ただニコニコするだけのへっぽこ売り切り営業が、いつの間にか顧客の事業拡大の支援までできるようになった話
はじめまして。西原です。
自身のスキルの棚卸しの意味を含め、
主に営業に関わるnote記事を執筆しようと考えています。
noteを通じて少しでも日々の営業活動のお手伝いができたら
嬉しく思います。
自身のこれまでの経歴をざっくりお話をすると、
営業・企画→CS・IS立ち上げなど→CSマネジメントをやってます。
一番長かったのが営業です。
自身がどんな営業を経験してきたのか?を
棚卸ししてみました。
◇これまでの経歴◇
営業での一番濃密な体験は
7年半ほど経験したリクルートの広告営業時代です。
主に顧客は式場や、結婚に関わるアイテム
(指輪・ドレス・写真・エステ・引き出物など)を生業とする企業に対し、
ゼクシィというプラットフォームを活用した集客提案や、
事業戦略の提案〜事業戦略推進のための組織づくりの支援、
時には商品開発など、顧客の事業拡大のための支援を行っていました。
現在は、顧客の経営/事業課題に伴走する営業活動ができるようになりましたが、リクルートに入る以前は「売って終わり」の売り切り営業でした。
どのような変遷をたどり自身が変化をしたのか、
整理していきたいと思います。
◇「スピード」×「愛嬌」勝負! 銀行時代◇
新卒では銀行に入社をし、日々の窓口業務の中で、
投資信託・保険ニーズがありそうな見込み顧客をリストアップし
電話・飛び込み・手紙での営業を行っていました。
当時の私は、
①ニーズがありそうな顧客を見つけたら、タイミングよく商談機会を作り、そこから逃さずクロージングをしまくる「スピード」
②いかに相手の懐にするっと入り込めるかの「愛嬌」
基本的にはこの2つの武器だけで勝負するという営業スタイルでした。
商談相手が主婦・高齢者・経営者・教員等、多岐にわたる事が多かったので
相手のペルソナに合わせ、どの愛嬌ポイントで自分を売り込むか?も
重要な要素だったとも思います。
売り切り商材の場合は、顧客ペルソナを類型化し、
自分なりの「勝ちパターン」を築けるようになると
誰でもすぐに、ある程度売れる営業になれると思います。
toC営業時代に学んだ「スピード」「愛嬌」は
その後の法人営業でも活かすことができたので、
業種・営業先問わずこの2つは営業パーソンの必須スキルだと
改めて感じます。
◇突如訪れた限界点と「効率化」「論理性」の壁◇
toC営業で一定の成果を出したという自負はあったものの、
自分自身の営業としての幅を拡げたいという思いがあり、リクルートに転職をしました。
リクルートへの転職直後、
新規開拓と既存顧客の取引拡大が私のミッションでした。
持ち前のスピードと愛嬌で滑り出しの実績は好調でしたが、
すぐに限界が訪れます。
スピード感を持った営業対応ができるといえども、
自身の営業工数のキャパシティに上限が来ます。
そして、愛嬌だけでは売れない場合が当然出てきます。
若いうちは愛嬌で突破できるかもしれませんが、
おそらくこの手法が効くのは若手のうちです。
中堅・ベテランと経験を重ねる中で「セールスポイントは愛嬌です」
と言っている営業は確実に淘汰される。
ここで次なる成長が見込めなければ転職をした意味がない。
そこで、下記2点を自身の成長テーマと定め
日々の営業業務改善に努めました。
①限られたリソースでいかに効率よく営業ができるかどうか?
=「効率化」
②買わない理由を作らせない、利益に繋がる商品であることの証明
=「論理性(ストーリー作り)」
◇効率化を意識した結果◇
①入社2年目で創刊以来初となる単月受注6件という成果と半期MVP獲得
私の担当しているエリアでは新規受注は1年に1,2件あるかどうかという頻度でした。
入社2年という若手がなぜこの成果を出せたのか?
ポイントは「バイラル営業」です。
1社ずつ飛び込みで広告営業にあたっていては工数が不足する、
しかし、DM・手紙の送付ではナーチャリングが難しい。
結果、業界のキーマンに、勝手に営業してもらえる仕組みを作ることはできないか?と仮説を立て、とある業界の県協会に働きかけに行きました。
そして、この際に業界共通の課題を解決できる企画という
協会会員が興味を持ちやすい企画書を作り、キーマンにばら撒いてもらうことで少ない工数で実績に繋げることができました。
このプロセスの中で、個社課題の解決提案→業界共通の潜在課題解決というマクロ視点を持っての企画立案と組織営業も身につけることができました。
誰に働きかけることで最も効率的にゴールに辿り着けるのか?
また、その時の各関係者にとってのメリット・デメリットは何か?
