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映画サザエさんシリーズ紹介 5-10作目(1959-61年)

東宝、宝塚映画のサザエさんシリーズの残り六作品と、大映製作の同じ長谷川原作の「新やじきた道中」の紹介も行います。


1959年1月9日公開
「サザエさんの結婚」
監督 青柳信雄 脚本 笠原良三 制作 東宝
製作は東宝。
大阪から磯野家に下宿している息子ノリオの様子を見に、万蔵ちえ夫妻が来るが彼の彼女の存在が発覚、恋愛は承諾されノリオは出て行き、入れ替わるように波平の旧知の恩人の娘で女優のスナ子(雪村いづみ)が磯野家に下宿する。そんな中友人悦子の結婚式に出るためマスオは戻ってきた。結婚式で悦子は友人としてサザエに祝辞を頼み、なんとか果たすも、同日ノリオも結婚し、周りが結婚するなか自分の結婚が延期されふさぎこむサザエを見かねたスナ子にけしかけられ、マスオの会社の富岡社長(志村喬)に直談判。
サザエの結婚は動き出した。スナ子が社員寮に入るために開いた磯野家の二階でマスオと暮らすことに決めたが、その直後マスオが女性と居るところが目撃され、サザエとの結婚が延期されるということに。
今回、構成の数々が散漫で、冒頭で波平たちが銀婚式の旅行に行くのだが、後の展開にほぼ寄与しない。
ただ、日光東照宮で波平と舟が昔見たことに想いを馳せて、変わったのは自分たちの方かという場面は素晴らしく、夫婦の年輪を感じさせる。
また、スナ子が今度は東宝の女優で東宝のスタジオ見学という場面もあるのだが、展開にはほぼ寄与しない。この辺の盛り込まれた場面は、前作の九州めぐりや、悦子が宝塚の舞台を見せる場面に符合しており、前作が好評で出来る限り踏襲したのではないかと思われる。
つまり、前作と同等の見せ場を盛り込んだのが、裏目に出てるのである。
反面、後半のスナ子の活躍は目を見張る。
スナ子を演じるのは江利チエミの三人娘仲間の雪村いづみなのだが、旧知の友のようにサザエを勇気づけ、マスオの会社で偽電話で社長秘書を社長の代理人のふりをして呼び出し、彼を社長の元に向かわせ尾行、社長の病院を突き止めてサザエと看護婦に変装し、マスオの件を聞き出すという大活躍は後半を躍動的なものにしている。クレージーの映画「大冒険」の脚本家の面目躍如である。
由利徹は万蔵たちが磯野家に行く道を聞いただけで、勝手に寿司を持ってくる寿司屋。しかも、勝手に鰻重をもって来ようとした鰻屋(「脱線トリオ」仲間の南利明)と競う始末。
ビビディ・バビディ・ブーはマスオの帰京を喜んで、美容室から出てきた後。
しかも今回はダーク・ダックスの御用聞き軍団のコーラスつき。
更に御用聞き軍団は、結婚式の本番(結局マスオの故郷北海道でやることに)のまえの近所の世話に世話になった人たちを集めたパーティーの裏でサザエが波平と舟に今まで有り難うといった直後からコーラスを入れてきて、おめでとうのコーラスを歌いにきて、更にその場の全員のコーラスと重なりラストを彩る。
また、今回は真ノリスケともいえる西野ノリオがボクっ子の浅利はま子と、そして、前作から出ている高山悦子がマスオの会社の同僚の富岡と、そして当の磯野サザエがフグ田マスオと結ばれる。おめでとう。しかしながらこれでノリオ役の藤木悠は退場である。
ちなみに、スナ子のことばかり書いて忘れていたが、終盤の展開で目撃された女性はマスオの妹という定番展開。ただ、名前がタイ子。原作の波野タイ子の名前がついているが別人である。演じるのは先頃急逝した東宝映画の女優で怪獣SF映画でも知られる白川由美。
白川は1作目のおよしちゃん役以来の再登場。沢村いき雄は屑屋役、沢村は少しだけ出て原作ネタを演じるが、今回はうまく火をつけたばかりに放火の嫌疑をかけられ(原作4巻94頁のネタ)。
更にスナ子に騙されるマスオの会社の社長である富岡は「ゴジラ」、「ゴジラの逆襲」の山根博士や「時代活劇シリーズ 風」の福内鬼外役の志村喬。マスオの上司である富岡に「ゴジラ」の芹沢大介や「ゴジラ・モスラ・エビラ南海の大決闘」の竜尉隊長に「さよならジュピター」の井上博士など東宝特撮ばかりか、「ウルトラマン」の岩本博士などで知られる平田昭彦で、作中ではわかりにくいが山根博士の志村と芹沢博士の平田が設定上でも親子役なのである。あと東宝の俳優役で宝田明、他に地味に佐原健二も出てる。
更に、ラス前の集まった近所の人がどう見ても2作品ぶりに登場した伊佐坂夫妻なのだが、役名が三木東風となっている。磯野家の近所にクローンのように酷似した小説家夫妻が別に存在するのかと思うが、おそらく作中設定としては、伊佐坂夫妻と同一人物ということなのだろう。
使用原作
短編 ④P94、③P94、P13-14など
 


