない」と言うけれど 誰かといることは既にファンタジーであって 手を繋ぐと異世界に片足が踏み出す 『人』が『人』に良いことをするのも 悪いことをすることも『間』に何かがあって だから『人間』なんて自称するのかな? 混じり具合がファジーな飲み物に口を付け 私は揺らいだ意識の狭間

【詩】あなたのせい

あなたのせいよ あんまり五月蠅いから 遅刻したじゃない 恥ずかしいったらありゃしない あなたのせいよ 余計なことをするから 嫌われたじゃない 有難迷惑にも程がある あなたのせいよ 怒られたじゃない 告げ口したんでしょ どっかに行ってくれたらいいのに ──微睡むような涙を湛えて あなたはさっきから鏡に語り掛けている 自戒と自傷を紙の表裏に書いて 生きるが故の痛みを噛みしめて 疲れた勢いで眠ろうとしている そんな生き方 私だったら 大切な人にして欲しくはないの だからあ