なぜDodgersって言うの?ファンのある行動をもじったニックネームだった!...英語ひとくちメモ
表紙写真Dodgersかつての本拠地(There Used TO Be a Ballpark Brooklynより)
MLBの歴史は1870年代に遡ります。南北戦争(1861ー1865)が終わって5年後、日本では1868年明治維新を迎えた2年後です。約150年の歴史を誇ります。野球用語(base塁, dugout塹壕など)に南北戦争の野戦の名残りが感じられますね。それぞれのクラブ(club)名にも歴史が反映されています。
ところで、最近、MLBはチーム(team)ではなくクラブ(club)という言葉を使います。The Dickson Baseball Dictionaryによると、前者は主として選手を指し、後者は選手+スタッフを指します。選手だけではなくスタッフのサポートが無ければ運営できないというメッセージが込められているそうです。
さて、現在、大谷選手が活躍しているThe Dodgersというクラブ名の由来です。dodgeは「さっと避ける/かわす」という意味です。ドッジボール(dosge ball)は基本ボールをよけるゲームですからそのままずばりです。従ってdodgeに派生接尾辞-erを付けたdodgersは「よける(のが上手い)人」を意味しますからドッジボールチームの名前にはぴったりです。でも野球で球をよけるのが上手い人たちを集めてもよい野球チームはできません。
The Dickson Baseball Dictionaryには、MLBではdodge the bullet(銃弾をよける)という表現がよく使われ、緊急事態(相手投手の火の玉投球など)を何とかするという意味がありますが、どうやこれも的外れです。
ましてや、回避するものが義務とか責任であったりするとdodgeは「トリックや嘘を使って責任/義務を逃れる」になり、dodgersは「ズルするやつら」になってしまい、これはもってのほかです。
インターネットをみるとアメリカ人の中にも"What does the Dodgers mean?"なんて質問している人が意外と多いのを見てびっくりです。急に目立つようんありましたが大谷効果でしょうか。彼の活躍に目を見張る子供さんたちが保護者に聞きそうな質問です。「やばい、今更だが聞いてみよう」と思い立ち投げかけているのでしょうか。
The Long Road to LA Dodgers Naming (MLB)によると、このクラブは1883年にニューヨーク市Brooklynを本拠地にThe Brooklyn Atlanticsとして発足し、翌年この地がカソリックの教会が多くThe Church Cityと呼ばれグレイの制服を着た聖職者をよく見かけたので1884年にはThe Graysに改名したそうです。当時Brooklynは球場があるEastern Parkのすぐ前で大規模建築が行われており、多くの建設資材を運ぶトロリートラック(trolleytrucks)が縦横無尽に走り回っていました。球場に向かうファンは着く前にトロリートラックを避けなければならずTrolley Dodgersと呼ばれるようになりました。商魂たくましいクラブ側は1986年それにちなんでThe Brooklyn Dodgersに改名したそうです。
よけていたのはボールではなく、乱暴運転の建設用トロリートラックで、よけていた人たちも選手ではなくファンだったのですね。そうですファンに付けられたニックネームなのでした。
その後も名前を変えましたが、1958年にLAに移ってもニックネームThe Dodgersを受け継ぎ今日に至ります。Brookly時代のファンへの敬意が感じられます。
最後にDodgersの発音です。/do·juhz/です。最後の複数屈折接尾辞-sの発音は/s/ではなく/z/です。カタカナ表記にするとドジャースではなくドジャーズ
です。大学受験生はお間違いなさらぬように。関心がある読者は拙稿「ドジャース、ヤンキース、ブルージェイズ、ツインズなどなどの[ス]と[ズ]・・・英語複数接尾辞-sの発音との違い」を参照してください。センター試験、TOEFL TOEIC、英検などの英語試験に役立ちます。