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温かくて、ほっとする味

大学生の頃に一人暮らしを始めた私は、母親やおばあちゃんからの差し入れにずいぶんと助けられていました。

沖縄でしか買えない缶詰やお菓子、家庭菜園でとれたゴーヤーやシークァーサーなどを季節ごとに送ってくれました。
時にはこっちのスーパーで買えてしまうものも入っていたりして不思議に思いながらも、やっぱり嬉しかったものです。

母とおばぁちゃんの定期便。在学中の4年の間に、いろんなものを送ってくれたのですが、どうしても忘れられないものが2つあります。

一つは「三月菓子」
沖縄で春に食べる、ドーナツのような揚げ菓子です。私はおばあちゃんの三月菓子が大好きでした。それを知っていたおばあちゃんはダンボール一杯に詰め込んで送ってくれました。
その量、なんと70個あまりありました。
あまりに多すぎて笑ってしまいましたが、やはりその愛情に嬉しくなりました。

二つ目は「ソーキ汁」
豚肉のあばらの肉、昆布、大根が入った汁物です。これもおばあちゃんがたくさん作って、チャック付きの袋に入れて、冷凍して送ってくれました。
かちこちに凍ったそれをお鍋に出して火にかけます。
しばらくするとカツオだしの香りが鼻をくすぐります。
アパートの寒い台所が、たちまちに沖縄の実家のような温かい空間に・・なったような気がしました。

香りの記憶は、一瞬だけ東北の寒さを忘れさせてくれることを知った経験でした。

300年以上の歴史をもつ味

「ソーキそば」は沖縄料理の定番メニューですが、ソーキ汁は意外にも召し上がったことがない方も多いのではないかな、と思います。

沖縄の食卓に並ぶ機会は、ソーキそばよりも多いかもしれません。

汁物なのですが、ごろっとしたスペアリブ、大根、昆布が入ったお椀をみると、立派な「メイン料理」なのではないかと思います。

ご存知でしょうか。
ソーキ汁は長い歴史を持つ料理なのです。

沖縄はその昔、中国と盛んに貿易をしていました。
その際に、中国からは総勢400人あまりの使節団が訪れたそうです。
琉球王朝は、その方々の滞在中の食事を用意しなければなりませんでした。
食糧を調達するのが課題になった政府は、豚を奄美から輸入したり、県内で大量に豚肉の飼育をしてその課題を解決。
使節団が滞在する250日間、おいしい「豚肉料理」を振る舞ったそうです。
その時に、ソーキ汁やラフテーといったレシピが確立されました。

その時の日本は「江戸時代」なので、今から300年あまり前になります。

調べるまでは、ソーキ汁にそんな歴史があるとは知りませんでした。

(画像はこちらからお借りしました)

かつお節の出汁とソーキ(豚のあばら肉)の茹で汁で、ほとんどおいしさを決めてしまうソーキ汁。味付けはなんと塩だけなんです。

ソーキ汁の香りとおいしさには、遠くにいる人を引き寄せる力があると、私は思っています。

明日にレシピを紹介します。よければ、明日に遊びに来てください。
もし召し上がったことがない方は、ぜひ一度作ってみてそのおいしさを確かめてみて欲しいな、と思います。

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瑞樹
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。スキ、コメント、サポートがとても励みになっています。また遊びに来てください^^