この考え方は、
今でも様々なプロジェクトを進める上で大事にしているポイントです。
◇論理性(ストーリー作り)を意識した結果◇
銀行員時代は、決められた企画書をただひたすら読み上げる
スタイルだったので売るためのストーリーは決められたものが多かったです。
(※むしろ、認可された商品資料以外のものを使って説明してはいけない)
そんな杓子定規営業だった私が、売るためのストーリーをいちから
組み立てなければいけないソリューション営業に挑み、四苦八苦した結果、
結果として下記のような実績にも繋げることができました。
①商品開発提案により、顧客売上が8ヶ月で月商3.25倍に!!!!
②組織課題への伴走提案により採用〜育成までを任せて頂けるように
営業数字を達成し続けるためには既存顧客から追加投資を頂き続ける必要がありますが、時に、高い目標数字を課された場合には
集客ポテンシャルのキャパがこれ以上無いという顧客からも、
追加投資を頂かないと目標達成しないという場合がでてきます。
このような顧客は、集客自体には満足しており
顕在化された集客課題は無い現状です。
取引拡大を狙うためには、潜在課題に対する提案が必要になるのです。
いくら愛嬌がある営業といえども、
買うためのストーリーが無ければ万が一にでも買ってもらえる機会はほぼ無いです。
同期入社のリクルート社員も、このいかに買っていただくか?の設計ができずに売れなくなり、リタイアするメンバーが多かったように記憶をしています。
①商品開発提案により、顧客売上が8ヶ月で月商3.25倍に!!!!
この事例は、とあるエステサロン様の事例になります。
顧客のサービスラインナップでの集客が難しかったので、
集客ターゲットの変更と、新ターゲットに向けたエステの新プラン作成の提案を行うことで、昨年比3.25倍の月商達成のお手伝いをすることができ、
結果として自社媒体との取引も昨年比1.4倍にまで増やすことができました。
また、ジュエリーショップ様の事例では、
顧客の商品ラインナップでの集客に天井が見えていたので、
マーケットイン観点での商品開発〜ブランディング提案を行うことで、
下がり続けていた売上の低下をくい止め、結果的にそのエリア内での人気ブランドに成長するご支援をした案件もありました。
上記の案件のように、戦略提案〜実行伴走までをお手伝いするためには、
こちらの提案を実行頂くことが、なぜ事業拡大に繋がるのか?を
顧客がリアルに想像できるよう、ストーリーを綿密に描く事が大事だと感じています。
②組織課題への伴走提案により採用〜育成までを任せて頂けるように
この事例は結婚式場様の事例です。
集客数自体は絶好調。集客課題も、成約課題も見当たらない。
短期的には事業が好調に見える一方、
当時未整備だった過去の顧客データをかき集め、多角的に分析していったところ、
顧客満足度が5年前と比較して低下傾向にあるという問題を抱えていたことが分かりました。
短期視点では課題が見つからない。自社との取引額も好調。
しかし、顧客満足度が低下しているということは、
提供サービスに何らかの問題が生じている可能性がある。
つまり、中長期視点で見た時に、この問題の放置は
先方の売上/利益額の低下・それに準じて自社との取引額の低下を引き起こす可能性があるのではないか、と考えました。
そこで、顧客満足度低下の要因を紐解いていくと、
他事業部との連携不足・新卒入社社員のオンボーディング失敗 などの 組織課題が根本的な要因であることが見えてきました。
詳細は割愛しますが、これらに対する打ち手として、
社内研修の実施/クレドの設定/表彰制度の設定/表彰者の広告露出によるモチベーション強化などに着手しました。
結果として、先方の組織課題の解決・自社との更なる取引額UP
という結果に落ち着くことができました。
顧客が自社の商品を買わない理由を作ることはとても簡単ですが、
買うためのストーリー作りをどれだけ綿密に描けるかがとても大切であり、
顧客と一緒に事業の将来を描けることこそが営業の醍醐味だとも感じます。
◇営業は事業のキードライバーである◇
ただひたすら顧客を捕まえては商談をし続ける営業スタイルから
顧客の潜在課題を特定しその解決へ向けて伴走するという
営業スタイルになってこそ感じることは、
営業は「ただ何かを売る」という仕事ではなく、
「営業は事業のキードライバー」である ということです。
今、勢いのある企業群を見るとSaaSのビジネスモデルが多い中ですが、
PMF観点での商品開発が重要になってくるSaaSだからこそ、
商品のプレゼンを通じて得た顧客のリアルな反応を
社内にフィードバックし続ける役割を担う営業組織こそが、
事業の要だと感じています。
◇今後やりたいこと◇
現在は営業システムを販売するベンチャーで
CSの業務オペレーション構築などを通じ「売れる営業チーム作り」
のお手伝いを行ってます。
様々な企業に携わって感じるのは、「営業チームの属人性」の高さです。
売れる企業は自社の営業勝ちパターンを理解し、
誰にでもそれを実現させることのできる「再現性」を持つ企業が多いです。
営業の再現性構築のためにはざっくりと
現状理解(可視化)→要因分析→汎用化のプロセスが必要になるかと思いますが、このプロセス構築にお困りの企業様になにかしらの形で携わり、
営業力強化のお手伝いができたらいいなぁと漠然と感じています。