8月23日公開
「サザエさんの新婚家庭」
監督 青柳信雄 脚本 笠原良三、蓮池義雄 制作 東宝
製作は再び東宝。
タイトルの読みは「さざえさんのすいーとほーむ」。
結婚したサザエとマスオは磯野家の二階で新婚生活を送るが、どうにも二人の時間がとれない。
そんな中、マスオの妹タイ子(白川由美)がカツオたちの面倒は自分が見るから、一緒にキャンプに行かないかというが、現地では図々しい学生の辰野(江原達治)たちに食料をたかられ、キャンプを早く切り上げたら、磯野家では舟が倒れて入院し、サザエが忙しくなり、構って貰えなくなったマスオが同僚の誘いで遅くまで飲み、内緒で麻雀をやったことがサザエに露見。更にマスオが女性と会っているところを見た直後に、サザエはタイ子にパーティーに誘われ、二日酔いで帰り、ついにマスオとサザエは初の夫婦喧嘩をしてしまう。
結婚したフグ田サザエの日常から始まる。マスオが買ったテレビをみんなが見に来て、結局磯野家に寄付するとか、何やら二世帯住宅の苦労話が多い本作。まあ、前二作に比べたらサザエさん本来の雰囲気には近い。
ただ本作辺りからマスオがサザエに構われなくて不満と言ったシチュエーションが増える。またクライマックスに異性といるのをみて誤解というのを4作連続でやるのも如何なものか。
ダーク・ダックスの御用聞き軍団は、はじめの方と中盤の舟が入院中に来て掃除を手伝わされる。御用聞きにそこまでのサービスを強要するサザエは鬼だ。
そして、ビビディ・バビディ・ブーはその掃除の場面。今まで、楽しいときに歌っていた歌がこんな大変なところで歌われるのは初、とにかく忙しい本作らしい。しかも本作以降はオリジナル歌詞バージョン。ダーク・ダックスのコーラスももれなくついてます。あと木曽節。
三人娘仲間の雪村いづみは今回も登場するが、今回はマスオの会社の花村専務の娘むつみとして。
彼女はタイ子の旧友としてキャンプ場で登場し、後半の自らのパーティーでは酔ったサザエののろけ話を聞き、後からサザエにマスオと別れそうだと聞けば、じゃあマスオをもらおうかしらと、冗談めかしつつ、サザエとマスオの復縁の後押しをする。
東宝特撮勢というか、「空の大怪獣ラドン」のキヨや「地球防衛軍」の白石江津子役等で知られる白川由美は今回もタイ子役で大活躍し、キャンプの際には将来の伴侶に出会うことになる
今回、由利徹は出ない代わりにマスオの同僚の、鯖江、梶本が登場、「脱線トリオ」仲間の八波むと志が鯖江役で登場し、以後のシリーズでは、この同僚役を由利がやることになる。
あと、「ウルトラマン」の泥棒ダイヤモンド・キック役の伊藤久哉が前作で平田昭彦が演じていた富岡役を、他に沢村いく雄が蛭田役。
使用原作
中編
「キャンプの巻」、「おせっくの巻」後半のみ(別冊サザエさん2巻)。
短編 ⑮P125、P9、⑤P10-11、⑧P76-77など
 

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