映画『Chime』
黒沢清監督の映画『Chime』を菊川のStrangerさんにて先日観てきました。
実はこの作品は当初見るつもりがありませんでした。幼い頃にジャパニーズホラーを何度か見てきたのですが、恐いメイクや服装をした人が不意に驚かすものが多いですよね。大人になってからは、そういうのはちょっと良いかなぁって離れてたんです。
予告編を見る限りそんな感じちょっとしません?
公開されてからもあまり気には止めてなかったのですが、Strangerさんの上映スケジュールを覗いてみると、連日満員御礼でチケットが取れない日が続いているではありませんか。
こんなに人気って事は、何か他の作品と違うのかな?調べてみると45分の映画でそんなに長くもないし、試しに見てみるか・・・そんな気持ちでStrangerさんの映画チケットを買いました、同じ人多かったんじゃないかな。
内容を見てみると物凄く深かった。
なんていうか、恐いじゃなくて怖いんですよ、ずっと。
主人公は料理教室の講師をしている。
生徒にヘンテコな人がいて、「頭の中でずっとチャイムが鳴るんだ、ほら聞こえたでしょう?」と終始言っている。社会人生活をしていると、こいつ大丈夫か・・・?怖いから関わらないようにしよ、ってなる人いるじゃないですか、まさにそれ。
家に帰ってからも、奥さんと息子でご飯食べながら談笑するかと思いきや、息子が訳のわからないところで爆笑してたり、奥さんも食事中にいきなり立ったかと思いきや大量の空き缶を外で処理してみたりと、家族の行動も明らかにおかしくて怖い。
主人公も有名料理店のカジュアル面談の場で、自分がいかに優れた人間か、幼少期の逸話を延々と話している。相手が何を求めているか、自分がこのお店で何を成し遂げたいかの話が一切無く、この人は一体何を考えているんだろうと考えてしまい怖い。
他にもホラー映画らしい展開はあるが、黒沢清監督のステートメント文を見てとても納得した。現代社会のモラル、正義で抑圧された所から逸脱したことこそ現代の自由であり、それを我々の目線でみるとそれが怖いに繋がる。
一番怖いのは人間ってよく聞きますよね。
現代社会における怖いを全て詰め込んだ作品と理解し、本当によくできた作品だなと思いました。現代的なホラー要素も詰め込みつつ、上記で書いていないこともたくさんあるので、ぜひみて欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?